胆沢郡

岩手県胆沢郡の範囲(緑:金ケ崎町 薄緑:一時他郡に編入された区域 薄黄:後に他郡に編入された区域)

胆沢郡(いさわぐん)は、岩手県陸奥国陸中国)の

人口15,067人、面積179.76km²、人口密度83.8人/km²。(2024年10月1日、推計人口

以下の1町を含む。

郡域

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明治11年(1878年)に行政区画として発足した当時の郡域は、上記1町に奥州市の一部(北上川以西)を加えた地域にあたる。

歴史

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近世以前の沿革

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  • 古代の胆沢[1]は志波(現・盛岡)と並ぶ東北蝦夷の拠点だった[2]
  • 802年延暦21年)坂上田村麻呂は造胆沢城使として、胆沢城の造営を開始、同時に周辺地域の支配体制を確立。804年延暦23年)に胆沢・江刺・磐井の「胆沢三郡」が成立した。10世紀、磐井郡は国府多賀城領に編入され、岩手・志和・稗抜・和賀・江刺・伊沢の「奥六郡」が成立した[3]

近世以降の沿革

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上衣川村、下衣川村、白鳥村、前沢村、目呂木村、上麻生村、関村、中畑村、小山村、六日入村、中野村、下姉躰村、上姉躰村、堤尻村、須江村、瀬台野村、安土呂井村、四丑村、茄子川村、下河原村、八幡村、佐野村、三ヶ尻村、相去村、西根村、永沢村、百岡村、永徳寺村、上葉場村、栃木村、北下葉場村、塩竈村、南下葉場村、柳田村、新里村、若柳村、都鳥村

町村制以降の沿革

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1.水沢町 2.前沢町 3.佐倉河村 4.真城村 5.姉体村 6.白山村 7.古城村 8.衣川村 9.小山村 10.南都田村 11.若柳村 12.永岡村 13.金ケ崎村 14.相去村(赤:奥州市 紫:北上市 橙:金ケ崎町)
  • 明治22年(1889年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。特記以外は全域が現・奥州市。(2町11村)
    • 水沢町 ← 塩竈村、北下葉場村、常盤村[安土呂井の一部[5]
    • 前沢町 ← 前沢村、白鳥村、稲置村[目呂木]
    • 佐倉河村 ← 宇佐村、下河原村、満倉村、常盤村[四丑・茄子川、安土呂井の一部[5]を除く]
    • 真城村 ← 中野村、秋成村[須江・堤尻]、常盤村[瀬台野]
    • 姉体村 ← 秋成村[上姉体]、白山村[下姉体]
    • 白山村 ← 白山村[六日入]、稲置村[上麻生]
    • 古城村 ← 古城村、稲置村[関]
    • 衣川村 ← 上衣川村、下衣川村
    • 小山村(単独村制)
    • 南都田村 ← 南下葉場村、都鳥村、東田村[柳田]
    • 若柳村 ← 若柳村、東田村[新里]
    • 永岡村 ← 永栄村、永沢村(現・金ケ崎町)
    • 金ヶ崎村 ← 西根村、三ヶ尻村(現・金ケ崎町)
  • 明治30年(1897年)4月1日
  • 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
  • 大正14年(1925年)9月1日 - 金ヶ崎村が町制施行して金ヶ崎町となる。(3町11村)
  • 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
  • 昭和17年(1942年)7月1日 - 「胆江地方事務所」が水沢町に設置され、江刺郡とともに管轄。
  • 昭和29年(1954年
  • 昭和30年(1955年
    • 3月1日 - 金ヶ崎町・永岡村が合併し、改めて金ヶ崎町が発足。(2町6村)
    • 4月1日(2町2村)
      • 前沢町・古城村・白山村が東磐井郡生母村と合併し、改めて前沢町が発足。
      • 小山村・南都田村・若柳村が合併して胆沢村が発足。
  • 昭和42年(1967年)4月1日 - 胆沢村が町制施行して胆沢町となる。(3町1村)
  • 平成18年(2006年)2月20日 - 前沢町・胆沢町・衣川村が水沢市・江刺市と合併して奥州市が発足し、郡より離脱。(1町)
  • 平成19年(2007年)10月1日 - 金ヶ崎町が町名表記を金ケ崎町に改定。

変遷表

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自治体の変遷
明治以前 明治8年10月17日 明治8年 - 明治22年 明治22年
4月1日
町村制施行
明治22年 - 大正15年 昭和元年 - 昭和29年 昭和30年 - 昭和39年 昭和40年 - 昭和64年 平成元年 - 現在 現在
塩竈村 塩竈村 塩竈村 水沢町 水沢町 昭和29年4月1日
水沢市
水沢市 水沢市 平成18年2月20日
奥州市
奥州市
北下葉場村 北下葉場村 北下葉場村
安土呂井村 一部[5] 常盤村[7] 常盤村の一部
(四丑・茄子川・安土呂井)
一部[5]
を除く
佐倉河村 佐倉河村
四丑村
茄子川村
八幡村 宇佐村 宇佐村
佐野村
上葉場村 満倉村 満倉村
栃木村
下河原村 下河原村 下河原村
瀬台野村 常盤村[7] 常盤村の一部(瀬台野) 真城村 真城村
中野村 中野村 中野村
須江村 秋成村 秋成村
堤尻村
上姉体村 姉体村 姉体村
下姉体村 白山村 白山村
六日入村 白山村 白山村 白山村 昭和30年4月1日
前沢町
前沢町
上麻生村 稲置村[8] 稲置村の一部(上麻生)
磐井郡
赤生津村
磐井郡赤生津村 磐井郡赤生津村 明治12年1月4日
東磐井郡赤生津村
東磐井郡
生母村
東磐井郡生母村 東磐井郡生母村
磐井郡
母体村
磐井郡母体村 磐井郡母体村 明治12年1月4日
東磐井郡母体村
前沢村 前沢村 前沢村 前沢町 前沢町 前沢町
白鳥村 白鳥村 白鳥村
目呂木村 稲置村[8] 稲置村の一部(目呂木・関)
関村 古城村 古城村 古城村
中畑村 古城村 古城村
小山村 本郷
その他 小山村 小山村 小山村 小山村 小山村 昭和30年4月1日
胆沢村
昭和42年4月1日
町制 胆沢町
南下葉場村 南下葉場村 南下葉場村 南都田村 南都田村 南都田村
都鳥村 都鳥村 都鳥村
柳田村 東田村 東田村
新里村 若柳村 若柳村 若柳村
若柳村 若柳村 若柳村
上衣川村 上衣川村 上衣川村 衣川村 衣川村 衣川村 衣川村 衣川村
下衣川村 下衣川村 下衣川村
永徳寺村 永栄村 永栄村 永岡村 永岡村 永岡村 昭和30年3月1日
金ヶ崎町
金ヶ崎町 平成19年10月1日
改称 金ケ崎町
金ケ崎町
百岡村
永沢村 永沢村 永沢村
西根村 西根村 西根村 金ヶ崎村 大正14年9月1日
町制 金ヶ崎町
金ヶ崎町
三ヶ尻村 三ヶ尻村 三ヶ尻村
相去村 一部[6] 相去村 明治11年11月26日
和賀郡相去村
明治12年1月4日
東和賀郡相去村
東和賀郡
相去村
明治29年3月29日
胆沢郡に復帰
昭和29年4月1日
北上市の一部
昭和29年10月1日
金ヶ崎町に編入
一部[6]
を除く
北上市 北上市 北上市 平成3年4月1日
北上市の一部
北上市

行政

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胆沢・江刺郡長
氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 出納貞武 明治12年(1879年)1月28日 明治13年(1880年)8月21日
2 直江兼重 明治13年(1880年)10月23日 明治14年(1881年)10月6日
3 板垣四郎 明治14年(1881年)10月7日 明治18年(1885年)12月26日
4 下田栄光 明治19年(1886年)8月25日 明治27年(1894年)3月21日
5 鈴木愿治 明治27年(1894年)3月22日 明治30年(1897年)3月31日 廃官
胆沢郡長へ転任
胆沢郡長
氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 鈴木愿治 明治30年(1897年)4月1日 明治35年(1902年)4月22日 胆沢・江刺郡長より転任
2 長谷川四郎 明治35年(1902年)4月22日 明治36年(1903年)7月7日
3 尾形亀寿 明治36年(1903年)7月7日
4 勝俣元長
5 佐土原親則
6 鹿野宏
7 木村友次郎
8 亀山忠之助
9 山田彦四郎 大正15年(1926年)6月30日 郡制廃止により、廃官

脚注

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  1. ^ 古文書では「膽澤」。
  2. ^ 蝦(えみし)夷松岡正剛の千夜千冊
  3. ^ 「奥六郡」と呼ばれた岩手
  4. ^ 明治元年12月23日(1869年2月4日)の「諸藩取締奥羽各県当分御規則」(法令全書通番明治元年太政官布告第1129)に従って設置された県だが、明治政府が権知県事を任命したわけではなく、そのため明治政府の公文書には全く記録が残っておらず、正式な県とは認められていない。
  5. ^ a b c d e 一葉起・肥後起・三本木
  6. ^ a b c 字六原の大部分
  7. ^ a b 常盤村は、明治8年(1875年)に瀬台野村・四丑村・茄子川村・安土呂井村の合併により成立。明治22年(1889年)に分村し、旧・安土呂井村の一部[5]は水沢町へ、旧・瀬台野村域は真城村へ残部は佐倉河村となる。
  8. ^ a b 稲置村は、明治8年(1875年)に上麻生村・目呂木村・関村の合併により成立。明治22年(1889年)に分村し、旧・上麻生村域は白山村へ、旧・目呂木村域は前沢町へ、旧・関村域は古城村となる。

参考文献

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  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 3 岩手県、角川書店、1985年2月7日。ISBN 4040010302 
  • 旧高旧領取調帳データベース
  • 胆沢郡誌(岩手県教育会胆沢郡部会、1927年)

外部リンク

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関連項目

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