女はそれを我慢できない | |
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The Girl Can't Help It | |
監督 | フランク・タシュリン |
脚本 |
フランク・タシュリン ハーバート・ベイカー |
原作 | ガーソン・カニン |
音楽 | ライオネル・ニューマン |
撮影 | レオン・シャムロイ |
公開 |
1956年12月1日 1957年6月26日 |
上映時間 | 99分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
『女はそれを我慢できない』(おんなはそれをがまんできない、The Girl Can't Help It)は、1956年製作のアメリカ映画。
ジェーン・マンスフィールドのアイドル映画で、ロックンロール全盛期の歌謡系コメディ映画でもある。ビスタ・サイズ白黒が一般的だったロックンロール映画の中で初めてワイド・スクリーン(シネマスコープ)、フルカラーで撮影された映画である。そのため、作中でもスタンダード・サイズ、白黒の場面から、画面の両端が広がり、白黒からカラーになるという演出が加えられている。ザ・ビートルズはメンバー全員リバプールで見て影響を受けたと絶賛し、「ザ・ビートルズ・アンソロジー」で引用されている。
作家・映画評論家の小林信彦が引用している1981年のDanny Pearyの著作「Cult Movies」によると、この映画のプロットは1950年の映画『ボーン・イエスタデイ』の借り物とされている[1]。
酒好きの宣伝屋トム・ミラー(トム・イーウェル)はある日、過去にギャングの親分であったマードック(エドモンド・オブライエン)に出会う。彼はマードックに雇われ、ある条件の下、美人で有名な娘ジェリイ(ジェーン・マンスフィールド)をスターにする仕事をすることになる。その条件とは、絶対に彼女に手を出してはならないというものであったが、この2人は愛し合うようになってしまう。彼女には歌手になるつもりは毛頭ないのだが、マードックに恩義があるために断れず、下手な歌を唱わなければならない。マードックは彼女をスターにしなければ顔が立たないので、でたらめな声でレコードに吹き込んだ彼女の歌を、さまざまなインチキを並べ強引に町中の酒場にかけさせる。それが奇妙な人気を博し、彼女をスターにしてしまう。ニューヨークの初舞台が迫り、はじめは反対していたマードックも、トムとジェリイの仲を許し、めでたくゴール・インとなろうとしたところに、マードックに張り合うギャング親分のホイラーが乗り込んでくる。だがトムが機転をきかせ、マードックが自ら舞台に立つと、得意の「ロック・アラウンド・ザ・ロック・パイル」を歌う。聴衆は喝采し、一緒に感激したホイラーもマードックと握手し、2人の対立は解決する。その10年後、結婚を果たしたトムとジェリイの間には5人の子供が生まれ、マードックはよき「おじいさん」となっている。
米文学者の舌津智之は、「“can’t help it”という表現も、“仕方ない、避けられない”と訳すのが普通であり、代名詞の“it”をいちいち「それ」と訳出するのは一種の直訳的誤訳である。しかし、マリリン・モンローとも比較される女優のジェーン・マンスフィールドが主演するこの映画の邦題は、「それ」に性的な連想を込め、欲望を抑圧しない女性の官能的イメージを呼び覚ますことで、映画のお色気ムードと女性の自由・解放を巧みに演出したのである」としている。[2]
また、同名の楽曲が大信田礼子やアン・ルイスからリリースされている。