ジャンル | SLG |
---|---|
対応機種 |
Windows 95/98/Me/2000/XP(通常版) Windows 98/Me/2000/XP(廉価版) |
発売元 | アリスソフト |
発売日 |
2001年 11月30日(通常版) 2006年 5月26日(廉価版) |
レイティング | 18禁 |
キャラクター名設定 | 無し |
エンディング数 | 16 |
セーブファイル数 | 12 |
ゲームエンジン | System3.9 |
画面サイズ | 640×480 |
BGMフォーマット | CD-DA |
キャラクターボイス | 無し |
CGモード | あり |
音楽モード | あり |
回想モード | あり |
メッセージスキップ | あり |
オートモード | なし |
備考 | 通常版は生産終了している |
『大悪司』(だいあくじ)は、2001年11月30日にアリスソフトから発売された18禁シミュレーションゲームである[1]。 本作は『鬼畜王ランス』に続く「地域制圧型シミュレーション」第二弾であり、プレイヤーは極道となり、オオサカという一つの町を支配下におさめる内容である[1]。後にグリーンバニーよりOVA版が発売された。
本作は架空の世界における、戦後復興期の日本の関西をモチーフとした町、オオサカを舞台としている。プレイヤーは極道の山本悪司となり、あらゆる手段を用いてオオサカの全てを支配下に置くことが目的である。取りうる手段には多くの犯罪行為が含まれているが、市職員に賄賂を提供することで見逃されている。
本作においては、「すけこまし」(女性を抱いて身も心も自分のものにする)と同じ意味の「こまし」(名詞)や「こます」(動詞)という単語が頻繁に登場する[1]。 このため、本作においては拷問や凌辱の場面が多い[1][2]。
ゲームは地域住民や他の組との抗争、犯罪・暴動への対処を通じて進んでいく。また、多くの登場人物に固有のエピソードがあり、プレイヤーの選択によってその運命が左右される[1]。キャラクターの中には、Ranceシリーズゆかりの者も登場する[1]。 また、本作はエンディング後にエピローグ(後日談)が解放される「キャラクリ」というシステムがあり、内容の重複を数えて全部で78人分用意されている[1]。
全部で35あるオオサカの各地域は市当局ではなく地域管理組合(ヤクザ)が管理しており、力を誇示することで地域を自組合の管理下に置き資金を得ることができる[1]。 売春宿[3]やたこ焼き屋などを設置し、収益を上げることができる。
ゲーム内の時間は一週間を単位としており、全部で9種類のフェイズ(イベント、収支、捕虜、情報、地域、部下、調教、移動、戦闘、他組織)を順番に経る[1]。 このうち、イベントフェイズは前週の行動の結果や偶発的に発生するイベントが展開されるフェイズであり、収支フェイズはその月の第4週の身に発生するフェイズである[1]。 ほとんどのコマンドは週当たり一つずつしか実行できず、部下と面談しボーナスを支給したり、訓練したりすることは毎週一人にしかできない[1]。また、施設の訪問や犯罪事件の解決、アイテムの回収、洞窟の探索など地域に関することも、膨大な選択肢がある中で毎週一つしか選べない[1]。 さらに、本作では特定のキャラクターが自分の配下にいるか否かによってゲームの進行に影響が出ることもあり、例えばわかめ組の元幹部である島本純は情報通という設定であり、彼が不在の場合は情報フェイズで得られる情報の精度が下がる[1]。 戦闘フェイズは6対6の集団戦が行う[1]。基本は攻撃が当たった分だけ相手の体力が減るという単純な仕組みだが、体力があっても気力がないと何もできなくなる[1]。戦闘は何度でも可能だが、同じ週に攻撃を繰り返すごとに必要資金が増加する。また、相手の体力を0にすると消滅する一方、弱らせると捕虜にすることができ、体力が0に近いほど捕虜にしやすくなる[1]。捕虜は懐柔したりこまして部下にしたり、拷問にかけて情報を聞き出したり、売春宿で働かせたりできる[1]。捕虜を調教することでより高級な娼婦にさせることができる一方、売春宿で働かせすぎると稼ぎが減ってしまう[1]。 他勢力フェイズは、他勢力が行動するフェイズであり、プレイヤーの領地に侵入してくるほか、他勢力に潜入中のユニットを攻撃してくる[1]。プレイヤーは反撃することもできるが、必要資金が必要となる[1]。
絶対男性上位国家ニホンは、新興の絶対女性上位国家ウィミィと太平洋戦争で戦った末に敗れ、支配下に置かれる[1]。 この戦いに参加していた極道「わかめ組」の跡取り息子・山本悪司は復員し、戦後復興中のオオサカの町に帰郷する[4]。 だが組はかつての部下の女性陣に乗っ取られており、悪司は力ずくで追い出されてしまう。 腹の虫が収まらない悪司は弱小の地域管理組合をのっとり、シマの奪回とオオサカ制圧を決意する[4]。ウィミィの指導によりあらゆる組織の長は女性でなければならないため[4]、悪司は影番として組合を仕切る。わかめ組との抗争では、進行によって麻薬が一つのテーマとして登場する。
わかめ組を壊滅させると、さらに他の組や新興宗教などとも抗争する。一般市民への影響が出始めると市は調停の場を設けるが、抗争は激化してゆき、ついには市長が停戦命令を下す事態となる。市の介入に不満を持った悪司は市長の失踪を企て、成功する。そして、選挙において対立候補のスキャンダル捏造や票の買収を駆使し、悪司は自分が信頼する者を市長に据える。
この後は異なる展開が複数用意されており、その一つを紹介する。かって悪司が性的交渉を持っていたウィミィの女性士官の怒りを買い、ウィミィ軍から悪司がいやがらせを受ける。反撃に出た悪司はオオサカの司令部を襲撃する。ウィミィの女性司令官をこまし、自分の女にすることでついに、オオサカの全てを支配下にする。
エピローグでは、特別な条件を満たすことができた登場人物の後日談と、悪司のその後の活躍が紹介される。
(声優はOVA版のもの)
ここでは1周目のヒロイン候補を紹介する。
わかめ組の管理力が弱まり、無法地帯となったミドリガオカを何とかするために有志が集まって作った小規模な地域管理組合。その多くが戦争で夫や恋人を失いよりどころをなくした者たちで構成されている。
オオサカの西半分をテリトリーとし、東のピーチマウンテンとともに長らく町の秩序を維持してきた由緒正しい地域管理組合。ウィミィの政策により上層部が大幅に変更されたため命令系統や組内の人間関係が悪化。治安維持活動も滞るようになってしまい、住民からの信頼も喪失。半数以上の地域がわかめ組の管理下から離脱して、勢力が大幅に後退するなど創立以来最大の危機的状況にある。
オオサカ西部に影響力を持つ新興宗教。
わかめ組と双璧を成すオオサカ東部一帯を支配する由緒正しい地域管理組合。わかめ組が一気に衰退した結果、オオサカの地域管理組合では最大の勢力を持つ。
北米大陸に位置する超大国で日本を戦争で下し、極端な女尊男卑・女性至上主義を蔓延させた国家。本国では男性の選挙権を剥奪しており、作中日本の描写以上に女性至上主義が蔓延しているが、極端な女性優遇政策により既に政府上層部は腐敗しきっており、同国人のプリシラからも否定的に見られている。次の侵略目標として中国に狙いを付けている模様。 地域管理組合ではないが、オオサカに駐屯地が存在し、軍隊であるため圧倒的な質と戦力を有する。
本作の開発の中心人物であるTADAは、『鬼畜王ランス』のような地域制圧型シミュレーションゲームを作りたいと考え、次にかわいそうなヒロインを多数登場させたいと考えた結果、悪党を主人公に据えることにした[4]。 また、TADAは『RanceV』の開発の失敗などで精神的に疲弊していたが、本作の開発の中でメイン原画の織音が積極的に活動する姿を見て元気を取り戻し、のちに『ランス5D』の開発に乗り出した[4]。
発売前、題材がヤクザであることに加え、典型的な萌えキャラクターがいないことから、TADAは本作があまり売れないだろうと考えていた[4]。 だが、実際は『鬼畜王ランス』に続く地域制圧型シミュレーションゲームとして、発売前から期待されていた[1]。また、業界でも本作に関連した盛り上がりをみせており、たとえばF&C FC02は『Piaキャロットへようこそ!!3』の発売日を本作と同じ11月30日にしている[1]。 発売後も、やり込み性の高さなどから熱狂的な人気を博した一方、凌辱シーンや拷問シーンの多さについては意見が分かれた[1]。
本作は、美少女ゲーム雑誌BugBugの「2001年読者が選ぶ美少女ゲーム年間ランキング」の総合部門とサウンド部門とゲーム性部門で1位を獲得したほか、シナリオ部門で3位に、グラフィック部門で4位にランクインした[5]。さらに同ランキングのキャラクター部門においては、主人公の山本悪司が23位にランクインした[5]。 同誌の2002年4月号に掲載された企画「言いたいホーダイ2001年 編集部㊙座談会」において、当時同誌の編集部に所属していたりっちぃは、総合部門での結果について同誌らしいと発言している[5]。 当時同誌の副編集長を務めていたでも、プレイヤーがモチベーションを保てる仕組みになっている点を評価している一方で、本作は自分でストーリーを構築する作品であるにも拘わらずシナリオ部門で上位にランクインするのはシナリオの構築が上手なのだろうと分析している[5]。
発売から20年近く後の2020年、BugBugが運営するニュースサイト・BugBug.NEWSにて本作のレビューが掲載された。 レビュアーは、戦後復興期をモチーフに、薬物や人身売買が横行する上にヤクザや進駐軍や宗教団体と闘うという混とんとした世界観は、当時のアダルトゲームでは珍しいと述べ、その内容を『はだしのゲン』にたとえている[1]。それがゆえに、もしヒロインが誘拐された場合はもう二度と戻ってこないという絶望感を味わうようなリアリティがあるとも述べている[1]。同様の理由から、レビュアーは本作においては暴力的なHシーンは必須だと述べている[1]。レビュアーはキャラクターたちが魅力的であるからこそ、プレイヤーがどうすれば悲惨な展開を回避できるか模索できるとも述べている[1]。その中でもレビュアーはメインヒロインの岳画殺を挙げており、古風な物腰と、強者に立ち向かう覚悟を持つ姿が主人公のようだと述べている[1]。 また、レビュアーはドライに極道を歩む主人公の山本悪司の行動理念が新鮮であるとし、『Rance』シリーズのランスとは違うタイプのアンチヒーロー像を確立していると述べている[1]。さらに、レビュアーは必要とあらば女だろうが慕う者だろうが平気で殺すほどの実利主義と、身内に対して実利を無視してまで尽くすという相反した性質が、悪司を芯の通った熱きアンチヒーローにしていると評価している[1]。 加えて、レビュアーは本作のテーマが一般受けするとは思えないにもかかわらず大ヒットした理由として、ゲームバランスの良さを挙げている[1]。 レビュアーは本作の音楽も任侠の世界を強調するような音楽だと評価している[1]。
本作の登場人物の何人かは、『Rance』シリーズにも登場している[1]。
グリーンバニーよりVHS・DVDで発売されたもの。全六巻+番外編二巻で、全て18禁である。
2006年にスペインの地上波テレビ「La Sexta」がこのアニメを深夜に放送した。しかし、一般視聴者や保守系団体などから幼児ポルノの要素が含まれると批判をあびたため、同局は放送を中止した。これに対して、一部のスペイン人のアニメファンが放送を続けるべきと主張して議論になった。この論争は、現地の新聞、テレビでも報道された。ちなみに問題になった番外編「殺繚乱」はゲーム本編同様の設定で、ヒロインの岳画殺のみ年齢が向上し18歳になっている(免許証を見せるシーンもある)。