市原多朗

市原 多朗(いちはら たろう、1950年1月2日 - )は、日本声楽家テノール歌手。

山形県酒田市出身。2017年2月、酒田市から「酒田市名誉市民」の称号を授与される[1]

人物・来歴

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東京藝術大学大学院修了。加藤千恵、金内馨子、渡邊高之助に師事[2]1979年、第48回日本音楽コンクール第1位、および第15回日伊声楽コンコルソ第1位。1987年芸術選奨新人賞受賞[3]

日本を代表するテノール歌手であり、主にイタリアオペラを中心としたレパートリーを持っている。正統派ベルカントの美声と表現力で、世界で活躍した[4]

主な受賞歴と海外での公演暦

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1980年

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二期会オペラ(日生劇場)、マスネウェルテル』のタイトルロールでオペラ・デビューを飾る。  山形新聞社より「平和賞」受賞。

1981年

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イタリアローマにてジョイント・リサイタルに出演。 

イタリア:第21回ヴェルディ国際声楽コンクール(ブッセート)にて第2位(1位無し)とAMAL賞(ミラノ賞)を受賞。

スイスルガーノにてスイス・イタリア放送局オーケストラによるジョイント・コンサートに出演。  

スペイン:第19回フランシコ・ヴィニャス国際コンクール(バルセロナ)にて第1位大賞、最優秀テノール賞(プラシド・ドミンゴ賞)、ヴェルディ賞(モンセラト・カバリエ賞)の3賞を受賞。

1982年

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ポルトガル:サン・カルロス国立歌劇場(リスボン)にてプッチーニトゥーランドット』のカラフ役にて世界のオペラ界にデビュー。(フランコ・フェラーリス指揮、ガリーナ・サヴォーヴァその他)

1983年

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ポルトガル:サン・カルロス国立歌劇場(リスボン)にてヴェルディ仮面舞踏会』のリッカルド役にて3公演出演。(アルマンド・ガット指揮)

イタリア:マントヴァにてエットレ・カンポガッリアー二のコンサートに出演。

スイス:グラン・テアトロ(ジュネーヴ)での『仮面舞踏会』リッカルド役でルチアーノ・パヴァロッティのカバ−をする。

1984年

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オーストリアザルツブルク音楽祭にてヴェルディ『マクベス』マルコム役を7公演、日本人歌手として初出演する。(リッカルド・シャイー指揮、ピエロ・カップッチッリ、ゲーナ・ディミトローヴァ、ニコライ・ギャウロフその他)

フランスパリ・オペラ座(パレ・ガルニエ)にてシーズン幕開けのヴェルディ『マクベス』マクダフ役で7公演、マルコム役で3公演出演する。(ジョルジュ・プレートル指揮、レナート・ブルゾン、シャーリー・ヴァーレット、ジョン・トムリンソンその他)全仏でTV放送される。

フランス:パリ・オペラ座 R・シュトラウスばらの騎士』のイタリア人テノール歌手役にて4公演出演。

1985年

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フランス:リヨン・オペラ座でヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で6公演に出演する。(ドナート・レンツェツティ指揮)

フランス:パリ・オペラ座で『仮面舞踏会』のリッカルド役で6公演に出演。(指揮はアルベルト・ヴェントゥーラとジャンルイジ・ジェルメッティ、ナタリア・トロイツカ、フアン・ポンス、フィオレンツァ・コッソットその他)

オーストリア:ザルツブルク音楽祭にてヴェルディ『マクベス』のマルコム役で5公演に出演する。

アメリカ:アリゾナ・オペラにてプッチーニ『トスカ』カヴァラドッシ役で4公演に出演し、アメリカ・デビューを飾る。(ツィリス・ガラその他)

フランス:ニース・オペラ座にてヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』のアドルノ役で4公演に出演する。(エミール・チャカロフ指揮、ピエロ・カップッチッリ、ロバート・ロイドその他)

1986年

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ジロー・オペラ賞受賞

イタリア:トリノ王立歌劇場にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で6公演出演し、イタリア・デビューを飾る。(ドナート・レンツェッティ指揮、マリア・キアーラ、フアン・ポンス、パトリーツィア・パーチェその他)

イタリア:サン・カルロ劇場(ナポリ)にてヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』のアドルノ役で7公演に出演する。(レナート・ブルゾンイレアナ・コトルバスチェーザレ・シエピ、その他)イタリアでFM全国中継される。

ドイツハンブルク州立歌劇場にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で2公演出演し、ドイツ・デビューを飾る。(ジュゼッペ・パタネー指揮、ナタリア・トロイツカヤ、レオ・ヌッチその他)

フランス:モンペリエ・オペラ座にてヴェルディ『ルイーザ・ミラー』のロドルフォ役で2公演に出演する。

フランス:オランジュ夏の音楽祭、古代劇場(野外)にてヴェルディ『マクベス』に出演する。(トーマス・フルトン指揮、ピエロ・カップッチッリ、マーラ・ザンピエーリ、ジョン・トムリンソンその他)

アメリカ:ニューヨークメトロポリタン歌劇場にてR・シュトラウス『ばらの騎士』のイタリア人テノール歌手役で6公演に出演しデビューを飾る。(ジェフリー・テイト指揮、アンナ・トモワ=シントウ、ブリギッテ・ファスベンダー、バーバラ・ヘンドリックスその他)

アメリカ:エイヴリー・フィッシャー・ホール(ニューヨーク)にてニューヨーク・フィルハーモニックのヴェルディ『レクイエム』に出演する。(ズービン・メータ指揮、レオナ・ミッチェル、シャーリー・ヴァーレット、マッティ・サルミネン)

1987年

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芸術選奨文部大臣賞新人賞を受賞。

ジロー・オペラ大賞受賞。

第一回村松賞受賞。

アルゼンチンコロン劇場(ブエノスアイレス)にてヴェルディ『レクイエム』に3公演に出演する。 (ロマーノ・ガンドルフィ指揮)

フランス:モンペリエ・オペラ座にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で4公演に出演する。(ジャン・クロード・カサドシュ指揮、ルネ・マシス、クレオパトラ・チウルカ、その他)

アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のパークス・コンサート(野外公演)にてプッチーニ『トスカ』のカヴァラドッシ役で3公演に出演する。(ガルシア・ナバロ指揮)

イタリア:ヴェネチアフェニーチェ歌劇場の野外公演でヴェルディ『レクイエム』に出演する。(エリアフ・インバル指揮)

イタリア:マチェラータ夏の音楽祭(野外)にてヴェルディ『椿姫』のアルフレード役で4公演に出演する。(ダイアナ・ソヴィエロ、ピエロ・カップッチッリ、フアン・ポンス、その他)

チリ:ムニシパル劇場(サンチアゴ)にてヴェルディ『椿姫』のアルフレード役で3公演に出演し、TV生放送される。(ミケランジェロ・ヴェルトリ指揮、ジューン・アンダーソン、その他)

イタリア:サン・カルロ劇場(ナポリ)にてヴェルディ『レクイエム』に4公演出演する。(ロリン・マゼール指揮、ズザン・ダン、ルチーア・ヴァレンティーニ=テッラーニ、クルト・リードル)

1988年

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カナダ:カルガリー冬季オリンピックフェスティバルにてヴェルディ『レクイエム』に2公演出演する。

イタリア:サン・カルロ劇場(ナポリ)にて歌劇場創立250周年記念公演のヴェルディ『ルイーザ・ミラー』のロドルフォ役で5公演に出演する。(チェチーリア・ガスディーア、シモーネ・アライモ、その他)

フランス:リヨン・オペラ座にてヴェルディ『ルイーザ・ミラー』のロドルフォ役で出演する。(マウリーツィオ・アレーナ指揮、ジューン・アンダーソン、その他)DVD化され発売される。

フランス:パリ・オペラ座にてヴェルディ『リゴレット』のマントヴァ公爵役で7公演に出演する。(アラン・ガンガル指揮、アラン・フォンダリー、マッテオ・マヌグエーラ、アリダ・フェラリー二、クリスティーヌ・バルボー、その他)

イタリア:カリアリにてプッチーニ『ラ・ボエーム』のロドルフォ役で4公演に出演する。(マウリーツィオ・アレーナ指揮)

イタリア:スカラ座(ミラノ)にてヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』のアドルノ役で出演する。(演奏会形式、ゲオルグ・ショルティ指揮、マーガレット・プライス、レオ・ヌッチ、パータ・ブルチュラーゼ)

1989年

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イタリア:パルマ王立歌劇場のシーズン開幕公演にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で5公演に出演する。(アンジェロ・カンポーリ指揮、マリア・キアーラ、レオ・ヌッチ、フアン・ポンス、アリダ・フェラリーニ)

イタリア:テアトロ・コムナーレ(ボローニャ)にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で2公演に出演する。(グスタフ・クーン指揮)

アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にてヴェルディ『リゴレット』のマントヴァ公爵役で出演する。(ネッロ・サンティ指揮、レオ・ヌッチ、その他)

フランス:ボルドーにてボルドー管弦楽団のヴェルディ『レクイエム』に2公演とベートーヴェン『交響曲第9番』に2公演出演する。(アラン・ロンバール指揮、カーティア・リッチャレッリジョゼ・ヴァン・ダム

モロッコ:マラケシュにてモロッコ国王還暦記念コンサートにヴェルディ『レクイエム』を2公演とベートーヴェン『交響曲第9番』1公演に出演、フランスTV局が生中継。

フランス:オランジュ音楽祭(野外公演、全仏TV生放送)でヴェルディ『ナブッコ』にイズマエーレ役で2公演に出演する。(トーマス・フルトン指揮、アラン・フォンダリー、ゲーナ・ディミトローヴァ)

カナダ:カナディアン・オペラカンパニー(トロント)にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で7公演に出演する。(ジョン・フィオーレ指揮、レオナ・ミッチェル、その他)

チリ:テアトロ・ムニシパル(サンチアゴ)にてドニゼッティランメルモールのルチア』にエドガルド役で4公演に出演する。TVで生放送される。

1990年

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ポルトガル:サン・カルロス国立歌劇場(リスボン)にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で3公演に出演する。(ナタリア・トロイツカヤ、フィオレンツァ・コッソット、その他)

ポルトガル:ポルトでヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で1公演に出演する。

アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場パークス・コンサート(野外)にて『リゴレット』のマントヴァ公爵役で4公演に出演する。(マルチェッロ・パンニ指揮、アラン・フォンダリー)

フランス:オランジュ夏の音楽祭(野外)にてヴェルディ『レクイエム』に出演する。(ジャン=クロード・カサドシュ指揮、レオナ・ミッチェル、ジョゼ・ヴァン・ダム、その他)

アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で出演する。(アプリーレ・ミッロ、エレーナ・オブラスツォワ、フアン・ポンス、その他)

酒田市より特別功労表彰(文化功労)を受賞する[3]

1991年

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アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にてヴェルディ『リゴレット』のマントヴァ公爵役に出演する。(グイド・アイモネマルサン指揮)

アメリカ:コスタメサ・オペラパシフィック(カリフォルニア)にてヴェルディ『仮面舞踏会』にリッカルド役で3公演に出演する。(レオナ・ミッチェル、その他)

アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場パークス・コンサート(野外)にてヴェルディ『仮面舞踏会』にリッカルド役で4公演に出演する。(ミケランジェロ・ヴェルトリ指揮、デボラ・ヴォイト・ルイス・クィリコ、その他)

アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にてヴェルディ『仮面舞踏会』にリッカルド役にて3公演に出演する。(レオナ・ミッチェル、シェリル・ミルンズ、フアン・ポンス、スミ・ジョー、その他)

1992年

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アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で3公演に出演する。全米向けにFMで放送される。(トーマス・フルトン指揮、レオナ・ミッチェル、シェリル・ミルンズ、その他)

ドイツ:ケルン歌劇場にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で6公演に出演する。(ジェームズ・コンロン指揮、デボラ・ヴォイト、アレクサンドル・アガーケ、その他)

フランス:ボルドー・オペラ座にてヴェルディ『リゴレット』のマントヴァ公爵役で5公演に出演する。(ジョン・フィオーレ指揮、レオンティーナ・バドゥヴァ、アレクサンドル・アガーケ、その他)

イタリア:カルロ・フェリーチェ劇場(ジェノヴァ)にてヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』のアドルノ役で出演。(アラン・ロンバール指揮、パオロ・コー二、フェルッチョ・フルラネット、その他)

1993年

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アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で2公演に出演する。全米向けにFMで放送される。(ジョン・フィオーレ指揮、シャロン・スウィート、フアン・ポンス、その他)

アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にてR・シュトラウス『ばらの騎士』のイタリア人テノールの役で出演する。

アメリカ:シカゴ・リリックオペラにてヴェルディ『仮面舞踏会』にリッカルド役で出演する。(フィオレンツァ・コッソット、ハロリン・ブラックウェル、その他)

ドイツ:ケルン歌劇場にてヴェルディ『仮面舞踏会』のリッカルド役で7公演に出演する。(デビット・アークル指揮、パオロ・コーニ、その他)

アメリカ:シカゴにてヴェルディ『レクイエム』の野外公演に出演する。(マキシミリアーノ・ヴァルデス指揮、その他)

1994年

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アメリカ:ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にてドニゼッティ『ランメルモールのルチア』のエドガルド役で2公演に出演する。(ネッロ・サンティ指揮、マリエッラ・デヴィーア、フアン・ポンス、その他)

フランス:エヴィアンにてヴェルディ『レクイエム』に出演する。(ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮、パータ・ブルチュラーゼ、その他)

1995年

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イタリア:トリノ王立歌劇場にてヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』のアドルノ役で5公演に出演する。(ダニエル・オーレン指揮、ジャンカルロ・パスクエット、ジョルジョ・ジョゼッピーニ、ロレンツォ・サッコマーニ、ニーナ・ラウティオ、その他)

イタリア:サン・カルロ劇場(ナポリ)にてヴェルディ『椿姫』のアルフレード役で3公演に出演する。(ジュシー・デヴィヌー、パオロ・コーニ、その他)

1997年

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イタリア:トリノ王立歌劇場にてヴェルディ『ナブッコ』のイズマエーレ約で8公演に出演する。(ダニエル・オーエン指揮、レオ・ヌッチ、フェルッチョ・フルラネット、マリア・ドラゴーニ、その他)

脚注

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  1. ^ 酒田市名誉市民 - 酒田市
  2. ^ アーティストプロフィール”. TOPPN HALL. 2020年3月8日閲覧。
  3. ^ a b 市原多朗(テノール) (PDF) - 株式会社AMATI
  4. ^ 市原多朗とは - コトバンク

外部リンク

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  • 市原多朗 - マネジメントを担う株式会社AMATIのページ