U6 snRNA

U6 snRNA
識別
略称 U6
Rfam RF00026
その他のデータ
リボ核酸の種類 遺伝子; snRNA; RNAスプライシング
ドメイン 真核生物
GO 0000351 0000353 0030621 0005688 0046540
SO 0000396
PDB構造 PDBe

U6 snRNA(U6 small nuclear RNA)は、U6 snRNPsnRNA構成要素であり、他のsnRNP、未修飾のpre-mRNA、さまざまな他のタンパク質とともにスプライソソームへと組み立てられるRNA-タンパク質複合体である。スプライソソームは巨大なRNA-タンパク質複合体で、pre-mRNAからのイントロンの除去を触媒する。スプライシング(イントロンの除去)は主要な転写後修飾であり、真核生物でのみ行われる。

U6のRNA配列は、スプライソソームに関与する5つのsnRNAの中で種間で最も高度に保存されていることから[1]、U6 snRNAの機能の重要性、そしてそれが進化の過程で変化しなかったことが示唆される。

脊椎動物ゲノムには、U6 snRNAの遺伝子やU6に由来する偽遺伝子のコピーが多数存在するのが一般的である[2]。このようにU6 snRNAの遺伝子の「バックアップ」が脊椎動物に広く存在することからも、生物の生存における進化的重要性がさらに示唆される。

U6 snRNAの遺伝子は線虫Caenorhabditis elegans[3]を含む多数の生物で単離されている[4]。中でも、出芽酵母Saccharomyces cerevisiae)は、snRNA研究のモデル生物として広く利用されている。

U6 snRNAの構造と触媒機構はグループIIイントロンのドメインVに類似している[5][6]。U6 snRNA中での三重鎖の形成はスプライシング活性に重要であり、スプライシング部位へ触媒部位をもたらす役割を果たしていると考えられている[6]

役割

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スプライシング反応の初期段階では、U6 snRNPはU6 snRNAの塩基対の特異性によって、tri-snRNPのU4 snRNAと強固に、そしてU5 snRNAと緩く結合している。反応が進行すると、U6 snRNAはU4からほどかれてU2 snRNAと結合する。この反応の各段階では、U6 snRNAの二次構造には広範囲にわたるコンフォメーション変化が生じる[7]

スプライシング反応では、ラリアット(投げ縄)型中間体形成に先立って、U6 snRNAはイントロンの5'末端と塩基対形成し、この結合は反応が進行するために必要である。U6 snRNPとU2 snRNPとの塩基対形成による結合によってU6-U2複合体が形成され、スプライソソームの活性部位を構成する[8]:433–437

二次構造

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コンセンサスとなる塩基対形成は5'末端の短いステムループに限定されているが、酵母など特定の生物ではより広範囲での構造形成が提唱されており[9]、5'ステムループに加えて3'末端で分子内ステムループを形成する[10]

U4/U6 snRNA複合体

U6 snRNAはU4 snRNAと広範囲にわたって塩基対を形成することが知られている[11]。この相互作用は3'分子内ステムループ形成と相互排他的であることが示されている[7]

結合タンパク質

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U6 snRNAへのLSmタンパク質の結合

遊離のU6 snRNAは、Prp24LSm英語版タンパク質と結合していることが知られている。Prp24はU6 snRNAと中間複合体を形成してU4とU6の間の広範囲にわたる塩基対形成を促進し、LSmはPrp24の結合を補助している可能性がある。これらのタンパク質が結合するドメインのおおよその位置は決定されており、タンパク質は後に電子顕微鏡によって可視化されている。この研究からは、遊離したU6 snRNAでは、Prp24はU6 snRNAのtelestemと呼ばれる領域に結合し、ウリジンに富む3'テールがLSmのリングを通過することが示唆されている。U6と結合する他の重要なタンパク質にはCwc2英語版があり、Cwc2と触媒RNAエレメントとの相互作用によってスプライソソームの機能的な触媒コアの形成が誘導される。Cwc2とU6は、U6のISL(internal stem-loop)と呼ばれる領域と5'スプライス部位近傍領域との相互作用によってこの複合体を形成をもたらす[12]

出典

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  1. ^ “Spliceosomal RNA U6 is remarkably conserved from yeast to mammals”. Nature 334 (6179): 213–8. (July 1988). Bibcode1988Natur.334..213B. doi:10.1038/334213a0. PMID 3041282. 
  2. ^ “Evolution of spliceosomal snRNA genes in metazoan animals”. Journal of Molecular Evolution 67 (6): 594–607. (December 2008). Bibcode2008JMolE..67..594M. doi:10.1007/s00239-008-9149-6. PMID 19030770. http://lips.informatik.uni-leipzig.de/?q=node/1539. 
  3. ^ “The spliceosomal snRNAs of Caenorhabditis elegans”. Nucleic Acids Research 18 (9): 2633–42. (May 1990). doi:10.1093/nar/18.9.2633. PMC 330746. PMID 2339054. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC330746/. 
  4. ^ “In Vitro Validation of Pol III Promoters”. ACS Synthetic Biology 9 (3): 678–681. (March 2020). doi:10.1021/acssynbio.9b00436. PMC 7093051. PMID 32129976. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7093051/. 
  5. ^ “Crystal structure of a self-spliced group II intron”. Science 320 (5872): 77–82. (April 2008). Bibcode2008Sci...320...77T. doi:10.1126/science.1153803. PMC 4406475. PMID 18388288. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4406475/. 
  6. ^ a b “Evidence for a group II intron-like catalytic triplex in the spliceosome”. Nature Structural & Molecular Biology 21 (5): 464–471. (May 2014). doi:10.1038/nsmb.2815. PMC 4257784. PMID 24747940. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4257784/. 
  7. ^ a b “A stem/loop in U6 RNA defines a conformational switch required for pre-mRNA splicing”. Genes & Development 8 (2): 221–33. (January 1994). doi:10.1101/gad.8.2.221. PMID 8299941. 
  8. ^ Weaver, Robert J. (2008). Molecular Biology. Boston: McGraw Hill Higher Education. ISBN 978-0-07-127548-4 
  9. ^ “RNA structure and RNA-protein interactions in purified yeast U6 snRNPs”. Journal of Molecular Biology 356 (5): 1248–62. (March 2006). doi:10.1016/j.jmb.2005.12.013. hdl:11858/00-001M-0000-0012-E5F7-6. PMID 16410014. 
  10. ^ “Towards understanding the catalytic core structure of the spliceosome”. Biochemical Society Transactions 33 (Pt 3): 447–9. (June 2005). doi:10.1042/BST0330447. PMID 15916538. 
  11. ^ “Spliceosomal small nuclear RNAs of Tetrahymena thermophila and some possible snRNA-snRNA base-pairing interactions”. Journal of Molecular Biology 222 (2): 219–32. (November 1991). doi:10.1016/0022-2836(91)90208-N. PMID 1960724. 
  12. ^ “Cwc2 and its human homologue RBM22 promote an active conformation of the spliceosome catalytic centre”. The EMBO Journal 31 (6): 1591–604. (March 2012). doi:10.1038/emboj.2011.502. PMC 3321175. PMID 22246180. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3321175/. 

関連文献

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関連項目

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外部リンク

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