男はつらいよ 旅と女と寅次郎 | |
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監督 | 山田洋次 |
脚本 |
山田洋次 朝間義隆 |
原作 | 山田洋次 |
出演者 |
渥美清 都はるみ |
音楽 | 山本直純 |
撮影 | 高羽哲夫 |
編集 | 石井巌 |
配給 | 1983年8月6日[1] |
公開 | 松竹 |
上映時間 | 101分[1] |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 10億2000万円[2] |
前作 | 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎 |
次作 | 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 |
『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』(おとこはつらいよ たびとおんなととらじろう)は、1983年8月6日に公開された日本映画。『男はつらいよ』シリーズの31作目。
寅次郎の夢。絵巻によると天保六年[注釈 1]の佐渡金山の一揆の首謀者だった「柴又の寅吉」。そして天保八年。時代劇の舞台セットの中。寅が柴又村のさくらの家に寄り、金(きん)を渡すが、さくらの夫の博吉は岡っ引きになっていて、その縄に縛られて出て行く…。
柴又が小学校の運動会準備で沸き返る頃、寅次郎が「たたみいわし」をお土産に、ひょっこりと帰ってくる。博はここ3年ぐらい満男の運動会に行けなかったので今年は必ず行くと約束していたが、重要な仕事が入ったため、約束を守れなくなる。寅次郎は自分が父親代わりになって満男を応援してやると前日から張り切るものの、満男が気を遣いながらもそのことに難色を示したことをきっかけに、竜造らから逆に迷惑だと言われてしまい、柴又を飛び出してしまう。
寅次郎は商売で新潟に向かい[注釈 2]、出雲崎へやって来た。向こうに見える島が佐渡島だと佐渡の漁船の船頭に聞き、ふと興味が沸いて一緒に連れて行ってくれないかと頼む。すると、近くで様子を見ていたどこかワケありの女性が同乗させてくれないかと頼む。女性は演歌の女王・京はるみで、過密なスケジュールと失恋の痛手から逃れようと、突如思い立って半ば無意識のうちに、近くのイベントホールから失踪していたのだ。寅次郎はそんな彼女が誰かに気付かないまま、快く同乗させてあげる。その二人の姿を、通りがかりのはるみのファンが目撃していた。
佐渡に着いて民宿で酒を酌み交わすうち、寅次郎ははるみをどこかで見た顔だと思うが、思い出せない。はるみが身の上話をしようとすると、「ワケのありそうな女の一人旅、くどくど身の上聞くほど野暮じゃねーよ」と寅次郎は遮る。民宿の女将のおばあちゃんからサインをもらってくれと言われ、老婆の持っていた写真から京はるみだと確信するが、はるみの気持ちを考え、知らない振りを通すことにする。
翌日、寅次郎とはるみは佐渡を楽しく回る。起床時刻も自由に決められ、風の吹くまま気の向くまま、「明日何をするか明日にならなきゃ決まらない」生き方をする寅次郎と一緒ののんびりとした旅で、はるみの心は晴れていく。本州へ渡るフェリー乗り場の近くまで来たところで、はるみは、出雲崎の目撃証言などをもとに追跡を続けていたプロダクションの社長らがついに自分に追いついたのを知り、元の世界に戻る決意をする。そのことを寅次郎に告げようとした時、寅次郎がつい「はるみちゃん」と呼びかけてしまったことで、はるみは寅次郎が知らないふりをしていてくれたことを知り、大スターとしてではなく一人の人間として自分を励ましてくれた寅次郎に感謝する。寅次郎との旅に未練を残し「行きたくない」というはるみに、「あんたのことを待ってる大勢のファンががっかりするよ」と寅次郎は背中を押す。はるみは、着けていた指輪を思い出にと寅次郎に渡し、元の世界に戻っていく。
歌手として復帰したはるみは、吹っ切れたように絶好調であった。一方の寅次郎は放心状態でとらやへ戻り、『涙の連絡船』のカセットを入れたウォークマンを電器店から黙って持ち出してしまうほど。心配するとらやの面々だが、寅次郎の説明を聞いても、佐渡で一人の女性と旅をしたことまでは分かっても、それ以上はさっぱり分からない。寅次郎が、自慢したい気持ちを持ちつつも、はるみに迷惑がかかることを恐れ、はるみの名前を出さなかったからだ。ところが、そんなある日、京はるみが突如とらやを訪れ、柴又は騒然となる。はるみは寅次郎にお礼だと言ってリサイタルの招待券を渡すが、その際に、佐渡の旅や寅次郎の思い出が支えとなって、恋人と復縁できたことを告げる。ガックリとする寅次郎。寅次郎ははるみに本気で惚れていたのだ。集った人々のリクエストに応え、はるみは「お団子屋さんにちなんでアンコ」と『アンコ椿は恋の花』を高らかに歌い上げ、拍手喝さいを浴びるが、寅次郎はその姿を静かに見つめるだけであった。
その夜、寅次郎は、はるみから貰ったリサイタルの切符をさくらに渡し、自分からだと言って花を届けてあげてほしいと頼む。そして「どんなに遠い空の下でも、はるみさんの幸せを祈っています」との伝言を託して、旅立つ。さくらたちが見に行ったショーの舞台で、京はるみは、歌手として夢中でやってきたことに悔いはないが、一人の女として、自分の人生は本当にこれでよかったのかと迷うことがあると話す[注釈 3]。そんな折、佐渡島で自分の辛さを理解し、何も聞かずに、最後まで優しく見つめてくれた男性の話をする。「今頃、どこにいるのかしら。寅さんは……。」はるみが北の旅人・寅さんの思い出を胸に『おんなの海峡』を歌う[3]頃、寅次郎は北海道に来て、冗談を言っていた。
など