この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
有価証券のペーパーレス化(英語: dematerialization of securities)とは、事務の効率化のため、従前の(私法上の意味での)有価証券(社債券や株券)を通じた権利(社債や株式)の発行・流通の制度を改め、券面の存在を前提としない振替制度に改革したことである。また、広義には、有価証券の存在を前提としつつも流通に際して券面の交付を要しない制度にすることを広く指し、この場合には不動化や大券化を含む。
有価証券は、本来、権利の流通を円滑にするために用いられるようになったものであったが、同時に券面という物理的な存在は、盗難や偽造、紛失などの危険も増大させるものであり、また発行・保管に係るコストの発生にもつながる。さらにITの発達は権利の流通面における券面の存在の必要性を大きく縮小させた。そこで、より機動的で安全な新たな権利の流通制度が設けられるようになり、権利は券面から切り離されることとなったのである。
券面から切り離された権利は商法上の意義における有価証券ではないが、金融商品取引法(旧証券取引法)においては、本来的に有価証券とされているものについては、ペーパーレス化されてもなお当該有価証券とみなされて同法による規制の対象となる。