男はつらいよ 拝啓車寅次郎様 | |
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監督 | 山田洋次 |
脚本 |
山田洋次 朝間義隆 |
原作 | 山田洋次 |
出演者 |
渥美清 吉岡秀隆 牧瀬里穂 かたせ梨乃 |
音楽 |
山本直純 山本純ノ介 |
撮影 |
高羽哲夫 池谷秀行 |
編集 | 石井巌 |
配給 | 松竹 |
公開 | 1994年12月23日 |
上映時間 | 101分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 15億5000万円 |
前作 | 男はつらいよ 寅次郎の縁談 |
次作 | 男はつらいよ 寅次郎紅の花 |
『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』(おとこはつらいよ はいけいくるまとらじろうさま)は、1994年12月23日に公開された日本映画。『男はつらいよ』シリーズの47作目。同時上映は『釣りバカ日誌7』。
寅次郎は、旅先で売れない演歌歌手・小林さち子(小林幸子)を見かけ、顔相から必ず売れると励ます。
寅次郎は久々に柴又に帰るが、その晩、満男の話題で盛り上がる。満男は大学卒業後に入社した靴の製造・卸会社での営業の仕事に自分が向いていないと嫌気が差しており、寅次郎に愚痴をもらす。それを聞いた寅次郎は、長年テキヤ稼業で培った技術を満男に伝授する。鉛筆の売り方を幼少期の思い出話を交える形で実演して、満男を始め家族皆を感服させたのだ。もっとも、寅次郎は翌日、満男の会社に挨拶に行くと言ってくるまや一家をやきもきさせ、おいちゃんと喧嘩して、また旅立ってしまう。
寅次郎は、琵琶湖のほとりにたたずむ一人の女性・宮典子[注 3](かたせ梨乃)に声を掛ける。典子は、カメラを車に積み、撮影旅行をしていた。寅次郎は立ち去ろうとしたが、その時典子が岩の上でつまずいて倒れ、寅次郎は接骨院に連れて行く。典子は寅次郎と同じ宿に宿泊することになった[注 4]が、お互いの身の上を語るうち、寅次郎は、典子が鎌倉に住むハイソな主婦で、一年に一度、一週間だけ家族から解放され、趣味の撮影旅行をしているということを知る。典子は、寅次郎やさくらがうらやむような幸せを持っているように見えたが、サラリーマン家庭にありがちな、接点や会話の少ない倦怠期の夫婦生活で、どこか愛情に飢えていた。「お互いに愛してない」という典子の言葉に少しどぎまぎしてしまった寅次郎は、典子と長浜市の曳山祭りを見に行くことにするが、翌日になって突然、夫(平泉成)が娘の病気を理由に典子を迎えに来て、連れ帰ってしまう。
さて、満男はそれに先立つある日、大学の先輩で今は長浜で造り酒屋の家業を継いでいるという川井信夫(山田雅人)から葉書を受け取り、相談があるので、ついでに曳山祭りを観に来ないかと誘われる。川井の実家に赴いた満男は、郵便局に勤める川井の妹の菜穂(牧瀬里穂)と出会う。初めは不運な誤解もあり、満男に気の強さをぶつける菜穂だったが、すぐ思い直して町を親切に案内してくれたことで、満男は可愛い顔立ちの菜穂に好意を寄せ始める。曳山祭りを一緒に見学している最中、満男は菜穂に「付き合っている人いるの?」と勇気を出して聞いてみるが、返答を待っている間に、偶然居合わせた寅次郎に「いたっていいじゃねーかよ、そいつと勝負すりゃいいんだよ」と声をかけられる。すぐに立ち去った寅次郎を追いかけた満男だったが、見失ってしまう。
その晩、葉書に書いてあった相談の内容として、信夫から菜穂との結婚話を持ちかけられ、満男は一瞬困惑するが、まんざらでもない様子で柴又に帰る。信夫への礼状を書こうとしつつ、ワープロに「菜穂」と打ち込み続けてしまうほどであった。しかしちょうどその頃、菜穂は、無断で結婚話を進められていたことを知って、信夫に激怒していた。満男に好意を持っていないわけではなかったが、結婚が女のすべてという考え方のもと、菜穂の意向も聞かずに勝手に話を進めるような兄の考え方に反発を覚えたのだ。数日後、上京してきた信夫はそのことを満男に告げる。「満男さんなんか大嫌い」という菜穂の言葉の断片だけ伝えるので、満男は深く傷つく。
一方、寅次郎は柴又に帰ってきて、その日典子がくるまやに訪ねてきたことを知る。典子の名刺と「怪我もすっかりよくなって、元気で過ごしております」という伝言をさくらから受け取るが、典子のその言葉が本当なのか、今どういう状況なのかが気に掛かる。翌日、満男に車で送ってもらい、鎌倉の彼女の家を訪れる。すっかり元の日常生活に戻り、娘と幸せそうに微笑んでいる典子を車の中から遠目に見て、伝言が真実であったと感じる。夫婦として長年やっていればいろいろあるだろうけれども、お互いを好きになろうという気持ちがあれば必ず何とかなるものだ[注 5]と理解し、「これで俺の気持ちはすっきりした」と、車を出すように満男に言う。
寅次郎が旅立つ江ノ島電鉄の駅で、二人は恋について語り合う。「(菜穂に振られて)ホッとしているんだ。くたびれるもんな、恋するって」と言う満男に対し、寅次郎は「くたびれたなんてことはな、何十遍も失恋した男の言う言葉なんだよ。お前、まだ若いじゃないか。燃えるような恋をしろ。大声出して、のたうち回るような、恥ずかしくて死んじゃいたいような恋をするんだよ。ホッとしたなんて情けないこと言うな。さみしいよ、俺は」と発破をかける。神妙な顔で満男は反省し、二人は別れる。
正月、くるまやと朝日印刷の従業員が諏訪家に集う中、満男は自分の結婚話をされて、「大きなお世話」と不機嫌に家を出て行く。しかし、江戸川堤にいる菜穂に気付き、手のひらを返したように機嫌を直す。菜穂は、兄の行動が許せなかっただけで、満男との友達関係は捨てたくないと言い、満男は菜穂を家に連れて行く。満男は、自分が寅次郎に似てきていると言われることを決して悪口とは感じない、それは「他人の悲しみや寂しさがよく理解できる人間」として寅次郎を尊敬しているからだと、寅次郎に向けて独白[注 6]する。その頃、寅次郎は仕事先の雲仙でさち子と再会。『おもいで酒』をヒットさせていたさち子は、寅次郎の人相見に励まされて売れるようになったと喜ぶ。
出典はすべて[6]