空中発射ロケット(くうちゅうはっしゃロケット)とはロケット推進以外の手段によって高空まで輸送され発射されるロケットである。上空への輸送手段としては航空機や気球が用いられる。
有人、無人を問わず飛行中の航空機からパラサイト・ファイター のように別の航空機を発射するという手段は飛行船から飛行機を発射したりする等、古くから行われてきた。航続距離と最大速度の両立は困難だった為、空中給油が普及するまでは一部で行われた。その後、一部の軍用機や研究機で行われた。その後、人工衛星を打ち上げる手段として着目されるようになる。
また、射場の緯度によらず任意の空域で発射することが可能であるため、目標とする軌道に合わせ最適な条件で発射することが可能である。同様に公海上を発射空域に選択することが可能であり、燃焼後のロケットやフェアリング等の飛行に伴う落下物や、不具合発生による指令破壊後の落下物に伴う飛行経路直下およびその周辺領域の飛行安全確保が比較的容易である。日本のように漁業活動に伴って打ち上げ時期の制限が存在する場合においては、この制限を回避する手段としても有効である。
母機の搭載方法の問題や搭載能力に限界があるため、大きな推力を必要とする大型の人工衛星や、大きな増速を必要とする惑星探査機の打ち上げは困難である。また、年間飛翔機数が少ないと母機の維持費がコストを押し上げ、結果としてその分高いコストになる場合がある。
主にパラサイト・ファイターや空中発射弾道ミサイルの技術を継承して開発されたものである。母機の翼下に懸架する方式や胴体下に懸架する方式、胴体上に搭載する方式、胴体内に搭載する方式などがある。747-400は左翼にあるエンジン運搬用のパイロンがあり、母機として利用されている[1]。
専用の母機を開発する場合もあるが、コストの面から亜音速航行が可能な旅客機や輸送機、超音速航行が可能な戦闘機等を改造した機体が用いられることが多い。低コストな人工衛星打ち上げ方式として各国で検討が行われており、将来的に二段式宇宙輸送機 (TSTO) を実現することを目標とした検討や要素技術の研究開発も行われている(RASCAL, ATREX等)。2021年現在人工衛星打ち上げ用途として実用化された例はノースロップ・グラマン社のペガサスとヴァージン・オービットのランチャーワンのみである。歴史的にはアメリカ海軍の開発したパイロット2が最初の試みであるが、打上げはすべて失敗している。
2012年からF-15E戦闘機を利用する一液推進系を使用したALASA計画が国防高等研究計画局によって進められていたが、2015年に中止された[2][3][4]。
ジェームズ・ヴァン・アレンらが1949年に提案した方式であり、ロックーンと呼称される。主に科学観測や技術試験用途の弾道飛行で用いられる。ルーマニアはハースと呼ばれる人工衛星打ち上げ用のロックーンを開発中である。日本でもかつて東京大学生産技術研究所AVSA班(現宇宙科学研究所)が観測ロケットで約20機の成果があり、さらにサティルーン計画では衛星打ち上げ用ロックーンの検討を行っていた。