長尾 真(ながお まこと、1936年(昭和11年)10月4日[1] - 2021年(令和3年)5月23日)は、日本の情報工学者[1]。位階は正三位。
京都大学工学部[1]電子工学科卒業。京都大学総長[1]、京都大学名誉教授[6]、国際高等研究所所長、独立行政法人情報通信研究機構理事長[1]、国立国会図書館長[1][7]を歴任。
専門は、自然言語処理・画像処理[1]・パターン認識。パターン認識の分野では、手書き文字の認識方式を提案した。この手法は、初期の郵便番号読み取り装置へ応用された。以降、電子図書館システムの研究を主に手がけている。自動翻訳やAIにつながる技術の原理を開発した[8]。
自伝に「情報を読む力、学問する心」(ミネルヴァ書房、2010年)がある。
弟子には金出武雄、辻井潤一、松山隆司、松本裕治、佐藤理史、黒橋禎夫、中村裕一らがいる。
電子情報通信学会会長・情報処理学会会長などを歴任。1997年から2003年まで京都大学総長を務め[1]、国立大学協会会長として国立大学法人化を行った。また、自ら機械翻訳国際連盟(下部組織の日本機械翻訳協会は現「アジア太平洋機械翻訳協会」)・言語処理学会を設立し、初代会長を務めた。
京都大学退官後、2004年に旧通信総合研究所と旧通信・放送機構が統合して設立された情報通信研究機構の初代理事長に就任[1]。2007年に国立国会図書館長に就任[1]。なお図書館界とは電子図書館の開発で以前から縁が深く[9]、京都大学総長在任中から、日本図書館協会会長を務めていた[10]。2014年には、日本学士院会員(自然科学部門、工学分科)に就任。2015年に国際高等研究所所長に就任。2016年に京都府公立大学法人理事長に就任。
2021年5月23日、出血性脳梗塞のため死去[11]。84歳没。死没日をもって正三位に叙される[12]。
- 1955年 - 滋賀県立膳所高等学校卒業
- 1959年 - 京都大学工学部[1]電子工学科卒業
- 1961年 - 同大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了[2]、京都大学工学部助手に就任[2]
- 1966年 - 工学博士(京都大学、学位論文『Studies on language analysis procedure and character recognition 』)[1]
- 1967年 - 同講師に昇任
- 1968年 - 同助教授に昇任[2]
- 1973年 - 同教授に昇任[1]
- 1986年 - 京都大学大型計算機センター長に就任
- 1991年 - 機械翻訳国際連盟を設立
- 1994年 - 言語処理学会を設立
- 1995年 - 京都大学附属図書館長に就任
- 1996年 - 京都大学総長特別補佐に就任[13]
- 1997年
- 京都大学大学院工学研究科長・工学部長に就任
- 京都大学総長に就任[1]
- 2004年 - 情報通信研究機構理事長に就任[1]
- 2007年 - 国立国会図書館長に就任[1](2012年退任)
- 2013年 - 京都市音楽芸術文化振興財団理事長に就任
- 2014年 - 日本学士院会員(第2部、第5分科)に就任
- 2015年 - 国際高等研究所所長に就任(2018年退任)
- 2016年4月 - 京都府公立大学法人理事長に就任(2018年退任)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 長尾 2007, p. 658
- ^ a b c d 長尾真 (2001), “私にとってのこれからの認知科学”, 認知科学 (日本認知科学会) 8 (3): p. 197, ISSN 1341-7924, https://doi.org/10.11225/jcss.8.194 2009年10月5日閲覧。
- ^ 京都大学広報委員会 (2005), “長尾 真前総長がフランス共和国レジオン・ドヌール勲章シュバリエを受章”, 京大広報 600: p. 1894, http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_kohou/kohho/600.pdf 2009年10月8日閲覧。
- ^ 長尾 真 - 日本国際賞 歴代受賞者
- ^ a b “文化勲章受章者・文化功労者の主な業績”. 日本経済新聞 (2018年10月26日). 2023年6月27日閲覧。
- ^ 京都大学広報委員会 (2004), “名誉教授称号授与式”, 京大広報 588: p. 1649, http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_kohou/kohho/588.pdf 2009年10月8日閲覧。
- ^ “2012年4月2日 館長に大滝則忠が就任 - 国立国会図書館”. web.archive.org. 2022年4月22日閲覧。
- ^ 読売新聞 2021年5月27日 30面掲載
- ^ 長尾眞; 原田勝; 石川徹也; 谷口敏夫; 澤田芳郎; 吉田哲三; 柿元俊博 (1995), “電子図書館Ariadneの開発(1): システム設計の方針”, 情報管理 38 (3): pp. 191-206, doi:10.1241/johokanri.38.191 など。
- ^ 河本博之 (2002), “集会報告: 平成13年度(第87回)全国図書館大会 岐阜大会”, 情報管理 44 (10): p. 722, doi:10.1241/johokanri.44.722
- ^ “長尾真 元総長が逝去されました”. 京都大学 (2021年5月26日). 2021年5月26日閲覧。
- ^ 『官報』第523号13頁 令和3年6月29日号
- ^ 京都大学百年史編集委員会編、『京都大学百年史』資料編3、2001年、p.134。
- ^ “IEEE Emanuel R. Piore Award Recipients”. IEEE. 2010年3月10日閲覧。
- ^ “the Association for Computational Linguistics - 2003 ACL Lifetime Achievement Award”. Association for Computational Linguistics. 2010年3月10日閲覧。
ウィキメディア・コモンズには、
長尾真に関連するカテゴリがあります。
京都大学総長(第23代:1997年 - 2003年) |
---|
京都帝国大学総長 | |
---|
京都大学総長 ※1949-1954学長 |
- 第13代 鳥養利三郎 1947-1951
- 第14代 服部峻治郎 1951-1953
- 第15代 瀧川幸辰 1953-1957
- 第16代 平澤興 1957-1963
- 第17代 奥田東 1963-1969
- 第18代 前田敏男 1969-1973
- 第19代 岡本道雄 1973-1979
- 第20代 沢田敏男 1979-1985
- 第21代 西島安則 1985-1991
- 第22代 井村裕夫 1991-1997
- 第23代 長尾真 1997-2003
- 第24代 尾池和夫 2003-2008
- 第25代 松本紘 2008-2014
- 第26代 山極寿一 2014-2020
- 第27代 湊長博 2020-
|
---|
|
前身諸学校長 |
---|
| 京都大学附属医学専門部長 |
---|
京都帝国大学臨時附属医学専門部主事 | |
---|
京都帝国大学附属医学専門部長 | |
---|
京都大学附属医学専門部長 | |
---|
|
|
|
|
|
|
---|
国立大学協会 |
- 初代会長 南原繁 1950 - 1951
- 第2代 矢内原忠雄 1951 - 1957
- 第3代 茅誠司 1957 - 1963
- 第4代 大河内一男 1963 - 1968
- 第5代 奥田東 1968 - 1969
- 第6代 加藤一郎 1969 - 1973
- 第7代 加藤六美 1973
- 第8代 林健太郎 1973 - 1977
- 第9代 岡本道雄 1977
- 第10代 向坊隆 1977 - 1981
- 第11代 平野龍一 1981 - 1985
- 第12代 沢田敏男 1985
- 第13代 森亘 1985 - 1989
- 第14代 有馬朗人 1989 - 1993
- 第15代 吉川弘之 1993 - 1997
- 第16代 井村裕夫 1997
- 第17代 阿部謹也 1997 - 1998
- 第18代 蓮實重彦 1998 - 2001
- 第19代 長尾真 2001 - 2003
|
---|
社団法人国立大学協会 |
- 第20代 佐々木毅 2003 - 2005
- 第21代 相澤益男 2005 - 2007
- 第22代 小宮山宏 2007 - 2009
|
---|
一般社団法人国立大学協会 |
- 第23代 濱田純一 2009 - 2013
- 第24代 松本紘 2013 - 2014
- 第25代 里見進 2014 - 2017
- 第26代 山極壽一 2017 - 2019
- 第27代 永田恭介 2019 -
|
---|