胎位(たいい)とは、子宮腔内における胎児の位置関係をいう。通常、分娩の時期が近づく頃には、頭位(後述)の状態をとっている。
胎位は、胎児長軸(頭と尻・足を結ぶライン)と子宮縦軸との方向関係で示される。
胎児長軸と子宮縦軸の方向が一致するものをいう。
胎児の頭が下を向き、子宮口のそばに位置した状態。分娩時には、そのまま頭から産道を進む。頭位は、さらに次のように細分できる。
胎児の頭部が胸壁を離れ背筋が伸展した頭頂位、前頭位、額位、顔位をまとめて「反屈位」とも呼ぶ。これらは、分娩の際に児頭の回旋がスムーズに行きにくく、難産の原因になる場合がある。
胎児の尻や足が下を向き、子宮口のそばに位置した状態。いわゆる逆子であり、分娩に困難を伴う。骨盤位の種類によって、経膣分娩が可能なものと、帝王切開の処置で取り出さなければ危険が大きいものとがある。
胎児長軸と子宮縦軸の方向が交差するものをいう。
胎児長軸と子宮縦軸の方向が垂直に交差し、胎児が横長に寝た状態で、背中が子宮口に接している。胎児の体が骨盤に引っ掛かって出てこられず、出産時には帝王切開が必要である。
胎児長軸と子宮縦軸の方向が斜めに交差している。斜めの度合いによっては、陣痛の進行とともに縦位になっていく場合もあるが、引っ掛かって横位のように帝王切開が必要な場合も多い。
全体の99.8%が縦位で、横位・斜位は約0.2%ほど。縦位のうち約95%が頭位で、骨盤位が約5%を占める。