『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』(くろいわメダカにわたしのかわいいがつうじない)は、久世蘭による日本の漫画作品。『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載中。
2020年12月23日発売の『週刊少年マガジン』2021年4・5合併号にて読み切りを掲載[2]。この読み切りが好評を受け連載化となり、同年26号より連載開始[1]。連載開始時には、読み切り版の内容のボイスコミックが公開された[3]。なお、第1話は読み切り版と同内容だが、若干加筆されている。
略称は「メダかわ」[4]。作者の久世にとって、本作が初のラブコメ作品である[5]。
2025年2月時点で部数が累計200万部を突破している[6]。
毬藻高校の2年A組に所属する川井モナは常にモテる美少女で、すぐに男子がオチる様子に意気揚々としていたが、仏教の戒律で異性との親睦を深めない転入生の黒岩メダカに限り何をしても反応が薄く、振り向かせようとやきもちを妬いてしまい、モナの大ファンの春野つぼみに応援されるようになる。一方、メダカはモナのことで小早川翔と木戸譲に薄情だと思われてしまい、つぼみにも指摘されたことで接し方を改める。
つぼみが恋敵ではなかったことに安堵したのも束の間で、1学内下の湘南旭はメダカに一目惚れしており、白浜美波に応援されながら好意がはっきりしないモナに本気で対抗する。
さらに、モナの幼馴染で転入生の難波朋がメダカの印象を良く思わなかったため、つい本気で庇う。遊園地では、モナがメダカの前で表情豊かであることに気づかれ、恋をしていることを自覚する。
声の項は特記のない限り、テレビアニメ版の声優。
- 黒岩 メダカ(くろいわ メダカ)
- 声 - 岩崎諒太[7] / 服部想之介(ボイスコミック[8])
- 本作の主人公[9]。2週間前に毬藻高校2年A組(のち3年B組)に転入してきた男子生徒。アパートで1人暮らしをしている。実家は田舎にある寺で、猫好き。
- 三白眼と毛先の尖ったヘアスタイルが特徴。将来は実家の寺を継ぐため仏門に入って修行僧になるつもりでおり、欲に惑わされないよう『心の鍛錬のため』共学である今の学校に転校した。一見すると感情表現に乏しい朴念仁で、モナと会話をしたがらなかったが、時に笑顔を見せたり、「異性と親睦を深めるな」という戒律を忠実に守ろうとしていながら、内心はモナたちの色仕掛けに動揺するなど、実際は感情表現は豊かであり、精神を落ち着かせるために「心頭滅却」と呟く[注 1]。しかし、最も世話になっているモナにそっけない対応が多いことをクラスメイトに次々に指摘され、接し方を改める。
- モナを始め、旭や朋が何かとアプローチを仕掛けてきているが、自身に好意を持たれていることは気づいていない[注 2]。
- 川井 モナ(かわい モナ)
- 声 - 芹澤優(i☆Ris)[7] / 辻美優(ボイスコミック[8]) / 佐倉綾音(コミックスPV[10])
- 本作のヒロイン[9]。1年前、家族で東京都に引っ越してきた女子生徒。大阪府出身[11]。
- メダカのクラスメイト(のち3年B組)。一見すると非の打ち所がない美少女だが、実際は負けず嫌いで自意識過剰なコテコテの関西気質であり、朋によると、大阪にいた中学生の頃もそうだった模様。普段は意識高い系の都会女子で通しているが、モノローグや朋との会話、素が露呈した際は関西弁[注 3]になる。
- すぐに「オチる」他の男子たちと違って、戒律によりわざと不愛想に振る舞うメダカを本気で「オトそう」と色仕掛けを何度もしているうちに、不意に見せる優しさで「逆に自身がオチていること」が増え、旭の積極的なアプローチに対応しようとメダカを異性として意識するようになる。遊園地では、メダカの前で表情が豊かになっていることを直々に指摘され、ついに恋をしていることに気づく。結構嫉妬深い面もあり、メダカを連れ回す杏莉を前にして思わず「私が(メダカの)彼女ですぅ」と叫んでしまったほど。
- 湘南 旭(しょうなん あさひ)
- 声 - 雨宮天[12]
- モナやメダカらの後輩で、1年生(のち2年)。体格は小柄だが、女子バスケットボール部のエース。学業成績も学年トップの秀才でもある。
- たまたま校内の廊下ですれ違ったメダカに一目惚れしてしまう[注 4]になる。普段はクールビューティーを装っているが、メダカを前にすると顔を真っ赤にして借りてきた猫のようになる。
- メダカに対して本気であるため、好意があるか曖昧なモナや朋の態度を嫌う。モナには堂々と恋のライバル宣言をし、積極的にアプローチするようになる。モナを視察しようと2年A組の教室を覗き見することが多かったが、いつしか教室で一対一の会話をするようになる。学園祭のミスコンの後には、朋がメダカに好意を抱いて動揺していることを見抜き、モナとの関係に亀裂が入らないよう話を促す。
- 難波 朋(なんば とも)
- 声 - 矢野妃菜喜[13]
- 本作ヒロインの一人[13]。髪はショートカット。モナが大阪にいた時の幼馴染の親友で、同じ中学校に通っていた。母親はおらず、父親と2人暮らしのため、家事も一通りこなせる。モナと違い、常に堂々とコテコテの関西弁で喋っている[注 3]。
- 著述業の父親の転勤で東京に引っ越したが、モナにわざと「東京に遊びに来た」と嘘をつき、プライベートで呼び出す。その時にメダカと偶然会い、モナが気になっている人だと思い探りを入れる。その翌日には、メダカとモナらのクラスにサプライズで転校しする(のち3年B組)。
- 久しぶりに会ったモナにはメダカが相応しくないと思い、初対面からの印象を「見た目も感じ悪い」「頼りなさそう」などと扱き下ろしたが、悪く言われることを嫌がり庇ったため、恋心を抱いていることを見抜く。当初は「モナの好きな人」という接し方で、初めはモナとメダカをくっつけようと色々お節介を焼いていたが、学園祭でのミスコンの終了後にはメダカの人の良さに気付かれ、旭からは自身もメダカに好意があることを指摘される。モナには申し訳ないとも思いつつ、正直にその旨を話して理解を得た。その後は自分の気持ちに素直になり、(本人はデートのつもりで)ライブに誘って一緒に鑑賞するなど、色々とメダカにアプローチを仕掛けている。
- 春野 つぼみ(はるの つぼみ)
- 声 - 花澤香菜[14]
- メダカやモナらのクラスメイト(のち3年B組)。癖毛のショートカットが特徴。美乳の持ち主。姉(声 - 逢田梨香子)がいる。
- モナに憧れている追っかけで、こっそりモナを隠し撮りするほどの大ファン。シャイな性格もあり、当初はその行動からモナからは同じくメダカを狙う恋敵と勘違いされ警戒されるも、その誤解が解けてからはモナは親友として接している。ただ、親しくなっても下の名前ではなく「春野さん」と呼ばれているため内心悲しんでいる。
- 文化祭ではモナと実行委員になり、メダカとくっつけようと委員会としてわざと一緒に手伝うよう命令を出す。学校内の「愛の架け橋」でもメダカがくっつこうとしない様子に耐えられず、文化祭が過ぎたある日に、モナへの接し方で「一番冷たい」とついに不満を漏らし、メダカが接し方を改める切っ掛けになった。
- 学園祭でミスコンに出場したことで、学内ではちょっと人気が出てきている。
- 白浜 美波(しらはま みなみ)
- 声 - 前田佳織里[15]
- 旭のクラスメイトであり、いつも一緒にいる親友。旭の恋を応援している。髪型は姫カット。ちょっと天然気味だが、あっさりとした性格。
- バレンタインのチョコ作りに苦戦している旭のために、旭の恋のライバルであるモナに進んで自ら協力を願い出たり、街中のショッピングモールで偶然メダカに会った際にはホワイトデーのお返しに悩むメダカにアドバイスをするなど、作中ではアクセントとなっている存在でもある。
- 小早川 翔(こばやかわ しょう)
- 声 - 山下大輝[16]
- メダカ、モナらのクラスメイト(のち3年B組)の男子生徒で、メダカの友人。眼鏡をかけている。モナのファンでもあり、「戒律戒律…」ばかり口にするメダカに対して友人として(面白がりながら)色々アドバイスをしたり、学園祭でのミスコンの司会をするなどノリの良さが特徴である。ただ、モナに対して素っ気ない「クソ対応」が続いたことには流石に我慢できず「戒律バカ」などと指摘した。
- 姉がいるが、買い物での荷物持ちに付き合わされるなど振り回されている。
- 木戸 譲(きど ゆずる)
- 声 - 畠中祐[16]
- 翔やメダカと一緒につるんでいるクラスメイト(のち3年B組)の男子生徒。自宅は大きめであり、クラスメイトらでハロウィンパーティーを開いた。
- モナに対してあまりに素っ気ない対応を続けたメダカには、女子と喋るだけで戒律を破ったことになるか疑問視し、優しさが欠けていることを指摘した。
- 川井 茂雄(かわい しげお)
- モナとマオの父。
- 川井 恵美子(かわい えみこ)
- モナとマオの母。
- 川井 マオ(かわい マオ)
- モナの弟で、中学3年生。両親と姉とで4人家族。モナがメダカを好きなのを見抜いており、色々と気を利かせる姉思いな面もあるが、元は冷めた性格。加えて「毬高のクイーンビー(女王蜂)」(と勝手に呼んでいる)である姉を傍で見てきたこともあり、あざとく攻めてくる花梨には無反応。毬藻高校を受験し合格したため、春から毬藻高校1年E組で花梨と同じクラスとなる。
- 品川 杏莉(しながわ あんり)
- モナ曰く「かなりのお嬢様学校」だという蓮水高校2年の女子生徒。家に関する描写はないが、各教科ごとに1人ずつ家庭教師が付けられているほどであり、実家は裕福なよう。だが、性格は自由奔放かつマイペースであり、強制や束縛されるのが嫌いなタイプ。
- 強制される勉強に嫌気が差して逃げ出したところで偶然メダカと出会い、そこからは家からの束縛から逃れるための口実として「(勉強)ちゃんとやってます」感を出すためのアリバイ要員としてメダカをニセの家庭教師に仕立て上げ、ファミレスやらショッピングモールやら色々と連れ回す。メダカはマイペースな杏莉に散々振り回されているが、嫌々ながらも結局は杏莉の行動に合わせている。
- 将来の夢はプロの歌手であり、アコースティック・ギターを練習しているほか、近所のライブハウスで前座で歌わせてもらったりしている。
- 青葉 花梨(あおば かりん)
- 杏莉の従姉妹。毬藻高校1年E組で、マオのクラスメイト。杏莉とは入学前にショッピングモールに制服の採寸についてきてもらうなど仲が良い。
- 小柄、可愛い系で髪型はツインテール。可愛さとは裏腹に、自分が学園のクイーンビーだというプライドを持っており、腹黒い面も持つ『ぶりっ子』。制服の採寸で居合わせたマオに『ぶりっ子』で接近するも「俺には通じへん」「姉(モナ)を真似したら?」とあっさり袖にされたこともあり、モナ・マオ姉弟には内心激しいライバル意識を燃やしている。そしてモナがメダカに好意を持っていることも見抜く。
- 肉山(にくやま)
- 声 - 落合福嗣[17]
- メダカのクラスメイト。肥満体かつ大食漢である。
- 秋田 こまち(あきた こまち)
- 声 - 島田愛野[18]
- 越 ひかり(こし ひかり)
- 声 - 久保弥優[19]
- 月 あかり(つき あかり)
- 声 - 綾坂晴名[20]
- 星野 ゆめ(ほしの ゆめ)
- 声 - 寺澤百花[21]
コスプレイヤーのえなこによると、本作は「終始キュンキュンしっぱなし」な作品[22]。モナについては、「あざと可愛い」キャラクターとの評価[22]。
『週刊少年マガジン』2021年29号では「ラブコメ作品とコスプレイヤーのえなこがコラボしたグラビア」が掲載され、本作の川井モナが再現された[23]。単行本第1巻が発売された際には、久世の師匠である河下水希が応援コメントを寄せている[24]。
ラッパーの般若によると、「男子の心のど真ん中に突き刺さる」ような「男子の願望が詰まっている」作品である[11]。本作の魅力は久世の絵にあり、「胸の描き方一つとっても、ただ巨乳なだけじゃなくて、ちゃんと柔らかそうなところがいい」と話している[11]。モナについては、「一見男慣れしてそうで中身が一番ピュア」な性格と語る[11]。
TikTokが2022年12月に主催したハッシュタグチャレンジ「#ショートフィルム」の第1期で設けた「週刊少年マガジン賞」を受賞したごっこ倶楽部に『週刊少年マガジン』が「深く感銘を受け」たことにより、コラボレートの勧誘を行った[43]。そこで「マガジン史上最も尺短い&縦長い実写化企画」が実現となり、その第2弾として2023年4月28日に本作とごっこ倶楽部とコラボレートし、ごっこ倶楽部の完全監修・制作による連続ショートドラマが公開された[43]。
2025年1月よりテレビ東京系列ほかにて放送中[13][44]。
2024年12月7日、東京都のユナイテッド・シネマ豊洲にて先行上映会とキャストトークショーが開催された[15]。
- 「雨トキメキ恋模様」[46]
- いろはにほへっと あやふぶみ(白上フブキ、百鬼あやめ、大神ミオ)によるオープニングテーマ。作詞・作曲・編曲はすりぃ。
- 「キュンアピ」[46]
- 前田佳織里によるエンディングテーマ。作詞・作曲・編曲は田仲圭太。
- 「Is this love?」[47]
- 逢田梨香子による第二エンディングテーマ。作詞・作曲は寿美礼と田辺望、編曲は湯浅篤。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 総作画監督 | 初放送日 |
第1話 | オチないアイツ
| 筆安一幸 | 奥村よしあき | 奥村よしあき | | 渡辺まゆみ | 2025年 1月7日 |
第2話 | アイツと”好き”
| 渡辺遥 | - 戸田誠真
- 萩原しょう子
- KIM DAE JUNG
- PARK MI HYUN
- KIM HYUN AH
- SHIN YOO MI
| 1月14日 |
第3話 | アイツと文化祭
| 奥村よしあき | まついひとゆき | - KIM HYUN AH
- KIM DAE JUNG
- SHIN YOO MI
- PARK MI HYUN
- 今野幸一
- 萩原しょう子
- 平賀あかり
| 1月21日 |
第4話 | アイツと伝説
| 松井ひとゆき | 黒田晃一郎 | | 1月28日 |
第5話 | アイツとバスケ女子
| 井上美緒 | 小高義規 | 斎藤秀二 | | 2月4日 |
第6話 | アイツを看病
| 松井ひとゆき | 森田侑希 | | 2月11日 |
第7話 | アイツと待ち受け
| 笹野恵 | 沼山茉由 | 大豆一博 | 2月18日 |
日本国内 インターネット / 配信期間および配信時間[44]
配信開始日 |
配信時間 |
配信サイト |
2025年1月7日 |
火曜 0:30(月曜深夜)更新 |
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2025年1月12日 |
日曜 0:30(土曜深夜)更新 |
|
2025年1月13日 |
月曜 0:00(日曜深夜)更新 |
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2025年1月14日 |
火曜 12:00 更新 |
HAPPY!動画 |
巻 |
発売日[51] |
収録話 |
規格品番
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1 |
2025年4月30日予定 |
第1話 - 第4話 |
DMPXA-405
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2 |
2025年5月28日予定 |
第5話 - 第8話 |
DMPXA-406
|
3 |
2025年6月25日予定 |
第9話 - 第12話 |
DMPXA-407
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- ^ アニメでは「精神一到」「堅忍不抜」「明鏡止水」「泰然自若」「確乎不抜」も呟いた。
- ^ 薄々とは感じているが、自分がモテるとは思っていないため、信じられないでいる。
- ^ a b 大阪出身だが、京滋でよく使われる方言である「しいひん」を用いている。
- ^ アニメでは肩がぶつかり、落とした教科書とノートを拾われている。また、これまでは一目惚れに否定的だった。