『親切なトム』(Puppy Tale、1954年1月23日)は「トムとジェリー」の作品のひとつ。
静かな夜、ジェリーは通りかかった一台の車からあるものが川へ投げ捨てられたのを目撃する。流されながらモゾモゾとうごめく袋を回収するジェリー。その中身はなんと六匹の子犬だった。
散り散りになる子犬たちにもみくちゃにされたジェリーは家に帰ろうとするが、一匹だけ尻に丸い模様のある子犬が彼に懐いてしまう。初めは放っておこうとしていたジェリーもその子犬をかわいそうに思い自分の巣穴の中へ連れて行こうとする。しかし、子犬は大き過ぎて巣穴に入れなかったため家の玄関から入ることにした。
一方、ベッドの中で熟睡中のトム。起こさないよう静かに子犬を誘導するジェリーだが、子犬は家に入るなりトムのミルクをしつこく飲み始め、おまけにトムの安眠を妨害する始末。トムは何度も子犬を外へつまみ出すがその度にジェリーが救出してしまうため、ついにジェリー共々家の外へ追い出し玄関を施錠した。
気を取り直してトムは眠りにつこうとした。だがその途端に外では雷を伴う大雨が降り出す。それと同時にトムの脳裏には土砂降りの中、川に溺れて流されていくジェリーと子犬の姿が。不安になったトムは暗闇の中、口笛を途切れ途切れに吹きながらジェリー達を探すのであった。そんな中トムは強風に煽られ川に落ちて自分が溺れてしまう。
その頃雨宿りをしていたジェリーと子犬は川で溺れているトムを発見。救出し家で介抱する。意識を取り戻したトムは子犬のためのベッドとミルクを持ってきた。子犬を家に置くことを許したようである。大喜びの子犬は残り五匹の子犬たちを家の中に呼び込み、子犬たちはミルクを飲み始める。トムとジェリーは微笑ましく子犬たちを見つめるのであった。