『東京流れ者』(とうきょうながれもの)は、日本の歌謡曲および、それをモチーフとした日本映画。
原曲は、作曲者不詳の伝承歌である。1965年に竹越ひろ子と松方弘樹の競作で歌詞違いのレコードが発売された(松方盤の題は『関東流れ者』)。翌年に渡哲也の主演による同題の映画が公開され、また渡の歌唱によるシングルが発売された。渡盤は38万枚を売り上げた[1]。渡は1971年にもセルフカバーを行っている。
なお、本曲とほぼ同じメロディの歌謡曲に『悲しきわがこころ』がある。
このほか西田佐知子(CD-BOX『西田佐知子歌謡大全集』)、小林旭などがアルバム収録曲やコンサートレパートリーとして歌っている。
東京流れ者 | |
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監督 | 鈴木清順 |
脚本 | 川内康範 |
原作 | 川内康範 |
出演者 |
渡哲也 松原智恵子 川地民夫 二谷英明 |
音楽 | 鏑木創 |
主題歌 | 渡哲也「東京流れ者」 |
撮影 | 峰重義 |
編集 | 井上親彌 |
製作会社 | 日活 |
配給 | 日活 |
公開 | 1966年4月10日 |
上映時間 | 83分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
次作 | 続東京流れ者 海は真っ赤な恋の色 |
1966年(昭和41年)4月10日公開。上映時間83分(8巻2,258m)、カラー、シネマスコープ(2:35:1)。製作・配給:日活。監督:鈴木清順。
同年公開のシリーズ続編に『続東京流れ者 海は真っ赤な恋の色』(監督:森永健次郎)がある。
鈴木清順は後年「自らが監督しての続編を製作したい」と述べていた[2]。
2016年に公開されたアメリカ映画『ラ・ラ・ランド』監督のデイミアン・チャゼルによれば、同作品は映画版『東京流れ者』をオマージュした作品であるという[3]。
東京。ヤクザ組織・倉田組が解散して不動産会社となるが、かねてより対立する大塚組が、倉田組元組長・倉田のビルを狙い、彼に融資している金融業者の吉井からビルの権利書をだまし取り、彼を殺害する。かつて「不死鳥の哲」の異名で知られた倉田組元組員・本堂哲也は、抗争を嫌って吉井殺しの罪をかぶることを決意し、倉田に「東京を離れる」と告げる。倉田はかつての兄弟分が根を張る東北の庄内へ行くことをすすめる。
ところが庄内には哲を追う刑事だけでなく、大塚組の殺し屋「蝮(まむし)の辰」が待ち構えており、哲は彼らの追跡を振り切りながら、なぜ自分の足どりが漏れたのかいぶかしがる。哲が世話になろうとした庄内組は北組と南組に分かれての大抗争の最中であり、辰が双方を狙撃してあおったことで、哲も争いに巻き込まれ、怪我を負う。そこをかつての大塚組組員で、今は一匹狼の「流れ星の健」が助ける。健は、庄内を離れることをすすめ、健と親しいクラブ経営者・梅谷がいる佐世保へともに渡る。
梅谷は表向き暖かく哲を迎え、ともに辰を倒すが、ある日哲に銃を向ける。倉田がビルを取り戻すため大塚組と手打ちをし、その条件として、かつての兄弟分である梅谷に哲の殺害を命じていたのだった。しかし梅谷は哲を殺すことをためらい、逃げるままにまかせる。倉田の寝返りが信じられない哲は、真実を確かめるため東京へ帰る。
銀座。大塚組組長・大塚は、哲の恋人で歌手の千春を軟禁し、倉田から奪ったナイトクラブで彼女の稼ぎを独占していた。哲はクラブへ乗り込んで大塚とその子分を皆殺しにし、居合わせた倉田に盃を返す。追い詰められた倉田は手首を切る。倉田の死を見届けた哲は、「流れ者に女はいらない」と千春に別れを告げ、夜の闇に向かって去って行く。