『蒼の封印』(あおのふういん)は、篠原千絵による日本の漫画作品。
『少女コミック』(小学館)にて1991年22号から1994年21号まで連載された。単行本は全11巻。コミック文庫版は全7巻。
舞台は現代日本。
高校1年生の桐生蒼子は、転校初日からどうしようもない違和感を覚え、眩暈と悪寒に悩むようになる。転校してすぐに、蒼子を襲った男が消え、先輩が消えるという怪現象が起こってしまう。そんな折、蒼子を執拗に狙う男が現れる。男は西園寺彬と名乗り、「西の白虎」としてかつて人を脅かしていた人食い鬼の長、「東の蒼龍」である蒼子を殺しにきたと告げる。
角が生え、人に対し飢餓感を覚え、尋常ではない力を発揮するようになり、否が応でも鬼であることを認識させられてしまった蒼子。しかし、いつしか愛し合うようになっていた彬と共に生きるため、人間になりたいと切望する蒼子は、鬼門を滅ぼすことを決意する。
- 桐生 蒼子(きりゅう そうこ)
- 主人公。高校1年生16歳の女子高校生として登場する。人食い鬼の一族鬼門を統べる長「東家の蒼龍」であり、鬼門最後の女王である羅睺(らごう)の髪の毛から作られ、16歳まで育てられたクローンである。蒼い鬼火を操り、人の精気を吸い、人を新たな鬼門の一族へと作り変える[蒼魂]を生み出す能力を持つ。
- 鬼である自らの存在を厭い、鬼門を滅ぼして人間になり、人として生きることを望んでいる。
- 西園寺 彬(さいおんじ あきら)
- 鬼門を狩る能力を持つ「西家の白虎」。血が薄まってしまった西家の一族の中で、最も強い能力を持つが故にほかの兄弟を差し置いて当主となる。母親に料理を叩き込まれており、その腕を披露したこともある。
- 蒼子の命を狙っていたが、いつしか心を奪われ、蒼子と愛し合うようになってしまった。
- 桐生 高雄(きりゅう たかお)
- 精神を操る力を持つ「北家の玄武」。蒼子の兄として一緒に暮らしていた。羅睺の再生と鬼門復活を望み、暗躍する。
- 鬼門が滅んだ際、「南家の朱雀」の能力により首だけの存在になり、不老不死となる。首は南家の隠れ屋にあり、普段は影(分身)で登場している。羅睺の夫であり、緋子の父でもある。
- 緋子(ひこ)
- 物語登場時は計都(けいと)。羅睺の妹の髪の毛から再生されたクローンであるとされている。人間側につき鬼門を滅ぼそうとする蒼子に反発し、蒼子を殺して自らが次の「蒼龍」になろうとする。のちに蒼子から「緋子」と命名され、滅んだ「南家の朱雀」を継ぐように命じられる。
- その正体は羅睺と高雄の間に生まれた娘。
- 西園寺 忍(さいおんじ しのぶ)
- 彬の叔父で事実上西園寺財閥を指揮している。盲目でボウという盲導犬と一緒にいる。
- 西園寺 椋(さいおんじ りょう)
- 彬の腹違いの兄。長兄。彬には劣るが鬼を狩る能力を持っていた。
- 彬に後継者争いで敗れ、彬を恨んでいる(檀いわく)。蒼子に生気を食われ死亡。武器はブーメラン(物を切り落とす)。
- 西園寺 楷(さいおんじ かい)
- 彬の腹違いの弟(彬とは2ヶ月違い)。三男。彬には劣るが鬼を狩る能力を持つ。西家の役割を「鬼門復活の阻止」と捉えており、蒼子と彬に協力的な立場を取る。武器は鞭(これを通じて鬼の生気を吸い取る)。
- 西園寺 檀(さいおんじ まゆみ)
- 彬の腹違いの妹。西園寺4兄妹の末っ子。椋と同母。血が薄まってしまった西園寺家の血を濃く次代に残すため、忍の指示で彬に迫る。武器は礫(ガラスを貫通するほどの強さを持つ)。
- 鬼面獣(きめんじゅう)
- 「鬼の隠れ屋」を守る一角獣。鬼の4家に合わせ蒼の鬼面獣、白の鬼面獣、赤の鬼面獣、黒の鬼面獣がいる。非常に長寿であり、蒼の鬼面獣は1000年を生きたと述べている。黒の鬼面獣は、彬から五行思想の五色から中央を意味する「黄(コウ)」という名を与えられる。
- 鬼門(きもん)
- 本作では「鬼門3万人」のように「鬼たちの一族」のような意味合いで使用される。
- 蒼の封印(あおのふういん)
- 人間族が鬼族を封じるための方策を「蒼の封印」と呼んだ。
- 蒼魂(そうこん)
- 「東家の蒼龍」が人を喰って産み出す蒼い色の玉。玉を人間に与えると、鬼族へと変貌させることができる。
- 鬼の隠れ屋(おにのかくれが)
- 鬼たちのヒーリングの場であり、東家を除く3つでは、それぞれの家の長が「力」を継ぐことができる場。
- 東家の場合は、鬼たちの出産、幼児期の育成の場であり、東家の鬼の隠れ屋以外では死産、流産したり正常な出産が行えず、幼児も死亡する。
- 東家の蒼龍
- 鬼門の長の一族。蒼魂の力で人間から鬼を作り出すこともできる。
- 西家の白虎
- 他の3家の者と交わった場合、その能力を失わせることができる。そのため、他の鬼から疎まれ、人間に味方するようになった。西園寺家の祖先。隠れ屋は奈良にある。
- 北家の玄武
- 鬼門の司祭を勤める一族。高雄を残して一族は残っていない。精神操作を得意とする。
- 南家の朱雀
- 鬼門の刑罰を司る一族。既に部族は残っていない。隠れ屋は阿蘇山の火口にある。
- 西園寺家
- 本作では天皇家、千家よりも古い家柄であるとし、政界、財界のどちらにも大きな影響力を持つ。
- 本家は長野県鬼無里から更に山奥に入ったところにある。
1993年に小学館より少女コミックcdブックとして発売された。連載中に発売されたため、原作とは結末が違う。
- 蒼の封印 - "篠原千絵"30周年記念 オフィシャルサイトより
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