清水建設株式会社(しみずけんせつ)は、東京都中央区京橋に本社を置く、大手総合建設会社(スーパーゼネコン)。日経平均株価の構成銘柄の一つ[4]。
同社のコーポレートメッセージは「子どもたちに誇れるしごとを。」(日本語)「Today's Work, Tomorrow's Heritage」(英語)である。
スーパーゼネコン5社(清水建設、大林組、鹿島建設、大成建設、竹中工務店)の一角である。民間の建築工事に強みがある。受注活動では、大手他社と異なり採算度外視の大型工事をさけ、中小の物件の受注にも積極的である。得意分野は、建築では医療機関、土木ではLNGタンクの施工であるといわれている。さらに、歴史的な経緯から、伝統的な神社建築、寺院建築にも豊富な実績を有している。2019年5月10日には、宮内庁で行われた大嘗祭のための大嘗宮の建設の一般競争入札で、予定価格の6割の価格で落札し受注に至る[5]。
宮大工の安全を願う神事に由来する、伝統的な建築儀式である手斧始め(ちょうなはじめ)を仕事はじめの1月4日に本社で執り行っている。建設業で手斧始めを受け継いでいるのは、清水建設と金剛組(大阪)だけである。
創業家である清水家の現在の当主は、七代目"清水基昭"で、清水地所社長、清水建設取締役を務めている。六代目当主の清水満昭は2020年現在は清水地所会長である。
三金会の会員企業であり第一勧銀グループに属している[6]。
渋沢栄一の教えである、道徳と経済の合一を旨とする「論語と算盤」を社是としている。
経営理念は、2019年に見直され、「真摯な姿勢と絶えざる革新志向により 社会の期待を超える価値を創造し 持続可能な未来づくりに貢献する」である。
2019年までは、以下の経営理念であった。
- 地球社会への貢献 Socio-dynamism
- 環境保全活動、文化活動等の活動のみならず、環境とバランスのとれた社会的、文化的に価値のある優れた品質の建造物・施設をグローバルに建設する。
- 人間尊重 Humanity
- 従業員が快適で意欲をもって働けるような環境を作りだす。
- 革新志向 Innovation
- 役員、従業員全員が常に革新的姿勢で業務にあたり、事業展開、営業活動、研究・開発、業務・経営革新に取り組むことにより、絶えず企業として成長・発展を図っていく。
- 顧客第一 Market-in
- 常に顧客の立場に立って考え行動し、顧客に役立つことにより当社も適正な利潤を頂くことを基本とする。
- 情熱 Zeal
歴史的にも数多くの名建築を手掛けている。例えば国立屋内総合競技場(主体育館:1964年 設計・丹下健三)など枚挙に暇がない。
詳しくは 清水建設の歴史 を参照のこと。
以下は一例である。
- 明治期
- 1868年 - 築地ホテル館(二代清水喜助経営。102室の規模であったが1872年の銀座大火で焼失した[注釈 1]。)
- 1870年 - 横浜居留地商館十四番館等6館
- 1872年 - 第一国立銀行(三井組ハウス)、三井銀行(三井ハウス)
- 1873年 - 横浜十全病院
- 1876年 - 深川福住町渋沢栄一邸[注釈 2]
- 1880年 - 横浜港谷戸橋、神奈川県検疫所
- 1883年 - 日本橋中洲~神田柳原堀川護岸工事、横浜中村川・吉田川浚渫工事
- 1884年 - 横浜加賀町警察署
- 1885年 - 皇居正殿(謁見所、表宮殿の正殿・東西化粧之間・東溜之間)[注釈 3]
- 1886年 - 東京赤坂豊川稲荷、神奈川県知事官舎、
- 1887年 - 永田町鍋島邸西洋館、1887年[9]、神田錦町英吉利法律学校、日本橋兜町渋沢栄一事務所
- 1888年 - 東京製鋼工場、鎧橋、鐘渕紡績工場、横浜郵便電信局、日本煉化製造工場、ウィリアム・ロバート・ベンネット邸[10]、王子製紙工場、日本郵船会社横浜支店、他
- パストラルタウン美しが丘 - 札幌市豊平区(清水建設総合開発と)
- 旭ヶ丘 - 茨城県鹿島郡鹿島町(現・鹿嶋市、清水建設総合開発と)
- パストラルヒルズ佐倉・城 - 千葉県佐倉市(清水建設総合開発と)
- 高南台パストラルヒルズ - 千葉県東葛飾郡沼南町(現・柏市、清水建設総合開発と)
- 柏・藤ノ台パストラルヒルズ - 千葉県柏市(清水建設総合開発と)
- 佐倉白銀ニュータウン/パストラル・アベニュー - 千葉県佐倉市(清水建設総合開発と)
- パストラルヒルズ流山平和台 - 千葉県流山市(清水建設総合開発と)
- パストラルヒルズ相模原 - 神奈川県相模原市(清水建設総合開発と)
- 大磯松韻 - 神奈川県中郡大磯町、旧清水家別荘跡地(三菱商事、スタジオランドジャパンらと)
- パストラルヒルズ五月台 - 川崎市麻生区(清水建設総合開発と)
- パストラルびゅう桂台 - 山梨県大月市(東日本旅客鉄道、清水建設総合開発と)
- 大津美咲野ニュータウン - 熊本県菊池郡大津町(清水建設総合開発と)
- 二宮町土地宅地分譲 - 神奈川県中郡二宮町(清水建設総合開発と)
- 新崎宅地分譲すみれ野ニュータウン - 新潟県新潟市(清水建設総合開発と)
- パストラルヒルズ波木南台 - 三重県四日市市(清水建設総合開発と)
- 五日市ニュータウン彩が丘 - 広島市佐伯区(清水建設総合開発と)
- 氏神工業団地分譲 - 広島県山県郡千代田町(清水建設総合開発と)
- ガーデンシティ美咲野 - 熊本県菊池郡大津町(九州旅客鉄道、西松建設と)
清水建設総合開発が開発した住宅地は以下の通り
- グランディタウン河原町 - 宮城県仙台市(清水不動産 他)
- ヴィークテラス世田谷桜丘 - 東京都世田谷区桜丘
- ヴィークテラス浜田山 - 東京都杉並区
- ネイシア津田沼 - 千葉県習志野市
- 東金工業団地 - 千葉県東金市
- 波木南台宅地分譲 - 三重県四日市市
- ほほえみタウン時津 - 長崎県西彼杵郡時津町(清水不動産 他)
建設関連事業
開発・不動産関連事業
サービス関連事業
- 初代 清水喜助 1804年(文化元年) - 1859年(安政6年) 創業者
- 二代 清水喜助(藤沢清七) 1859年(安政6年) - 1891年(明治14年)
- 三代 清水満之助 1881年(明治14年) - 1887年(明治20年)
- 四代 清水満之助(清水喜三郎) 1887年(明治20年) - 1915年(大正4年)
- 五代 清水釘吉 1915年(大正4年) - 1940年(昭和15年)
- 六代 清水康雄 1940年(昭和15年) - 1966年(昭和41年)
- 七代 吉川清一 1966年(昭和41年) - 1972年(昭和47年)
- 八代 野地紀一 1972年(昭和47年) - 1981年(昭和56年)
- 九代 吉野照蔵 1981年(昭和56年) - 1989年(平成元年)
- 十代 今村治輔 1990年(平成2年) - 1999年(平成11年)
- 十一代 野村哲也 1999年(平成11年) - 2007年(平成19年)
- 十二代 宮本洋一 2007年(平成19年) - 2016年(平成28年)
リニア中央新幹線の建設工事の入札に於いて不正が行われたとして、工事を請け負っているゼネコン4社の1つである同社が、2017年12月に東京地方検察庁から偽計業務妨害容疑で捜索を受けていたことが明らかになり、1月22日までに談合を認めた。なお他の3社は大林組が談合を認め、鹿島建設と大成建設は否定し続けた。その結果として、法人としての清水は起訴されたが、鹿島と大成の幹部は逮捕・起訴されたのに対し大林・清水の幹部は不起訴(起訴猶予)となった[11]。
10月22日、東京地方裁判所は独占禁止法違反罪で大林組に罰金2億円、清水建設に同1億8千万円を言い渡した[12]。2019年1月18日大林組と清水建設は、有罪判決が出たことを踏まえ、国土交通省関東地方整備局から2月2日から6月11日の120日間営業停止処分を受けたとそれぞれ発表した。対象は、全国の新たな民間の土木工事となる[13]。
2021年8月、清水建設社員 (当時29歳) が自殺し、2023年5月、社員は労働基準監督署から労災認定を受けていた事が分かった[14]。
- 2020年4月13日、清水建設は、都内の建設現場の社員3人が感染し、うち50代の男性社員が死亡したことを明らかにした。3日に発熱し自宅待機していたが、9日に容体が急変した。死亡後のPCR検査で陽性と判明した。同じ現場で働く40代の2人の男女社員も感染した。同社は建設現場約500カ所あり、感染拡大防止のため工事を5月6日まで中止する。緊急事態宣言直後は工事継続を発注者と協議していたが、今後は中止する。対象の工事現場では約2万人が働いており、うち清水建設社員は約2千人、あとは協力企業や下請けの作業員だという[15]。
日本テレビ放送網の本社演奏所「日本テレビタワー」や大林組幹事のJVで参加した「日本テレビ放送網麹町分室」などの施工を承った関係で、日本テレビ系列での提供が多い。
- 現在
- 過去
- 1990年代前半には、テレビCMのイメージソングとして忌野清志郎の「パパの歌」が使われた。因みに「パパの歌」の発売は1991年5月だが、発売前に行われた清水建設の社内パーティーに於いて、パーティーに参加した社員及び招待された社員の家族全員にシングルCDと、重機のキャタピラを模したボールペンが配られた。このシングルのジャケットは裏面に清水のロゴマークが使用された特別バージョンである。また1992年には、忌野の「パパの手の歌」を起用した、CM第2弾も放映された。
- 注釈
- ^ このときは政府の築地精養軒もまた焼失した。
- ^ 1875年11月、東京、京橋大火で約1万戸焼失した。
- ^ 皇城が1873年に焼失していたもの。
- 出典
- 清水建設百五十年史編纂委員会『清水建設百五十年』 清水建設 1954
- 清水建設兼喜会五十年史編纂委員会『清水建設兼喜会五十年』 清水建設東京兼喜会 1969
- 清水建設編『清水建設百七十年』清水建設 1973
- 清水建設編『清水建設百八十年』清水建設 1984
- 清水建設設計本部編『清水建設のディテール―風土と結ばれた技術展開』彰国社 1992
- 初田亨『職人たちの西洋建築』(講談社メチエ)講談社 1997 (ちくま学芸文庫から2002再版)
- 清水建設編『清水建設二百年』経営編 清水建設 2003(鈴木博之監修)
- 清水建設編『清水建設二百年』生産編 清水建設 2003(鈴木博之監修、中谷礼仁執筆)
- 清水建設編『清水建設二百年』作品編 清水建設 2003
- 菊岡倶也監修『棟梁から総合建設業へ―清水建設200年の歴史』 清水建設 2003
- 「清水建設 新たなる棟梁」『新建築』臨時増刊 新建築社 2004
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