数学の、特に偏微分方程式や微分幾何学における楕円型複体(だえんがたふくたい、英: elliptic complex)とは、楕円型作用素の概念を列に一般化したものである。楕円型複体は、ホッジ理論を展開する上で本質的となるド・ラーム複体とドルボー複体に共通の特徴を取り出したものである。アティヤ=シンガーの指数定理とアティヤ=ボットの不動点定理の関連でも現れる。
E0, E1, ..., Ek をある(通常コンパクトに取られる)滑らかな多様体 M 上のベクトル束とするとき、微分複体(differential complex)は次の微分作用素の列
で与えられる。ここでそれらの作用素は、Pi+1 o Pi=0 であるような Ei の切断の層である。微分複体が楕円型(elliptic)であるとは、表象の列
がゼロ切断の外側で完全であることを言う。ここで π は M への余接束 T*M の射影であり、π* はあるベクトル束の引き戻し(英語版)である。