豆花(とうか、拼音: ドウホワ、閩南語: tāu-hue)は、小吃の一種。大豆から得られた豆乳を硫酸カルシウム等の凝固剤で凝固、成形したもので、日本の絹ごし豆腐よりも柔軟な食感のゼリー状の食品である。伝統的な製法では、食用の石膏(硫酸カルシウム)やかん水が凝固剤として用いられ、食感はややざらざらとしていたが、現在はでん粉や別の凝固剤も使われており、食感はより滑らかになっている。
地域により豆腐脳(ドウフナオ、拼音: )、豆腐老(ドウフラオ、拼音: )、豆腐花(ドウフホワ、拼音: )等とも呼ばれる。
名称 | 地区 | 味、調味料 |
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豆腐脳 | 中国北部 | 北方では通常、塩で調味される。 |
豆腐花 | 中国南部 香港 マカオ マレーシア シンガポール |
広東省などの嶺南地方では通常、砂糖で甘くして食べる。 |
豆腐脳 豆腐老 |
四川 重慶市 雲南 貴州 安徽 |
西南地方では唐辛子味噌で辛く味付けされる。 豆板醤、醤油などで、辛い味付けにし、葱、漬物などの薬味をそえる。 安徽は砂糖でも食べる |
豆花 | 中国南部 香港 台湾 |
シロップや、緑豆、小豆、落花生などの甘く煮た豆類やハトムギなどの穀類、餅などが加えられる。 好みで果物も添えられることがある。 |
豆花 | 福建 台湾 |
緑豆、小豆、落花生などの煮豆類やシロップが加えられ、また果物も添えられる。 |
老豆腐 | 山西省などの晋語地域 天津 |
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豆腐生 | 浙江省台州 | 甘い味付けの場合は黒蜜をかけ、シナモンを散らす。 塩辛い味付けの場合は、その上にザーサイや海苔、ネギを散らす。 |
豆凍 |
豆花の由来は諸説あり、少なくとも三つの異なる説があるが、いずれも漢の淮南王劉安と関係している。
「豆腐は、漢の淮南王劉安に始まる」ことが明の『本草綱目』[1]にも記されている。豆花と豆腐は元は同じであったが、後年次第に加工法が異り、別れたものと考えられる。
豆花には大きく分けて、甘い味付け、塩辛い味付け、ピリ辛い味付けの三種の食べ方がある。伝統的に、甘い食べ方は華南地方、香港、台湾に、塩辛い食べ方は中国北部に、ピリ辛い食べ方は中国西南地方に分布している。
台湾、ベトナム、香港、マカオ、マレーシア、シンガポール、広東省、広西、福建省などでは、通常、黒砂糖、赤砂糖、黒蜜、あるいはシロップが使われる。夏は冷たく、冬は熱くして食べられる。近年は冷やした凍豆花(冷豆花)が登場しているが、その場合は黒糖は固まってしまうためにシロップが使われる。シロップには時にはしょうが汁が加えられる。また食感を良くするために煮た緑豆や小豆、果物が加えられ、また湯圓と一緒に食べる場合もある。
比較的珍しい食べ方として、砂糖を加えた豆乳と豆花を合わせた「豆乳豆花」や、またより新しい食べ方として「チョコレート豆花」、黒ゴマを散らした「黒白」、またマンゴー果汁を加えた「マンゴー豆花」がある。
シロップなどの味付けばかりではなく、台湾では豆花本体に、鶏卵、チョコレートなどを加え、これを普通の白い豆花と合わせて「三色豆花」としたものもある。
中国北部では通常、豆花は豆腐脳と呼ばれる。豆腐脳という呼び方は四川省などの南西部を除けば南方では全く使われない。豆腐脳の味は地域や好みにより大きく変化し、共通点は塩辛いというだけである。一碗ごとに分けて蒸篭で蒸した蒸し豆腐脳もある。
炒め鍋に少量の油を熱し、キクラゲ、カリフラワー、シイタケの細切りと、ネギ、ショウガのみじん切り、豆腐を加えて炒め、しょうゆ大さじ1、適量の牛肉スープ、あるいは羊肉スープ(無ければ水でも可)を加え、蓋をせず煮込み、塩、鶏がらスープで調味し、水溶き片栗粉を加える。最後に溶き卵を加えて完成する。
河南省では、豆腐脳と胡辣湯を合わせた食べ方があり、「両摻儿」と呼ばれる。
陝西、山西省南部等の辛い味を好む地域では、しばしばラー油で調味される。
また醤油、ごま油、 大豆、セロリも簡単な調味料、薬味として使われ、またニラ、にんにく、ネギ、干しエビ、ピーナッツ、コリアンダーなどを加えても良い。
四川、重慶の豆花は辛い調味料が使われ、南部の甘い豆花、北部の塩からい豆花とは対照的である。この地方には辛い豆花を米飯に添えて食す習慣があり、「豆花飯」と呼ばれる。
四川、重慶地方では豆腐だけのものを北部と同じ呼び方で豆腐脳と呼び、豆花はまた別の食べ物の呼び名である。
豆花の原料は大豆と水と凝固剤の三種類だけであり簡単に入手できる。水の分量は濃さに影響し、凝固剤としては通常、食用石膏粉が使われ、近年は海藻粉やサツマイモ粉を使う人もいる。