社会的弱者(しゃかいてき じゃくしゃ、英: socially vulnerable)とは、一社会集団の成員でありながら、大多数の他者との比較において、著しく不利な、あるいは不利益な境遇に立たされる者(個人あるいは集団)のことである。[1]
身体的特徴(人種など)・思想的特徴(思想、宗教など)・所属社会の特徴(所属民族、国籍など)等に代表される個人あるいは一集団が持つ特徴によって、所属するより大きな社会集団の中で少数派の立場にあり、発言力も社会的な進出の機会も制約される、一般的な社会的少数者が第一に挙げられる。しかし、そればかりでなく、一社会集団の中で身体および身体能力、健康、学歴、年齢、生活形態、社会的スキル等の有無により、その発言力が限定され、生活上の利便を図ることも難しく、他の多くの人々に比べて、その生活の質において、著しく不利で傷つきやすい立場に置かれている人々のことをいう。
社会的弱者が生み出される要因として、次のようなものが挙げられる。
- 低所得者を見下し、ひどく扱う社会的風潮[2]。経済的弱者。
- 女性の妊孕性のある身体への世間体からの社会的評価・扱いなど。性差別(女性差別・男性差別)。[3][4]
- 性差による勤務時間や給与差、世間体からの評価・扱いなど。LGBT差別。[5]
- 身体的能力、学歴、社会的スキルなどによる差別。交通弱者など。[6] 極端な例だが、疫学的理由のない隔離なども挙げられる。[7]
- 義務教育より先の課程にある学校(高校~大学)を卒業したかによる差別。[8]
- 日本では特に「高校に進学(卒業)していない」という理由だけで、中卒者を無条件に見下す差別(当人の責めに帰さない理由[注釈 1]も含まれる)。[9]
- 国籍、人種、エスニシティー(民族性)による差別。[10][11][12]
- 社会的に数の少ない集団、あるいは、発言力の弱い集団。[13]
- インターネットに接続する環境にないなど情報量が少ない者。
- ブロードバンドの利用できない地域の居住者。[14]
- 交通弱者は、自動車中心社会において、移動を制約される人(移動制約者)、または子供、高齢者などの交通事故の被害に遭いやすい人
- 買い物弱者(買い物難民)は、食料品や日用品などの買い物が困難になった人々
- 災害弱者 は、災害時に自力での避難が通常の者より難しく、避難行動に支援を要する人々
- ^ 病気、障害、経済的理由などで高校への進学が不可能ないし困難な場合、またはやむを得ぬ事情で自主退学(中退)を余儀なくされた場合など。