Inter-Client Communication Conventions Manual(ICCCM、日: クライアント間通信規約マニュアル[1])とは、X Window Systemの同一サーバ上のクライアント間の相互運用に関する標準規格である。MITの X Consortium により1988年に検討開始された。バージョン 1.0 は1989年7月、バージョン 2.0 は1994年初めにリリースされている。
X は意図的に「方針ではなく機構 (mechanism, not policy[2])」を決めている。そのため、クライアント間の相互運用についての標準規格が必要となった。ICCCM はカット・アンド・ペーストのバッファ、ウィンドウマネージャとのやり取り、セッション管理、共有資源の操作方法、デバイスにおける色の管理などを規定している。
ICCCM は曖昧で正しく実装が難しいことでよく知られている[3]。The UNIX-Haters Handbookという書籍(Garfinkel, Weise & Strassmann 1994)の7章 "The X-Windows[ママ] Disaster" では、ICCCM を以下のように酷評している。
In summary, ICCCM is a technological disaster: a toxic waste dump of broken protocols, backward compatibility nightmares, complex nonsolutions to obsolete nonproblems, a twisted mass of scabs and scar tissue intended to cover up the moral and intellectual depravity of the industry’s standard naked emperor.
さらに、一部は既に古臭く、実装に適していない[4]。X のクライアント開発者の多くはウィジェット・ツールキットやデスクトップ環境を参照して作業し、直接 ICCCM を参照することはない。しかし、ICCCM を明確化し最新の状況向けに更新する試みとして Extended Window Manager Hints [1] (EWMH) があり、これは広く受け入れられている(また、必要に応じて拡張が続けられている)。