有田郡

和歌山県有田郡の範囲(1.湯浅町 2.広川町 3.有田川町)

有田郡(ありだぐん)は、和歌山県紀伊国)の

人口40,634人、面積437.99km²、人口密度92.8人/km²。(2024年11月1日、推計人口

以下の3町を含む。

郡域

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1879年明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、上記3町に有田市の大部分(初島町里・初島町浜を除く)を加えた区域にあたる。

歴史

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古代

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紀伊続風土記』によると、古代は安諦郡(あで)という郡名であったが、平城天皇の諱「安殿(あて)」と音が似て畏れ多いということから在田郡に改称したという。

式内社

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延喜式神名帳に記される郡内の式内社

神名帳 比定社 集成
社名 読み 付記 社名 所在地 備考
在田郡 1座(大)
須佐神社 スサノ 名神大 月次新嘗 須佐神社 和歌山県有田市千田 [1]
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近世

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江戸時代までは在田郡とも表記した。

知行 村数 村名
藩領 紀伊和歌山藩 133村 畑村、道村、滝村、滝川原村、南村、東村、須谷村、中番村、西村、辻堂村、中島村(現・有田市)[1]、千田村、山田原村、野村、新堂村、箕島村、北湊村、小豆島村、古江見村、山地村、田村、栖原村、湯浅村、吉川村、別所村、青木村、広村、山本村、和田村、西広村、唐尾村、中野村(現・広川町)[2]、金屋村(現・広川町)[2]、殿村、河瀬村、上津木村、下津木村、前田村、井関村、柳瀬村、名島村、中村(現・広川町)[2]、熊井村、奥村、中野村(現・有田川町植野)[3]、土生村、宿村、水尻村、明王寺村、天満村、下津野村、野田村、小島村、中島村(現・有田川町)[4]、長田村、角村、出村、船阪村、賢村、井口村、大谷村(現・有田川町大谷)[4]、田口村、大賀畑村、田角村、長谷村、釜中村、上六川村、黒松村、下六川村、糸野村、丹生村、庄村、垣倉村、吉見村、徳田村、吉原村、糸川村、修理川村、宇井苔村、岩野河村、粟生村、川口村、松原村、歓喜寺村、長谷川村、中野村(現・有田川町中野)[5]、金屋村(現・有田川町)[5]、中井原村、市場村、小川村、青田村、有原村、西ヶ峯村、彦ヶ瀬村、瀬井村、中村(現・有田川町中)[5]、中嶺村、本堂村、沼田村、冬村、延坂村、大西村、大薗村、尾上村、小原村、立石村、谷村、大谷村(現・有田川町東大谷)、二川村、日物川村、境川村、楠本村、大蔵村、沼村、遠井村、三田村、宮川村、沼谷村、久野原村、西原村、清水村[6]、三瀬川村、中原村、川合村、北野川村、下湯川村、井谷村、押手村、板尾村、杉野原村、二沢村、上湯川村、西丹生図村
紀伊新宮藩[7] 2村 中村(現・有田川町尾中)、東丹生図村
紀伊田辺藩[8] 1村 山田村
和歌山藩・新宮藩 2村 星尾村

近現代

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町村制以前

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  • 明治4年
  • 明治12年(1879年
    • 1月20日 - 郡区町村編制法の和歌山県での施行により、行政区画としての有田郡が発足。郡役所が湯浅村に設置。
    • 中野村(現・広川町)が上中野村に、金屋村(現・広川町)が南金屋村に、中村(現・広川町)が東中村に、中野村(現・有田川町植野)が植野村に、宿村が岡田村に、大谷村(現・有田川町東大谷)が東大谷村に、中村(現・有田川町尾中)が尾中村にそれぞれ改称。
    • 2ヶ所存在した中島村が下中島村(現・有田市)、上中島村(現・有田川町)にそれぞれ改称。

町村制以降

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1.石垣村 2.城山村 3.五村 4.安諦村 5.生石村 6.保田村 7.宮原村 8.糸我村 9.田栖川村 10.広村 11.御霊村 12.五西月村 13.八幡村 14.湯浅村 15.津木村 16.田殿村 17.岩倉村 18.藤並村 19.鳥屋城村 20.宮崎村 21.南広村(橙:有田市 紫:湯浅町 桃:広川町 赤:有田川町)
  • 明治22年(1889年4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。(21村)
    • 石垣村 ← 吉原村、糸川村、修理川村、松原村、歓喜寺村、宇井苔村(現・有田川町)
    • 城山村 ← 二川村、東大谷村、日物川村、境川村(現・有田川町)
    • 五村 ← 中原村、川合村、二沢村、北野川村、三瀬川村(現・有田川町)
    • 安諦村 ← 井谷村、板尾村、杉野原村、押手村、沼谷村(現・有田川町)
    • 生石村 ← 丹生村、糸野村、下六川村、釜中村、上六川村、黒松村(現・有田川町)
    • 保田村 ← 星尾村、千田村、辻堂村、下中島村、山田原村(現・有田市)
    • 宮原村 ← 道村、東村、畑村、南村、須谷村、滝村、滝川原村(現・有田市)
    • 糸我村 ← 中番村、西村(現・有田市)
    • 田栖川村 ← 田村、栖原村、吉川村(現・湯浅町)
    • 広村 ← 広村、和田村(現・広川町)
    • 御霊村 ← 西丹生図村、東丹生図村、垣倉村、庄村、徳田村、吉見村(現・有田川町)
    • 五西月村 ← 青田村、有原村、大西村、大薗村、小原村、冬村、延坂村[飛地を除く]、沼田村、本堂村、中嶺村、中村、瀬井村、彦ヶ瀬村、尾上村、西ヶ峯村(現・有田川町)
    • 八幡村 ← 三田村、宮川村、大蔵村、西原村、清水村、久野原村、上湯川村、下湯川村、楠本村、沼村、遠井村(現・有田川町)
    • 湯浅村 ← 湯浅村、別所村、青木村、山田村(現・湯浅町)
    • 津木村 ← 上津木村、下津木村、前田村(現・広川町)
    • 田殿村 ← 上中島村、長田村、角村、尾中村、出村、田口村、大賀畑村、大谷村、井口村、賢村、田角村、長谷村、船阪村(現・有田川町)
    • 岩倉村 ← 川口村、谷村、岩野河村、立石村、粟生村(現・有田川町)
    • 藤並村 ← 熊井村、水尻村、岡田村、奥村、植野村、土生村、天満村、下津野村、野田村、明王寺村、小島村(現・有田川町)
    • 鳥屋城村 ← 金屋村、市場村、中野村、中井原村、小川村、長谷川村、延坂村[飛地](現・有田川町)
    • 宮崎村 ← 小豆島村、箕島村、北湊村、野村、新堂村、古江見村、山地村(現・有田市)
    • 南広村 ← 西広村、唐尾村、山本村、上中野村、南金屋村、殿村、井関村、河瀬村、柳瀬村、東中村、名島村(現・広川町)
  • 明治29年(1896年6月22日 - 湯浅村が町制施行して湯浅町となる。(1町20村)
  • 明治30年(1897年9月1日 - 郡制を施行。
  • 明治34年(1901年3月16日 - 宮崎村が町制施行・改称して箕島町となる。(2町19村)
  • 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
  • 大正15年(1926年7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
  • 昭和25年(1950年10月1日 - 広村が町制施行して広町となる。(3町18村)
  • 昭和29年(1954年9月19日 - 箕島町・保田村・宮原村・糸我村が合併して有田町が発足。(3町15村)
  • 昭和30年(1955年
    • 4月1日(4町9村)
      • 生石村が鳥屋城村に編入、石垣村・鳥屋城村・五西月村が合併して金屋町が発足。
      • 広町・南広村・津木村が合併して広川町(ひろかわちょう)が発足。
    • 4月16日 - 藤並村・田殿村・御霊村が合併して吉備町が発足。(5町6村)
    • 5月10日 - 城山村・八幡村・安諦村が合併して清水町が発足。(6町3村)
  • 昭和31年(1956年
    • 3月31日 - 田栖川村が湯浅町に編入。(6町2村)
    • 5月1日 - 有田町が市制施行して有田市となり、郡より離脱。(5町2村)
  • 昭和34年(1959年1月1日(5町)
    • 五村および岩倉村の一部(粟生)が清水町に編入。
    • 岩倉村の残部(川口・谷・岩野河・立石)が金屋町に編入。
  • 平成8年(1996年)4月1日 - 広川町(ひろかわちょう)が改称して広川町(ひろがわちょう)となる。
  • 平成18年(2006年)1月1日 - 吉備町・金屋町・清水町が合併して有田川町が発足。(3町)

変遷表

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自治体の変遷
明治22年以前 明治22年4月1日 明治22年 - 昭和19年 昭和20年 - 昭和29年 昭和30年 - 昭和64年 平成1年 - 現在 現在
宮崎村 明治34年3月16日
町制改称
箕島町
昭和29年9月19日
有田町
昭和31年5月1日
市制
有田市 有田市
宮原村 宮原村
糸我村 糸我村
保田村 保田村
湯浅村 明治29年6月22日
町制
湯浅町 湯浅町 湯浅町 湯浅町 湯浅町
田栖川村 田栖川村 田栖川村 昭和31年3月31日
湯浅町に編入
広村 広村 昭和25年10月1日
町制、広町
昭和30年4月1日
広川町
広川町 広川町
南広村 南広村 南広村
津木村 津木村 津木村
藤並村 藤並村 藤並村 昭和30年4月16日
吉備町
平成18年1月1日
有田川町
有田川町
田殿村 田殿村 田殿村
御霊村 御霊村 御霊村
五西月村 五西月村 五西月村 昭和30年4月1日
金屋町
金屋町
石垣村 石垣村 石垣村
鳥屋城村 鳥屋城村 鳥屋城村
生石村 生石村 生石村 昭和30年4月1日
鳥屋城村に編入

岩倉村 岩倉村 岩倉村 昭和34年1月1日
金屋町に編入

昭和34年1月1日
清水町に編入
清水町
五村 五村 五村
城山村 城山村 城山村 昭和30年5月10日
清水町
八幡村 八幡村 八幡村
安諦村 安諦村 安諦村

行政

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歴代郡長

『和歌山県史 人物』による[9]

氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 鈴村三郎 明治12年(1879年)1月20日
2 野田四郎 明治16年(1883年)12月5日
3 佐々木米三郎 明治37年(1904年)5月4日
4 松田巳之吉 明治41年(1908年)10月1日
5 岩河虎三郎 明治43年(1910年)12月13日
6 柳瀬謹三 大正5年(1916年)6月13日
7 松本三郎 大正8年(1919年)6月23日
8 前田甚之助 大正9年(1920年)6月4日
9 小野浅次郎 大正12年(1923年)3月12日
10 宇田嘉市 大正13年(1924年)3月10日
11 中筋松之助 大正13年(1924年)12月12日 大正15年(1926年)6月30日 郡役所廃止により、廃官

脚注

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  1. ^ 記載は「下・中島村」。
  2. ^ a b c 記載は広の冠称付き。
  3. ^ 記載は藤並の冠称付き。
  4. ^ a b 記載は田殿の冠称付き。
  5. ^ a b c 記載は石垣の冠称付き。
  6. ^ 記載は「清水村/寺原村」。
  7. ^ 紀州藩附家老安藤氏領が慶応4年1月24日1868年2月17日)に立藩。
  8. ^ 紀州藩附家老水野氏領が慶応4年1月24日(1868年2月17日)に立藩。
  9. ^ 和歌山県史編さん委員会 1989, 付表37頁.

参考文献

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  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 30 和歌山県、角川書店、1985年7月1日。ISBN 404001300X 
  • 旧高旧領取調帳データベース
  • 和歌山県史編さん委員会 編『和歌山県史 人物』和歌山県、1989年。