肉胞子虫科
|
|
分類
|
|
学名
|
Sarcocystidae Poche, 1913
|
肉胞子虫科(にくほうしちゅうか、Sarcocystidae)は、アピコンプレックス門に属する科の1つ。コクシジウム類のうち、主として哺乳動物の体内にシストを作る寄生性原生生物をまとめた分類群である。
成熟オーシスト内にはスポロシスト2つが生じ、その内部に4つのスポロゾイトが生じるが、スチーダ小体は存在しない。組織中に様々な大きさのシストを生じる。
古典的には原生動物門胞子虫綱住肉胞子虫目に所属させていたが、その位置付けを巡っては様々な議論があった。1960年代から1970年代にかけて生活環が明らかとなったことで、コクシジウム類の一部とみなされるようになった。
下位分類は以下の通りである。[1]
- 肉胞子虫亜科 Sarcocystinae Poche, 1913
- シスト中にブラディゾイト(緩増虫体、bradyzoite)とメトロサイト(metrocyte)の2種類の細胞を生じる。必ず中間宿主と終宿主の間を往復する生活環を持つ。肉胞子虫属に100種以上知られているほか、Frenkelia属が知られている。
- トキソプラズマ亜科 Toxoplasmatinae Biocca, 1957
- シスト中には1種類の細胞のみが含まれている。トキソプラズマ科(Toxoplasmatidae)として独立に扱う場合もある。計数十種が知られている。
- シストイソスポーラ
- シスト中には虫体(zoite)が単独で存在している。
- トキソプラズマ・ネオスポラ
- シスト中にはブラディゾイトが多数存在し、宿主の細胞核を含まない。中間宿主どうしでの伝播が起きる。
- ベスノイチア
- シスト中にはブラディゾイトが多数存在し、宿主の細胞核が含まれる。中間宿主どうしでの伝播が起きる。
- ハモンディア・Heydornia[2]
- シスト中にはブラディゾイトが多数存在し、宿主の細胞核を含まない。中間宿主どうしでの伝播が起きない。
またカエルの腎臓に寄生するHyaloklossia lieberkuehni[3]およびコウモリの腎臓に寄生するNephroisospora eptesici[4]は本科(とくにトキソプラズマ亜科)に所属すると考えられている。
- ^ Frenkel JK, Smith DD (2003). “Determination of the genera of cyst-forming coccidia.”. Parasitol. Res. 91: 384-389. doi:10.1007/s00436-003-0969-4.
- ^ Ogedengbe et al. (2016). “Molecular phylogenetic analyses of tissue coccidia (sarcocystidae; apicomplexa) based on nuclear 18s RDNA and mitochondrial COI sequences confirms the paraphyly of the genus Hammondia”. Parasitology Open 2: e2. doi:10.1017/pao.2015.7.
- ^ Modrý D, et al. (2001). “Phylogenetic position of a renal coccidium of the European green frogs, 'Isospora' lieberkuehni Labbé, 1894 (Apicomplexa: Sarcocystidae) and its taxonomic implications.”. Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 51 (3): 767-772. doi:10.1099/00207713-51-3-767.
- ^ Wünschmann A, et al. (2010). “Renal infection by a new coccidian genus in big brown bats (Eptesicus fuscus).”. J. Parasitol. 96 (1): 178-183. doi:10.1645/GE-2250.1.
ウィキメディア・コモンズには、
肉胞子虫科に関連するカテゴリがあります。