新幹線E3系電車 | |
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基本情報 | |
運用者 | 東日本旅客鉄道 |
製造所 |
川崎重工業 東急車輛製造 |
製造年 | 1995年 - 2010年 |
製造数 | 41編成261両 |
改造所 |
川崎重工業[R 1] 総合車両製作所横浜事業所[R 2] |
運用開始 |
0番台:1997年3月22日 1000番台:1999年12月4日 2000番台:2008年12月20日 |
投入先 | 東北・秋田・山形新幹線 |
主要諸元 | |
編成 |
R編成:5両(4M1T)→6両(4M2T) L編成:7両(5M2T) |
軌間 | 1,435 mm(標準軌) |
電気方式 |
交流25,000V・50Hz 交流20,000V・50Hz |
最高運転速度 |
275 km/h 240 km/h(200系・E4系併結時) 130 km/h(在来線区間) |
設計最高速度 | 315 km/h |
起動加速度 |
新幹線区間単独走行時:1.6 km/h/s[1] 在来線区間:2.0 km/h/s[1][2] |
減速度(常用) | 在来線区間:5.2 km/h/s[2] |
減速度(非常) | 在来線区間:5.2 km/h/s[2] |
編成定員 |
0番台:計338名(23名) 1000番台:計402名(23名) 2000番台:計394名(23名) 700番台R18編成:計143名 700番台R19編成:計105名 ()内はグリーン車 |
編成重量 |
2・3次車(6両)258.2 t[R 3] 4次車(7両)302.3 t[R 4] 2000番台:307.5 t |
全長 |
先頭車:23,075 mm 中間車:20,500 mm |
全幅 | 2,945 mm |
全高 |
4,080 mm(屋根高さ) 4,280 mm(パンタカバー高さ) |
床面高さ | 1,300 mm |
車体 | アルミニウム合金 |
台車 |
ゴム併用板ばね式ボルスタレス台車 DT207(1次車電動車) DT207A(2 - 4次車電動車) DT207B(5 - 7次車,2000番台電動車) TR7005(1次車付随車) TR7005A(2 - 4次車,2000番台付随車) TR7005B(5 - 7次車付随車) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 MT205 |
主電動機出力 | 300 kW × 4基 |
駆動方式 | WN駆動方式 |
歯車比 | 28:85(3.04) |
編成出力 |
4,800 kW(R編成) 6,000 kW(L編成) |
制御方式 | VVVFインバータ制御 |
制御装置 |
CI5/CI5A(1 - 4次車、GTO素子) CI12A(5次車 - 、IGBT素子) |
制動装置 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、抑速ブレーキ(在来線区間) |
保安装置 | ATC-2型、DS-ATC、ATS-P※2 |
備考 |
※は在来線区間。 注釈 |
新幹線E3系電車(しんかんせんE3けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の新幹線直行特急(ミニ新幹線)用新幹線車両。
1997年(平成9年)に開業する秋田新幹線用の車両として開発され、1995年(平成7年)3月に量産先行車(1次車)として5両編成が1本落成し[3]、1996年10月から量産車(2次車)が落成した[4]。その後、1999年(平成11年)の山形新幹線新庄延伸開業の増備車として1000番台、2008年(平成20年)から400系の置き換え用として2000番台が増備された。
これに加え、0番台を改造した「のってたのしい列車」の700番台の4種類が存在するほか、派生車種として本形式をベースとした電気軌道総合試験車のE926形が存在する。
デザインはGKインダストリアルデザイン[5]、製造は川崎重工業と東急車輛製造が担当した。
車両の所有は秋田新幹線用のR1 - R16編成(E328形は除く)は新製当初、第三セクターの「秋田新幹線車両保有株式会社」が車両を所有し、同社がJR東日本へリースする形をとっていた。リース期間の満了に伴い同社は2010年3月に解散し[6] 、所有車両は同月22日にJR東日本へ有償譲渡された[7]。これ以外の編成は新製当初よりJR東日本の所有となっている。
本項では共通事項について述べ、路線・仕様毎の差異については次項で記述する。
分類上は新幹線車両ではあるが在来線も走行するため、車体長20,000 mm・車体幅2,950 mmと車体の狭い在来線の規格に合わせている。アルミニウム合金で製作された車体は、400系より1両平均2tの軽量化を実現した[8]。
車体幅の小さい本系列では、新幹線の各駅でプラットホームとの間に大きな隙間ができるため、ドアの部分には延長ステップが装備され、新幹線の各駅での停車中に限り自動的にステップがドアの下から回転して上がるようにセットされ(車体の両側のドアのステップが上がる)、ホームとの隙間を埋めている。
東京寄りの先頭車(11号車)には分割・併合装置が収められ、200系やE2系・E4系・E5系・H5系と連結運転を行うことができる[9]。
車両側面にはLED式行先表示器が設置されており、列車種別・座席種別と行先を交互に表示する。
電源は交流50Hz・25,000V(新幹線)と交流50Hz・20,000V(在来線)の両方に対応している。力行・制動方式はVVVF制御インバータ制御で、使用する素子は前期製造車両がGTOサイリスタ、後期車両がIGBTである。
電動車2両おきに主変圧器を1台搭載し、各電動車両の主変換装置(CI5〔R1編成のみ〕/ CI5A)によって主電動機を駆動する。主変換装置1台当たり4台の電動機を制御する[10]。主電動機は、E2系と共通のかご形三相誘導電動機 MT205形 を採用する[11]。連続定格出力は300kWである[12]。
補助電源装置はIGBT素子を使用した「APU」(Auxiliary Power Uint)装置を採用している[13][14]。装置は三菱電機が製作したもので、小型軽量・高性能なものとなっている[13]。形式はSC206A、静止形インバータ方式、定格容量は 77 kVA を有する[13]。主変圧器三次巻線からの単相交流400 V,50Hzを入力電圧とし、内蔵のCVCFインバータにより単相交流100 V,50Hzを 14 kVA (一般負荷用)、整流装置により直流100Vを45 kW (蓄電池などに供給)、補助変圧器(電圧を安定化する必要がないもの)により単相交流100V,50Hzを冬季 18 kVA 、夏季は10 kVA (暖房器などに供給)を出力している[13][14]。秋田新幹線用ではE329形に2台を搭載する。
台車はボルスタレス台車 DT207(電動車)・TR7005(付随車)で、基本的な構造は400系に準じている[11]。車輪径は860mm、軸距は2,250mm、軸箱支持方式は支持板方式である[11][9]。量産車(2次車以降)からはサフィックスが追加されたDT207A(電動台車)・TR7005A(付随台車)となる[10][15]。ただし、0・1000番台 5 - 7次車と2000番台の電動台車はDT207B、0・1000番台 5 - 7次車の付随台車はTR7005Bとなる[16][17]。歯車比は3.04である[12]。
ブレーキ装置は応荷重制御および遅れ込め制御を備えた回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式を採用する[12][18]。常用ブレーキ、非常ブレーキ、緊急ブレーキ、補助ブレーキ、耐雪ブレーキ(新幹線区間では110 km/h以下のみ作用する)、抑速ブレーキおよび直通予備ブレーキを備える[18]。このうち、抑速ブレーキならびに直通予備ブレーキは在来線区間のみ使用可能で、新幹線区間ではインターロックにより作用しない[18]。
運転保安装置は、新幹線区間の自動列車制御装置(ATC-2型・DS-ATC)と在来線区間の自動列車停止装置(ATS-P形)が装備されている。
集電装置はシングルアームのPS206形 を1編成あたり2基搭載する[10]。パンタグラフ搭載車両とその隣の車両にまたがる形で「がい子カバー」(パンタグラフカバー)が装着される[注 1][10]。新幹線区間では2基とも使用するが、在来線区間を走行する際には1基のみ使用する。
編成中の1両(11号車・E311形)はグリーン車で、ほかの車両が普通車となっている[9]。400系とは異なり、グリーン車の座席配列は2列+1列から2列+2列に変更されている[9]。シートピッチは1,160 mm を確保している[9]。
普通車の座席配列はグリーン車と同じく2列+2列であるが、指定席車両は980 ㎜、自由席車両は910 mmと、シートピッチが異なる[9]。秋田新幹線用の指定席車両は、座席モケットが黒・茶色系で側窓カーテンは赤色系だが、自由席車両は座席モケット・側窓カーテンとも青色系となっている[9]。2両に1か所程度の割合で、真空式(量産車から)を採用したトイレが設置されている[19]。秋田新幹線用のみ、折り返し時間の短縮を目的に座席の電動回転装置を備える[19]。
各車両客室の仕切扉上部にはLED式車内案内表示器を設置する[9]。
従来の新幹線車両の運転台は形式ごとに設計・製作をしてきたが、設計・製作時間の短縮や運転士の取り扱い共通化のため、量産車では以下のコンセプトで設計を行った[20]。
さらに製作期間の短縮とコストダウンのため、運転台計器パネルやマスコンテーブル周辺は、FRP成形品によるモジュール構造を採用した。車両への搬入前にアウトワークにおいて組み立て、調整後に一部解体、再度車内で組み立てる方式を採用した[20]。
この運転台は当時、JR東日本の新幹線車両で最も狭くなるE2系に適合するものとして開発したものであるが、本系列量産車においても適用されている[20]。また、量産車からはマスコンハンドルおよびブレーキ操作器のハンドル形状を変更した[19]。
速度計は本系列およびE2系より液晶モニター(LCD)画面に表示するグラスコックピット方式を採用した[19][20]。このほか、運転支援表示用および車両情報表示用の2画面、計3画面の液晶モニターを配置する[20]。速度計は、新幹線区間と在来線区間でスケールの異なるものを使い分けている。
量産先行車では列車無線、構内無線、車内放送用として乗務員室(運転台・車掌室)に6台の送受話器(ハンドセット)を配置していたが、量産車ではスペースの有効活用を図るために統合を行い、送受話器(ハンドセット)3台に集約した[19][20]。
2011年(平成23年)4月29日、東北新幹線の復旧に合わせてE311形に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)復興推進キャンペーンのステッカーが、E322形に青森デスティネーションキャンペーンのステッカーがそれぞれ貼り付けられた。ただし、R編成とL編成で貼付位置が異なり、R編成は他車と同様に車体の運転席寄りに、L編成は「つばさ」ロゴと並ぶ様に車体の連結部寄りに貼り付けされている。
秋田新幹線「こまち」用として当初は5両編成で落成。開業から1年を迎える1998年(平成10年)1月に編成の増強が発表され[21]、同年12月に増結付随車E328形が登場して6両編成となった。
最高速度は在来線区間が130 km/h、新幹線区間が275 km/hとなっている。引張力・加減速特性などはE2系と同じで、単独走行およびE2系との併結運転時でも特に調整などは行っていない。在来線区間走行時は電圧および信号のATCからATS-Pへの切り替えを行っている。
デザインは「颯爽」「自然との調和」「未来」をキーワードとして秋田の田園風景や雪景色との調和を意識し[22]、外観はセラミックホワイト( )をベースに、ビビットピンク( )の帯、裾部はメタリックグレー( )の塗装が施されている[3]。側面の「こまち」のロゴは良寛の毛筆を意識してGKデザイングループの榮久庵憲司が揮毫し複数の色でジャズ的な雰囲気を演出するものとした[23]。
1997年(平成9年)3月の開業前に落成した量産車。当初は5両編成であったが、翌年10月から12月にE328形(3次車)を連結して6両編成とされた[28]。そのため、E329形とE328形(13号車と14号車)の連結部にはパンタグラフのない「がい子カバー」(量産車ではパンタグラフカバーから名称変更[19])が存在する(R1編成も同様・上記写真の2つ目が該当する)。
← 東京/秋田[注 8] 大曲 →
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号車 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | |
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形式 | E311形 (M1sc) |
E326形 (M2) |
E329形 (T1) |
E328形 (T2) |
E325形 (M1) |
E322形 (M2c) | |
搭載機器 | CI,CP | Mtr,CI | APU×2 BT |
BT | CI,CP | MTr,CI | |
座席 | グリーン車 | 普通車 | |||||
定員 | 23 | 67 | 60 | 68 | 64 | 56 | |
編成 | R1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
R2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | |
: | : | : | : | : | : | : | |
R25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | |
R26 | 26 | 26 | 26 | 26 | 26 | 26 |
凡例
編成名 | 落成日 | 製造会社 | 6両編成化 | 編成名削除 | 備考 |
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S8 →R1 |
1995年3月28日 | 川崎重工業 [注 9] |
1998年10月29日 | 2013年8月26日 | 量産先行車(1997年3月19日量産化改造) |
R2 | 1996年10月9日 | 1998年11月1日 | 2013年12月13日 | ||
R3 | 1996年10月14日 | 1998年11月4日 | 2014年5月26日 | ||
R4 | 1996年10月22日 | 1998年11月6日 | 2014年1月9日 | ||
R5 | 1996年10月28日 | 東急車輛製造 | 1998年11月9日 | 2013年4月26日 | |
R6 | 1996年11月6日 | 1998年11月12日 | 2013年4月12日 | E3系の廃車第1号 | |
R7 | 1996年11月11日 | 川崎重工業 [注 9] |
1998年11月22日 | 2013年5月17日 | |
R8 | 1996年11月15日 | 1998年11月24日 | 2013年5月24日 | ||
R9 | 1996年11月22日 | 1998年11月26日 | 2013年6月7日 | ||
R10 | 1996年12月2日 | 1998年11月28日 | 2013年8月27日 | ||
R11 | 1996年12月12日 | 東急車輛製造 | 1998年10月30日 | 2013年9月13日 | |
R12 | 1996年12月21日 | 1998年11月17日 | 2013年11月27日 | ||
R13 | 1997年1月10日 | 1998年12月5日 | 2013年10月19日 | ||
R14 | 1997年1月30日 | 1998年11月14日 | 2013年12月1日 | ||
R15 | 1997年2月7日 | 1998年11月16日 | 2014年1月28日 | ||
R16 | 1997年2月17日 | 1998年11月19日 | 2014年3月8日 | ||
R17 | 1998年9月30日 | - | 2013年7月28日 | ||
R18 | 2002年10月23日 | 川崎重工業 | - | 2022年8月22日 | 700番台(とれいゆ)に改造 |
R19 | 2002年11月18日 | - | 2021年3月1日 | 700番台(現美新幹線)に改造 | |
R20 | 2003年3月24日 | - | 2015年12月17日 | ||
R21 | 2003年9月16日 | - | 2021年9月13日 | 撤退前は、東北新幹線付属編成用 Wi-Fi有り | |
R22 | 2003年10月27日 | - | 2021年11月25日 | ||
R23 | 2003年12月1日 | - | 2014年5月25日 | 2両は1000番台(L55編成)に改造・編入 | |
R24 | 2005年4月4日 | - | 2013年12月4日 | 2両は1000番台(L54編成)に改造・編入 | |
R25 | 2005年7月11日 | - | 2013年12月18日 | 5両は1000番台(L54編成)に改造・編入 | |
R26 | 2005年7月25日 | - | 2014年7月6日 | 5両は1000番台(L55編成)に改造・編入 |
当初は「なすの」運用を除けば「こまち」のみの運用であり、車体側面の「こまち」ロゴの横に「JR Akita-Shinkansen」(試験運行時は「SERIES E3」も)と表記されていたが、後に運用が拡大したのを受けこの表記は削除された。「やまびこ」・「なすの」として運転される際は、時刻表に「こまちタイプ車両を連結」と追記された。
上越新幹線での営業運転実績はないが、試運転・検査や新潟新幹線車両センターでの展示公開などで、乗り入れ実績がある。
2011年(平成23年)11月19日より、E5系との併結運転を開始した[32]。E5系と併結する場合、最高速度や加速度は本系列と同等に調整して運転される。2013年(平成25年)9月28日のダイヤ改正でE2系との併結運転を終了し、本系列の併結相手はE5系に一本化された[33][注 10]。
2013年6月より秋田新幹線「こまち」にはE6系が投入され、置き換えられた本系列は順次「こまち」運用から離脱した[34]。2013年4月12日付でR6編成が廃車になったのを皮切りに、同年9月末までに量産先行車のR1編成を含む9編成が廃車となった[35]。
秋田新幹線からの引退を記念して、2013年(平成25年)11月下旬頃より残存編成に順次記念ラッピングが施工された[36]。このうち、ラッピング施工第一編成であったR4編成は同年12月15日に引退セレモニーが行われた[37]。
2014年(平成26年)3月15日のダイヤ改正をもって秋田新幹線区間での定期運用を終了し[38]、同年3月までに8編成が廃車され、1998年までに落成したR1 - R17編成は全廃となった。一方で2002年以降に落成したR18 - R26編成は残存し、以下の通り改造・転用等が行われた。
2017年(平成29年)3月25日には団体専用列車『秋田新幹線開業20周年記念号』が運行され、R21編成が充当された。本系列が営業列車として秋田新幹線区間を走行するのは、およそ3年ぶりとなる[39][40]。
最後まで残存したR21・R22編成は主に16両編成の「なすの」「やまびこ」で運用され、繁忙期には東京駅 - 盛岡駅間の臨時「はやて」の運用に充当される場合もあったが、2020年(令和2年)10月より、一部列車において編成短縮が行われ[45]、2編成とも定期運用から離脱した[46]。その後、R21編成は2021年9月13日付で、R22編成は2021年11月25日付で廃車され[47][48]、0番台は全廃となった。
山形新幹線「つばさ」用として7両編成で導入された[49]。秋田新幹線用とは異なる編成形態から、1000番台に区分されている[49]。最高速度は在来線区間では130km/h、新幹線区間では275km/h。(登場時は240km/h)
登場時の外観は400系「つばさ」のイメージを継承しつつ一新され、シルバーメタリック( )と明るいグレー( )の二色の塗り分けに、緑色( )の帯の塗装が施された[49]。ロゴは、大きな鳥の翼を模したものであり、過去には「四季感動のやまがた」のロゴマークも表記されていた[50]。400系も本系列投入後に順次同一の塗装に変更されている。
全車ともカーテンを山形仕様に変更し、ごみ圧縮装置付は撤去して一般的なごみ箱に交換している。
← 東京 山形・新庄 →
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備考 | ||||||||
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号車 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | ||
形式 | E311形 (M1sc) |
E326形 (M2) |
E329形 (T1) |
E326形 (M2) |
E328形 (T2) |
E325形 (M1) |
E322形 (M2c) | ||
搭載機器 | CI,CP | MTr,CI | APU,CP BT |
MTr,CI | APU BT |
CI,CP | MTr,CI | ||
座席 | グリーン車 | 普通車 | |||||||
定員(名) | 23 | 67 | 60 | 68 | 64 | 64 | 56 | ||
編成 | L51 | 1001 | 1001 | 1001 | 1101 | 1001 | 1001 | 1001 | 廃車済 |
L52 | 1002 | 1002 | 1002 | 1102 | 1002 | 1002 | 1002 | 廃車済 | |
L53 | 1003 | 1003 | 1003 | 1103 | 1003 | 1003 | 1003 | ||
L54 | 1004 | 1004 | 1004 | 1104 | 1004 | 1004 | 1004 | 0番台R24・R25編成からの改造 | |
L55 | 1005 | 1005 | 1005 | 1105 | 1005 | 1005 | 1005 | 0番台R23・R26編成からの改造 |
凡例
編成名 | 落成日 | 製造/転用改造 会社 |
製造/転用改造 の種別 |
新塗装化 | 編成名削除 | Wi-Fi | 備考 |
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L51 | 1999年8月30日 | 東急車輛製造 | 製造 | 廃車のため新塗装化なし | 2014年9月5日 | 廃車の為設置なし | L54編成に置き換えられ廃車 |
L52 | 1999年9月20日 | 川崎重工業 | 製造 | 廃車のため新塗装化なし | 2015年2月4日 | L55編成に置き換えられ廃車。この編成の廃車を以て本系列からGTO-VVVFインバータを搭載する車両が消滅 | |
L53 | 2005年8月2日 | 東急車輛製造 | 製造 | 2015年11月24日 | 2024年3月25日 | 導入済み | |
L54 | 2014年7月30日 | 総合車両製作所 横浜事業所 |
転用改造 | 転用と同時施工 | 2024年8月30日 | 0番台(R24・R25編成)の一部車両を改造・編入 L51編成置き換え | |
L55 | 2015年1月12日 | 総合車両製作所 横浜事業所 |
転用改造 | 転用と同時施工 | 2024年5月13日 | 0番台(R23・R26編成)の一部車両を改造・編入 L52編成置き換え |
2007年(平成19年)7月のJR東日本定例会見[53]において、山形新幹線400系の置き換え用として発表された車両である[54]。基本設計は1000番台に準じているが、最高速度が275km/hに引き上げられた。
外観では前照灯と運転席の窓周りの塗装を変更(ピラーが未塗装)され、側面の行先表示器にフルカラーLED式を採用[55]。11・17号車にフルアクティブサスペンションを[55]、12 - 16号車にセミアクティブサスペンションを搭載している[55]。
グリーン車の全席と普通車の窓際・最前部・最後部に電源コンセントを設置し、テーブルはA4サイズのノートパソコンが置けるサイズに拡大した[55]。ロールカーテンの生地を変更し、グリーン車は山形県の花「ベニバナ柄」、普通車は山形県の木「さくらんぼ柄」を採用した[55]。自由席(16・17号車)のシートピッチを拡大しており(910mm → 980mm)[55] 、これに伴い編成全体の定員が8名減っている[55] 。
車内に除菌イオンによる空気清浄機を鉄道車両として初めて搭載[56]し、大型フルカラーLEDの車内案内表示器を設置した。客室内の非常警報ボタンを車掌と通話できる非常通報装置に変更し、デッキ部分に防犯カメラを設置した。1000番台L53-55編成と同様にドアの開閉に合わせてドアチャイムが鳴動するが、2000番台は手すり部分のドア開閉表示灯の点滅機能も装備している。 11号車の車椅子対応トイレスペースを拡大、各洋式トイレにベビーベッドを設置した[55]。洗面所のカーテンにはさくらんぼ柄を採用したほか、デッキの手すりおよび洗面所の帽子掛けにはさくらんぼ柄の山形鋳物を使用している[55]。それまで12号車に設定されていたAEDの号車が13号車に変更された。
← 東京 山形・新庄 →
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号車 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | |
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形式 | E311形 (M1sc) |
E326形 (M2) |
E329形 (T1) |
E326形 (M2) |
E328形 (T2) |
E325形 (M1) |
E322形 (M2c) | |
搭載機器 | CI,CP | MTr,CI | APU,CP BT |
MTr,CI | APU×2 CP,BT |
CI,CP | MTr,CI | |
座席 | グリーン車 | 普通車 | ||||||
定員(名) | 23 | 67 | 60 | 68 | 64 | 60 | 52 | |
編成 | L61 | 2001 | 2001 | 2001 | 2101 | 2001 | 2001 | 2001 |
L62 | 2002 | 2002 | 2002 | 2102 | 2002 | 2002 | 2002 | |
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L71 | 2011 | 2011 | 2011 | 2111 | 2011 | 2011 | 2011 | |
L72 | 2012 | 2012 | 2012 | 2112 | 2012 | 2012 | 2012 |
凡例
編成名 | 落成日 | 製造会社 | 新塗装化 | 編成名削除 | Wi-Fi | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
L61 | 2008年10月9日 | 川崎重工業 | 2016年7月6日 | 2024年12月6日 | 導入済み | |
L62 | 2008年12月9日 | 2016年10月27日 | ||||
L63 | 2009年1月7日 | 2016年12月15日 | 2024年8月29日 | 旧塗装最終車 | ||
L64 | 2009年2月17日 | 2014年4月25日 | 2024年12月25日 | 塗装変更第一号 | ||
L65 | 2009年3月3日 | 2014年6月6日 | 旧塗装復刻編成 | |||
L66 | 2009年3月25日 | 2014年10月22日 | 2025年1月7日 | 2024年3月6日につばさ121号で運用中に郡山駅でオーバーランした編成 | ||
L67 | 2009年3月28日 | 東急車輛製造 | 2014年11月12日 | [注 13] | ||
L68 | 2009年4月14日 | 川崎重工業 | 2014年12月5日 | |||
L69 | 2009年5月19日 | 2015年2月23日 | ||||
L70 | 2009年6月30日 | 2015年4月6日 | ||||
L71 | 2009年7月22日 | 2015年4月24日 | ||||
L72 | 2010年3月25日 | 2015年9月18日 |
1000番台は1999年(平成11年)の山形新幹線新庄開業時に運用を開始した。2000番台は2008年(平成20年)12月から2010年(平成22年)3月にかけて7両編成12本(84両)が落成し、2008年12月20日の「つばさ112号」(山形発東京行)より営業運転を開始し、2010年4月までに400系を全車代替した。
当初は400系との共通運用[注 14]が組まれ、その撤退後も併結車両がE4系(いずれも最高速度240km/h)に限定されていたが、2012年3月17日のダイヤ改正からE2系との併結運転が行われるようになり、最高速度275km/hでの営業運転を開始した[57]。
L51編成は、後述のL54編成と入れ替わる形で運用を離脱し、2014年(平成26年)8月20日に新幹線総合車両センターへ回送され[58]、同年9月5日付で廃車となった[59]。L52編成も、後述のL55編成と入れ替わる形で運用を離脱し、2015年(平成27年)2月4日付で廃車された[60]。これにより、本系列にてGTO-VVVFインバータを搭載する編成が全廃となった。
2024年(令和6年)3月16日のダイヤ改正にてE8系の導入に伴い、1000番台は営業運転を終了した[61]。残存する2000番台はE5系との併結運転を開始し、E2系との併結運転を終了した[62]。
2024年12月現在、2000番台は7両編成8本(56両)が山形新幹線車両センターに配置されている。運用は以下の通り。
路線 | 種別 | 列車名 | 運転区間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
山形新幹線 | つばさ | 下り121・123・133・137・141・143・145号 上り128・136・138・140・150・156・158・160号 |
東京駅 - 新庄駅間 | 東京駅 - 福島駅間でE2系「やまびこ」併結 ただし、下り121号と上り160号を除く |
下り127・129・135・139・153・159号 上り132・142・146・148・154号 |
東京駅 - 山形駅間 | 東京駅 - 福島駅間でE2系「やまびこ」併結 ただし、下り129号と上り138号を除く | ||
下り171号 | 山形駅 - 新庄駅間 | |||
東北新幹線 | なすの | 下り267・269・281号 上り260・262・266号 |
東京駅 - 那須塩原駅間 | E2系併結、グリーン車以外自由席 ただし、上り266号は土曜・休日運休 |
R18編成は川崎重工業車両カンパニー(兵庫工場)に海上輸送され、観光列車「とれいゆ」に改造された[64]。デザインは奥山清行が担当。「とれいゆ」という名称は「トレイン(列車)」と「ソレイユ(フランス語で太陽の意味)」を組み合わせた造語で、「食(太陽の恵みによる様々な食材)」、「温泉」、「歴史・文化」、「自然」を温泉街のように散策しながら列車の旅を楽しむ、というテーマが凝縮された列車であることから命名された。エクステリアは山形県中央部にある「月山」をモチーフとした緑色を中心に、山形県を流れる「最上川」をモチーフとした青色を先頭部に、蔵王をモチーフとした白色を全体的に配している。
福島駅 - 新庄駅間の山形新幹線区間で臨時列車「とれいゆ つばさ」[注 18]として2014年7月19日に営業運転を開始した。定員は143名(120名)で、全車指定席として運行される。6両編成で、11号車(23席)が普通車指定席、12 - 14号車(120席)が「お座敷指定席(語らいの間)」、15号車が「湯上りラウンジ(モノや人との出会いの間)」、16号車が「足湯(くつろぎの間)」となっている。
なお、「とれいゆ」に改造されたR18編成は700番台に改番され[69]、2014年6月25日から試運転が開始された。番号の新旧対照は次の通り。
元グリーン車のE311形が普通車に格下げされて新形式のE321形が誕生したが、座席はグリーン車時代のものを使用している。
2022年3月をもって、引退することが発表された。定期運行は3月6日で終了し、それ以降は旅行商品専用列車として運行し、3月31日の「山形発 とれいゆ つばさで行く新幹線総合車両センター」がラストランとなる予定だったが[70]、3月16日に発生した福島県沖地震の影響で東北新幹線が不通となったため、3月27日の「ありがとう とれいゆ つばさフィナーレ号」が事実上の最終運行となった[71]。運用終了後は、2022年10月22日の「新幹線総合車両センター基地ツアー2022」の「新幹線お楽しみ撮影会コース」で14号車から16号車の内部が公開、東京方(11号車)からの撮影が行われ、その後に解体されている。
秋田新幹線用の0番台のうち、R19編成は川崎重工業車両カンパニー(兵庫工場)に海上輸送され、観光列車「現美新幹線」に改造された。世界最大規模のアートイベント「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が開催される新潟エリアに、首都圏や海外から、さらに地元の利用客も楽しめる新しいコンテンツとして、「移動する現代アートの美術館」を投入することとなった[72]。越後湯沢駅 - 新潟駅間の上越新幹線区間で臨時特急列車「とき」として2016年4月29日から営業運転を開始し、臨時列車として土休日を中心に年間120日程度運行されている。定員は105名。
外観デザインは蜷川実花が担当。11号車と13号車の一部を除いた編成片面の窓を埋め込み、黒を基調に夏の夜空を彩る長岡の花火を描いている。6両編成のうち11号車がグリーン車から格下げの指定席車、13号車がカフェ・キッズスペースとなっており、他の車両は進行方向と平行に座席を設置した鑑賞スペースとなっており、車両ごとにアーティストが制作した現代アートで形作られる。
「現美新幹線」に改造されたR19編成はR18編成「とれいゆ」に引き続き、700番台に改番された[73]。番号の新旧対照は次の通り[74]。
車両の老朽化に伴い、2020年12月19日をもって定期運行を終了[75]、翌12月20日の団体専用列車をもって営業運行を終了した[76]。運行終了後、廃車となった[77]。
2024年(令和6年)3月16日のダイヤ改正より、山形新幹線に新型車両の「E8系」が導入され[78]、残存していた1000番台はE8系導入で直ぐに置き換えられ、ダイヤ改正で定期運用から離脱した。また2000番台に関しても2026年春ごろまでに置き換えられる予定となっている[79]。このうち1編成は2025年秋頃を目途に、座席等を撤去の上で荷崩れ防止の為の装置などを取り付けた試作型荷物専用車に改造し、東京 - 盛岡間で運行する計画である[80]。