燧ヶ岳、燧ケ岳[2](ひうちがたけ[2])は、福島県会津地方南西部にある火山。山頂は南会津郡檜枝岐村に属する[2]。標高2,356 mで、東北地方以北(北海道を含む)の最高峰である[2]。
南東の山麓は尾瀬沼で、尾瀬国立公園内にあり、至仏山とともに尾瀬を代表する山でもある。日本百名山の一つに選定されている[2]。
山名の由来は、麓から見える残雪は火打ちばさみに似ていることによる[2]。
火口付近には柴安嵓(しばやすぐら、2,356 m)、俎嵓(まないたぐら、2,346.0 m)、ミノブチ岳、赤ナグレ岳、御池岳の5つのピークがある。尾瀬ヶ原からは左から柴安嵓、御池岳、赤ナグレ岳が見え、尾瀬沼からは左から柴安嵓、俎嵓の2つのピークが目立つ。登山道が通じているのは柴安嵓、俎嵓、ミノブチ岳の3つであり、この順番に登山道で結ばれている。俎嵓には二等三角点「燧岳」がある。
燧ヶ岳は安山岩・デイサイトからなる活火山で、約16万年前に発生したモーカケ火砕流及び七入軽石を噴出した噴火 (VEI 5)のあたりから火山活動を開始していたと推定されている。約8,000年前頃に山体崩壊を起こして尾瀬沼ができた。噴火が記された文献はないが、約500年前にデイサイトマグマが噴出し、御池岳溶岩ドームが形成されたことが噴出物の調査から明らかになっている。また、1544年7月28日に檜枝岐村で「白ヒケ水」と呼ばれる白い粘土を含む洪水が起きたことが文献に記録されている。これは燧ヶ岳で水蒸気噴火が発生し、それによって引き起こされたラハールと推定される。
記録に残る最初の登頂者は平野長蔵で、1889年に仲間らとともに登頂に成功している。2010年時点、4方向から4本の登山道がある。森林に覆われているため、頂上に近づくまで眺望はほとんどない。また山中に山小屋はない。