遠い海から来たCOO

遠い海から来たCOOクー
著者 景山民夫
発行日 1988年3月
発行元 角川書店
ジャンル 海洋冒険小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本文庫本
ページ数 304(上製本)
コード ISBN 978-4-04-872485-2 上製本
ISBN 978-4-04-173606-7 文庫本
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遠い海から来たCOOクー』(とおいうみからきたクー)は、景山民夫による小説。雑誌『野性時代』にて1987年6月号から1988年2月号まで連載され、単行本は1988年3月刊行。第99回直木賞受賞作品。1992年に角川文庫から文庫化。1993年に日本テレビ開局40年記念作品としてアニメ映画化、NHK-FM放送ラジオ番組青春アドベンチャー』でラジオドラマ(オーディオドラマ)化、前田真宏による漫画化がなされている。

美しい自然と親子のふれあいを通して描かれる少年の成長記であり、同時に大国の核実験などが絡む冒険小説的な要素をも併せ持つ。

あらすじ

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南太平洋フィジー諸島のひとつ「パゴパゴ島」が主な舞台。パゴパゴ島のトンベルア酋長の許可をもらい、日本から移住した海洋生物学者の小畑徹郎とその息子である洋助(12歳)が主人公。

移り住んで3年。嵐の翌朝、洋助は珊瑚の潮だまりで50センチほどの生物を発見した。それは、1億6500万年以上前に生息していた水棲爬虫類(首長竜プレシオサウルス(又はプレシオザウルス)であり、奇跡の生命の誕生に立ち会った洋助は、その瞬間から生物の母親役を担うことになる。徹郎の研究室に生物を持ち帰った洋助は、その産声から生物を「クー(COO)」と名付ける。

クーは、インプリンティング(刷り込み)という動物習性により、生まれて初めて見た洋助を母親と思い込んでいる。

時を同じくして、クーの母親であるプレシオサウルスの遺骸が別の小島に漂着する。洋助と徹郎は、フランスの核実験計画をめぐる同国諜報機関の暗躍を知り、銃をとる。

自然と人間、親子と絶滅生物、核実験の陰謀が取り巻く奥深い物語である[1]

漫画

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遠い海から来たCOO
ジャンル 海洋・冒険・環境
漫画
原作・原案など 原作、景山民夫
脚色、前田真宏
作画 前田真宏
出版社 徳間書店角川書店
掲載誌 アニメージュ
レーベル ニュータイプ100%コミックス
発売日 上巻:1993年11月
下巻:1994年3月
巻数 全2巻 p168+p184
テンプレート - ノート

漫画『遠い海から来たCOO』は、前田真宏の脚色、作画で徳間書店の雑誌『アニメージュ』に連載された。その後単行本化では、下記に示すライバル誌の角川書店「ニュータイプ100%コミックス」から出版された。これは映画化による版権買い取りである。

単行本コミックの上下巻各巻末には、前田による「番外編 わたくしとCOOの出会ひ」と題する漫画が掲載され、原作と「恐竜」に対する思い入れが描かれている。

アニメーション映画

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Coo 遠い海から来たクー
監督 今沢哲男
脚本 岡本喜八
原作 景山民夫
製作 漆戸靖治
出演者 山崎裕太
伊武雅刀山口智子
神谷明家弓家正
青野武石田太郎
音楽 ニック・ウッド
ジュリアン・レノン
主題歌 松任谷由実ずっとそばに
撮影 細田民男
編集 花井正明
製作会社 「COO製作委員会」[2]日本テレビよみうりテレビ、I&S、角川書店東映ポニーキャニオンニッポン放送出版、ビクターエンタテインメント[2](製作協力・東映動画
配給 東映洋画[2]
公開 日本の旗 1993年12月11日
上映時間 116分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 3.1億円[3]
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Coo 遠い海から来たクー』は、「Coo 遠い海から来たクー製作委員会」[2](日本テレビ、よみうりテレビ、I&S、角川書店、東映、ポニーキャニオン、ニッポン放送出版、ビクターエンタテインメント)が製作した日本の劇場用アニメ作品[2]。製作協力に東映動画。1993年12月11日に東映洋画系で全国公開[2]。製作費4億2,000万円[2]

登場人物

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スタッフ

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主題歌

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挿入歌

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制作概要

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  • 1991年
    • 初冬 :制作がスタート。製作会社(東映動画)と各監督(今沢、大倉、山本)が決定。
    恵比寿にある景山民夫の事務所で、景山と今沢との初打ち合わせ。制作が了承されると共に、景山が持つ膨大な銃器類の資料等の協力を受ける。
  • 1992年
    • 1月:今沢、大倉、山本、田宮はロケハンのため、フィジー諸島タヒチへと赴く。
    • 春:シナリオが岡本喜八によって決定。以後、今沢は絵コンテ作業に一人没頭する(絵コンテ総数500枚以上)。
    • 6月:キャラクター設定の打ち合わせ。キャシーの設定が決まらず、一同憤慨する。
    • 7月:行き詰まった末の仕切り直しも兼ねて、神奈川県三浦市のヨットハーバーであるマリンパークへ出かける。その時見かけたヨットやイルカが良い影響を与えた結果、以後のキャラクター設定、美術設定は無事進行する。また、同時期に作画(原画)がスタートする。
    • 11月:音楽と劇中音楽の打ち合わせ。
    • 12月:物語終盤の絵コンテについての打ち合わせの末、全ての絵コンテが仕上がる。
  • 1993年
    • 1月:メインテーマに携わるニック・ウッドと打ち合わせ。
    • 2月:洋助役のオーディションを行うが、集まった20名の小中学生の中からは選ぶ事が出来ず失敗。
    • 5月:アフレコ2ヶ月前で声優が決定せず、制作陣は非常に焦る。
    • 6月:期限ぎりぎりで、何とか役者が決定(小畑洋助:山崎裕太、キャシー:山口智子)。
    • 8月:アフレコ開始。声優初心者の山崎裕太と山口智子は、2週間前からリハーサルに取り組む。
    • 9月:主題歌が松任谷由実の「ずっとそばに」で決定。
    • 10月:発案から約2年をかけ、ついに初号が完成する。

宣伝

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宣伝費として東映が2億8,000万円[2]角川歴彦社長就任第一弾として取り組む"新生"角川書店が1億円[2]、日本テレビが3億円の予算を計上[2]、その大半をテレビスポットに投入[2]。角川書店は「COOフェア」を開催した[2]

興行

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渋谷東急ほか全国東映洋画系劇場で公開[2]

関連書籍メディア類

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  • 『Coo 遠い海から来たクー(Newtype garden stories)』景山民夫、山本二三 共著
    映画の世界を、山本二三の美しいイラストと原作者・景山民夫の文章で紹介する大型本。
    出版社:角川書店(1993年12月発行)
    ISBN 4-04-852459-3ISBN 978-4-04-852459-9

映像ソフト化

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  • DVDやBD化は2022年8月現在行われていない。このため、上記ソフトが比較的高額にて売買されている[4]
  • テレビ放映は過去に幾度も放映されている。最近では

エピソード

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  • 1993年には、恐竜関連の邦画として本作の映画版だけでなく『REX 恐竜物語』も公開されている。
  • 上映にあたってはTVCMも流され、CMは日本テレビ系列以外の局でも流された。日本テレビ系列だと「日本テレビ開局40年記念作品」の文字は付いていたが、日本テレビ系列以外では外されていた。
  • 親子のふれあいや美しい自然、大国の核実験などの要件から、作品としての深さに勝るとの批評もある[5]。景山自身による作品解説にて、「1986年マレーシアティオマン島に潜りに行った時、ストーリーが全部できちゃった。」と剽窃説を否定する記述がある[6]
  • 角川映画「ルビー・カイロ」ビデオソフト(PCVE-30093・ポニーキャニオンより発売・販売)巻末には本作の予告編が収録され「製作・角川春樹」となっている。製作途中、不祥事により当時の角川書店代表取締役社長を退任。製作が「COO製作委員会」の日本テレビ放送網メンバーであった漆戸靖治へ交代。

実写化企画

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1989年頃に実写化が企画されていた[7]。監督は岡本喜八、特撮監督は川北紘一が予定され、漫画家の西川伸司がプレシオサウルスのデザインを手掛けている[8][7]。西川は、このデザイン提出時に自身が執筆したゴジラの同人誌も川北に手渡しており、このことが後にゴジラシリーズへ参加するきっかけになったという[8][7]

脚注

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  1. ^ 上製本『遠い海から来たCOO』装丁カバーの折り返し案内文より
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 「東映洋画配給『COO 遠い海から来たクー』 直木賞受賞作品のアニメ化に初挑戦」『AVジャーナル』1993年11月号、文化通信社、50–53頁。 
  3. ^ 「1994年日本映画フリーブッキング作品配給収入」『キネマ旬報1995年平成7年)2月下旬号、キネマ旬報社、1995年、155頁。 
  4. ^ アニメ VHS Coo 遠い海から来たクー”. 駿河屋. 2022年2月7日閲覧。
  5. ^ キネマ旬報」1994年1月下旬
  6. ^ 「景山民夫自身による自作品解説」『途中で、ごめん。』p96 ISBN 4-8387-1031-3、マガジンハウス 1998年6月刊
  7. ^ a b c 西川伸司「Column - [4] 『遠い海から来たCOO』のプレシオサウルスの子ども」『西川伸司デザインワークス』玄光社、2019年2月1日、60頁。ISBN 978-4-7683-1150-9 
  8. ^ a b 「第7章 平成ゴジラシリーズを作った男たち 西川伸司」『平成ゴジラ クロニクル』川北紘一 特別監修、キネマ旬報社、2009年11月30日、234頁。ISBN 978-4-87376-319-4 

関連項目

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外部リンク

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