東京福祉大学 | |
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![]() 伊勢崎キャンパス | |
大学設置/創立 | 2000年 |
学校種別 | 私立 |
設置者 | 学校法人茶屋四郎次郎記念学園 |
本部所在地 |
群馬県伊勢崎市山王町2020-1 北緯36度17分8.80秒 東経139度11分38.60秒 / 北緯36.2857778度 東経139.1940556度座標: 北緯36度17分8.80秒 東経139度11分38.60秒 / 北緯36.2857778度 東経139.1940556度 |
キャンパス |
伊勢崎(群馬県伊勢崎市) 池袋(東京都豊島区) 王子(東京都北区) 名古屋(愛知県名古屋市中区) |
学部 |
社会福祉学部 保育児童学部 教育学部 心理学部 |
研究科 |
社会福祉学研究科 教育学研究科 心理学研究科 |
ウェブサイト | https://www.tokyo-fukushi.ac.jp/ |
東京福祉大学(とうきょうふくしだいがく、英語: Tokyo University of Social Welfare)は、日本の私立大学である。群馬県・東京都および愛知県名古屋市にキャンパスを置く。
群馬県伊勢崎市に本部を置き[1][2]、学校法人茶屋四郎次郎記念学園(ちゃやしろじろうきねんがくえん)が運営している。
2000年(平成12年)4月に群馬県伊勢崎市にて開学。4学部・3研究科(大学院)で構成され、通学課程・通信教育課程が設置されている。伊勢崎をはじめ、池袋・名古屋(以上2008年開設)・王子(2014年開設[3])の4キャンパスを有している。
東京福祉大学を運営する学校法人茶屋四郎次郎記念学園の法人本部は東京都豊島区東池袋に置かれている[4][5]。
「理論的・科学的能力と実践的能力を統合した、柔軟な思考力と問題発見・解決能力のある人材を育成する」を建学の精神として制定し[6]、社会に貢献する人材の育成と、各分野の学問の発展と地域社会への貢献を目指している[7]。
「できなかった子(生徒)をできる子(学生)にするのが教育」を東京福祉大学の使命としており、思考力と問題発見・解決能力を身につけたスペシャリスト育成を目的に「双方向対話型」と「グループ討議」を基本とする教育方法を授業に導入している[8]。開学以来、建学の精神や使命の実現に向け、
などを行っている。
2011年3月の日本高等教育評価機構からの認証評価では、「アカデミック・アドバイザー制度」による社会福祉士ならびに精神保健福祉士国家資格試験の合格率が高いこと、就職率が高いことが評価されたが、大学の最高意思決定機関である「教育研究評議会」が学則に明記されていないなどを理由に「保留」と判定された。2014年に行われた再評価では、保留となった判定理由が改善されたため、「認定」と判定された。「教育研究評議会」については位置付けが明確となり、事務局長、各課長を構成員に加えるなど管理部門と教学部門の連携体制が構築されていることも評価された。
文部科学省科学研究費補助金採択件数は、平成24年度で新規採択と継続分を合わせて13件、間接経費を含み1,352万円である[9]。
2014年に幼保連携型認定こども園に配置される「保育教諭(幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方の免許・資格を有する)」に関する特例教科目を開設している[10]。
東京福祉大学は、2000年に群馬県伊勢崎市に開学した。2006年には短期大学部を群馬県伊勢崎市に開設した。
校章には朱印船が描かれている。
通学課程は、出願時にキャンパスを第3希望まで選択し[17]、合格したキャンパスに4年間通学する。通信教育課程は通学課程とほぼ同じ学位、資格を取得可能である[17]。
2011年には国際交流センターが設置され、2014年4月時点で海外の協定校は17校となった。その後もヨーロッパの留学生を受け入れるなど、国際化を推進している。
2017年8月現在の協定大学等は以下の通り[21]。
東京福祉大学は経営学部や経営学研究科を新設する方針を打ち出し[22][23][24]、文部科学省に設置申請を行うなど手続きを進めていた。しかし、2011年12月、文部科学省大学設置・学校法人審議会は、東京福祉大学の管理運営体制を問題視し、申請を不可とする答申を発表した[25][26]。管理運営が問題視され学部新設が認められないという、日本の大学としては史上初めての事態となった[27][28][29]。
東京福祉大学は創立者で理事長・総長だった中島恒雄が、2008年に複数の教職員に対する強制わいせつ罪等で逮捕、実刑判決を受けた際、今後は中島を大学経営には関与させないと発表した[27][28][29]。文部科学省に対しても同様の内容を報告をしており、大学の公式ウェブサイト上でも「本学の経営や教育に関与することはない」[30]と謳っていた。しかし、実際には、中島を服役後に事務総長として雇用し、総長時代と同額の給与を支払っていた[28]。さらに、中島が在籍する企業に業務を委託するとの名目で、中島個人の口座に約2000万円が支払われていた[27]。このような状況について、文部科学省大学設置・学校法人審議会は「文部科学省への報告や社会への説明に反して元理事長を法人運営に関与させてきていることや、本設置認可申請後に及んで学校法人として不適切な管理運営が行われていたことが確認された」[31]と結論づけた。そのうえで「学校法人の寄附行為及び寄附行為の変更の認可に関する審査基準」で定める学校法人の管理運営に関する要件を満たすものとは認められない。[31]として、経営学部や経営学研究科の新設を不可とする答申を打ち出した[25][26][27][28][29]。
日本高等教育評価機構への平成24年度大学機関別認証評価の再受審を2011年9月に申請したが、その後改善策の成果を得ることが難しいと判断し、24年度の再評価中止を機構に求めた[32]。
東京福祉大学を運営している学校法人である「茶屋四郎次郎記念学園」の元総務課長が、大学の定期預金を解約し、2011年3月~2012年10月にかけて計45回にわたり大学の運営費約1億円を引き出していた。[33]元課長は、校舎の用地取資金1200万を合わせた約1億1200万円を着服していた。2013年4月、定期預金残高が無くなっていることに気付いた職員によってこの問題が発覚。同学園は、元課長が着服を認めたため同年5月に懲戒解雇とした[33]。被害金が返還されていないにもかかわらず、学園側は告訴を見送り、約1年経った2014年4月時点でも「刑事告訴を検討している」と発表するに留まった[34]。元課長は、横領発覚から3年以上経過した2016年11月29日に業務上横領の容疑で逮捕され、「競馬やパチンコに使った」と容疑を認めている[35]。
2014年度の文部科学省「設置計画履行状況等調査[36]」において、教育学部に設置されている日本語教育コースに関して「語学学校での日本語教育と同等の授業が開設されているなど、学士を授与するのにふさわしい教育課程となっているか疑義がある」などと授業水準を指摘され、教育課程について文部科学省から「是正意見」を受けていた[37]。2015年度には、改善に触れられながらも「教育課程の大幅な変更によって過年度入学者の履修した科目が学則から削除されている。既修得科目の経過措置や読み替え規定が存在せず、学則等で明確に規定されていないのは不適切である[38]」と履修者への対応に改善要求がなされ、文部科学省から全国初となる「警告」を受けた[39]。
2018年度、研究生などとして受け入れた約3200人の留学生のうち、688人の留学生が所在不明となり除籍、在留延長が認められず退学した研究生が313人となった。不法残留となっている留学生も多く発生していることから法務省入国管理局や文部科学省も調査に乗り出すこととなった。留学生数は2015年度の1403人から2018年度には5133人と急増しており、早稲田大学に次いで日本国内で2位の受入となり、教室不足となっている[40]。2016年度から2018年度まで実際は所在不明の留学生が約1400人いたが、2017年度に文部科学省へ報告をした際は、0人と報告していたことが参議院予算委員会で野党の追及により明らかにされた[41]。元職員は日本語が全くできない学生も受け入れていたなどと実態を証言している。
文部科学大臣は、法務省と合同で、速やかに大学に対し実地調査する旨を示し、「通学実績が無いにもかかわらず、定員充足のために留学生を受け入れているとすれば、大変ゆゆしき問題」と述べ、在籍管理が不適切と判断されれば私学助成の不交付を含め厳しい措置を取ることを示した。[42]
また、文部科学省の指導を無視し、逮捕された元総長(前述)を経営に関わらせていたことが発覚し、2019年3月19日の参議院文教科学委員会にて2018年度の私学助成金を50%減額する方針を固めた。2017年度は4億3000万円が交付されていた。文科省には一切元総長を経営に関わらせないと資料を提出していたが、実際には「刑期満了から10年が経過したあとは直ちに復帰してもらうつもり」などと内部資料に書かれていた。
続報では、6月11日、文部科学省と出入国在留管理庁の調査により3年間で計1610人[43]の在住が分からなくなっている事が発表され、不明者が特に多い「学部研究生」の新規受け入れを見合わせるよう文部科学省による指導が行われた[44]。王子キャンパスでは教室として銭湯や雑居ビル、マンションの一室を使用するなど、大学の杜撰な教育環境も報道された[45][46]。
7月10日、東京福祉系列の専門学校「保育・介護・ビジネス名古屋専門学校」で、留学生学科に定員の7.4倍にあたる4739人が在籍していることが明らかになった[47]。併せて、県の認可を受けている校舎は所有物件1棟のみであったが、認可を受けていない賃貸物件計5棟で授業が行われていた事が報じられた[48]。同校では2015年から4年間で504人の留学生が所在不明となっている。7月25日、県への定員超過発覚を防ぐために収入や教職員数を過小報告していたことが発覚[49]、定員超過が是正されるまで新規入学の受け入れを見合わせるよう愛知県による是正指導を受けた[50]。
2020年1月20日には、文部科学省所轄の日本私立学校振興・共済事業団が「(問題発覚後も)所在不明者の割合が改善されず、大学の対応は不十分」だとして、2019年、2020年度の私学助成金推計11.2億円を全額不交付にする処分を運営協議会にて決定した[51][52]。2022年1月26日には、その後も改善が認められないとして、2021年度の私学助成金を引き続き全額不交付とする事を発表した[53]。
2022年度の私学助成金についても、「過去に強制わいせつ罪で実刑判決を受けた創立者が現在も学校運営に関わっていて、改善がみられない」との判断により、引き続き「不交付」となっている[54]。
大学・短期大学評価基準協会は、東京福祉大学に併設されている東京福祉大学短期大学部に対し、2020年6月に公表した大学機関別認証評価を「不適格」とした。その事由を、大学を運営している学校法人茶屋四郎次郎記念学園に関して、「元理事長が学校法人の管理運営に関与しないことを担保する具体策を策定するよう2012年度に指摘して改善計画書を求めたことに対し、2015年度に提出された改善報告書では、元理事長を教育や管理運営に関与させないとしているにもかかわらず、(それ以降に)関与させた事実がある」とした[55]。
これに対して、学校法人側は協会に提出した改善計画書において、「元理事長は、平成20(2008)年1月に本法人の理事長を辞任してから、本法人の運営管理には関わっていない。元理事長が関与しないための管理運営は適切に行われている」「元理事長は経営と教育には一切関与しておらず、本法人の運営に関与しないことは担保されていると認識している」などと報告しながらも、「創立者の教育方法の再認識による教育実績の向上を図るため、元理事長からのアドバイスを受けてはどうかという声が、全学教務委員会やFD専門部会など学内から上がって来た。平成29(2017)年度・平成30(2018)年度に、元理事長に授業見学を数回依頼し、元理事長は第三者を介して間接的にボランティアで教員への助言を行った。直接的に学生へ教育することはしていない」などと報告している[56]。
大学・短期大学評価基準協会は、同法人に対して「平成25年1月21日付提出の「改善計画書」に基づく改善報告書」(平成27年6月26日付け東福大事発1149)で示した具体策の問題点及び改善点等を明確にする必要があると指摘している。
2020年11月20日付で、創立者で元理事長・総長の中島が法人理事長および大学総長へ復帰した。過去に大学側は、中島が経営や教育に関与することはないと文部科学省に報告しており、同省は「過去の説明と整合性が取れない」として調査に乗り出した[57]。
2023年3月末をもって中島は理事長・学長・理事から退任し、評議員に留任した。9月末で中島が評議員辞任、教員退任することとなった。
2024年5月31日に第三者委員会が設置され、前理事長・学長を巡る問題について検証した。その結果、9月30日に「学校法人茶屋四郎次郎記念学園に係る第三者委員会調査報告書[11]」が公表された[58]。この報告書では、管理経営に関する問題事案の発生について、以下のような点が問題視されている。
また、中島の復帰は収監時点から既定路線であり、復帰後に以前の説明と矛盾する主張が展開されたのも必然であること、中島の退任も補助金交付再開を獲得するための「その場しのぎ」でしかないこと、本人の体調不良がなければ中島は完全な退任を拒んだ可能性もあること、理事会はチェック機能を十分に果たすことができていないこと、などの指摘を行った。
第三者委員会による提言として、「平成20年公表の公表継続」「教育研究評議会の権限強化」「理事会の改革」「評議員会の権限強化」「教職員の健全育成」「監査機能の強化」「中島が関係する法人との取引の整理」「名古屋キャンパスにおけるたちばな学園との兼任関係の解消」「トップメッセージ(中島との決別表明)」「ガバナンス・コードの検討(中島礼賛の記述などの改定」「校歌(中島の氏名が歌詞に入っている)」「理事長・学長室の改装」が示された。
これに対し、11月22日、学校法⼈茶屋四郎次郎記念学園理事⻑ ⻑倉迪夫名義で「学校法⼈茶屋四郎次郎記念学園に係る第三者委員会調査報告書を受けた責任の所在及び再発防⽌策」が公開され、上記第三者委員会の提言を受け入れる方針が示された[15]。