サタンズ・エンジェル

サタンズ・エンジェル

Satan's Angel
バーレスクの殿堂でのサタンズ・エンジェル(2009年)
生誕 エンジェル・セシリア・ヘレン・ウォーカー
(1944-09-18) 1944年9月18日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州サンフランシスコ
死没 (2019-04-11) 2019年4月11日(74歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州ロサンゼルス
職業 ダンサー
テンプレートを表示

エンジェル・セシリア・ヘレン・ウォーカーAngel Cecelia Helene Walker, 1944年9月18日 - 2019年4月11日[1][2])は、でストリップバーレスクを専門とするアメリカ合衆国のエキゾチック・ダンサーである。芸名はサタンズ・エンジェル(Satan's Angel)[3][4]

キャリア

[編集]

サタンズ・エンジェルは、サンフランシスコのノース・ビーチのナイトクラブ「ムーラン ルージュ」で行われたアマチュア・ストリップ・コンテストで優勝した後、1961年にデビューした[4][5][6]。正式な芸名は悪魔もかしずくサタンズ・エンジェル、もしくはファイア・タッセルの女王(Satan's Angel, the Devil's Own Mistress, Queen of the Fire Tassels)である[1][5]。別に「タッセル放り投げのエンジェル」「エンジェル・ダール」「エンジェル・ザ・ボディ」「サータナ・エンジェル」「サテン・エンジェル」も芸名に用いている[4] [5]。エンジェルを象徴する代表な演出としてはフレーミング・タッセルがある(後述)。

1960年代はサンフランシスコで活動[7]し、エスクワイア、ギャラクシー、コンドール・クラブを含む大小のナイトクラブでパフォーマンスを行った。トップレスの女性たちによるコピーバンド「ザ・ハミング・バーズ」のベーシストでもあり、ノース・ビーチのティプシーズで夜ごと演奏していた[4][5] 。当時ラス・メイヤーの映画に出演していたトゥラ・サターナをライバルと考えていた[5]エンジェルは、この頃からフレーミング・タッセルを始めた[4]。1970年代から 1980年代半ばにかけてはラスベガスで活躍[8]。バリー・アシュトンやハロルド・ミンスキーといったバーレスク業界の著名なプロモーターからキャスティングを受け、パロミノ・クラブ、アラジン、シルバースリッパー、ミンスキーで踊った[4][9]。また自らの演目を携え、全米中および世界各国を興行に回った[4]

バーレスクでのキャリアを突き詰める選択をしたのはなぜかと聞かれ、彼女はジプシー・ローズ・リーの華やかな人生を得たかったのだと答えた。また自らのキャラクターであるサタンズ・エンジェルを創り上げるにあたって、メイ・ウェストリリ・セント・シアアン・コリオ、サリー・キース、キャリー・フィネルらから芸術的要素を取り入れたとも述べている[4]

24年間のバーレスクのキャリアののちに1985年に引退。2002年に公共の場に姿を現した[3][4] 。それからは2005 年にはミス・エキゾチック・ワールド・ページェント内プログラムの一部であるレジェンド部門に出演[5]、2006年にはクラシック・スターのパレード部門の一部でパフォーマンスを披露した。年ごとに行われていたバーレスクの大会であるティーズ・オ・ラマ[10]やその他いくつものネオ・バーレスクのフェスティバルやショーケースにも出演している [3][4][11][12]

自らパフォーマンスするだけでなく、バーレスクにおけるストリップティーズの授業やフレーミング・タッセル・トワリングの授業指導を行った [13]。ストリップティーズ・ダンサー、およびバーレスクダンサーであるキャサリン・ディリッシュは、サタンズ・エンジェルを「自身の職業における開拓者であった」と言っている[5]

フレーミング・タッセル

[編集]

シグネチャー・アクトはフレーミング・タッセル(ファイア・タッセル)である[1][4]。タッセルに点火し炎上させ、「乳房を猛烈に回転させることによる炎上した炎を消す」技である [11] [14]。時に一度に5つのタッセルを同時に回転させることもあった[6]。2つは乳首に、2つは尻たぶに、1つはへそに付けた [10]。防炎のフェルト、金属チェーンスパンコール等を素材に作成された星形のペイスティをよく用いた[15]

私生活

[編集]

自らをレズビアンであると述べている[1][6]。仕事を得るために同性愛者であることを否定しなければならない状況もあったし、実際に仕事を追い出されたことがあると答えている[6]

2019年4月初旬に肺炎で入院し、2019年4月11日ロサンゼルスで死去[7]

フィルモグラフィー

[編集]
  • Satan's Angel: Queen of the Fire Tassels (2012) - サタンズ・エンジェルのドキュメンタリーフィルム[4][8]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d News, Culture, Trending: R.I.P. Gary Stewart and Angel Walker, Judith Baca's Mural and More”. LA Weekly (2019年4月18日). 2019年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月6日閲覧。
  2. ^ B.C. burlesque veteran Satan’s Angel to retire after 50+ years Septuagenarian performer still uses same flaming tassels from 1962” (2018年10月31日). 2022年11月7日閲覧。
  3. ^ a b c Baldwin, Michelle; Evans, Dixie (2004). Burlesque and the new bump-n-grind. Denver: Speck Press. ISBN 0-9725776-2-9 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l Leatherman, Benjamin (2006年9月27日). “Hell's Belle”. Phoenix New Times (Phoenix, AZ: New Times Media). オリジナルの2018年10月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20181005183228/https://www.phoenixnewtimes.com/news/hells-belle-6402042 2009年4月14日閲覧. "Satan's Angel has taken her flaming tassels out of retirement, to the delight of a new generation of burlesque fans." 
  5. ^ a b c d e f g A conversation with a flaming beauty: Satan's Angel, The Devil's Own Mistress”. American Ethnography. 2018年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年4月11日閲覧。
  6. ^ a b c d Gurlesque Burlesque Brings Out Satan's Angel - Windy City Times News”. Windy City Times (2005年8月17日). 2022年11月7日閲覧。
  7. ^ a b Satan’s Angel: L.A. Remembers the Fiery ‘Burlesque Elvis’” (英語). Los Angeleno (2019年4月22日). 2022年11月7日閲覧。
  8. ^ a b Cassady, Charles (2013年5月11日). “Satan's Angel: Queen of the Fire Tassels” (英語). videolibrarian.com. 2022年11月7日閲覧。
  9. ^ Shteir, Rachel (2004). “You gotta get a gimmick”. Striptease: The untold history of the girlie show. New York: Oxford Univ Press US. p. 303. ISBN 0-19-512750-1. https://archive.org/details/stripteaseuntold0000shte. "In Minsky Goes to Paris (...) "Satan's Angel" started out in a devil suit, but quickly stripped to a G-string and tassels, which she set aflame and twirled in opposite directions." 
  10. ^ a b Pullen, Suzanne (2005年9月18日). “Tease-O-Rama”. San Francisco Chronicle (San Francisco: Hearst). http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2005/09/18/PKGB4EKF931.DTL&hw=satan+angel&sn=001&sc=1000 2022年11月6日閲覧。 
  11. ^ a b Preston, John (2008年3月7日). “Immodesty Blaize: Britain's burlesque star”. Daily Telegraph (London: Telegraph Media Group). オリジナルの2009年5月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090511095107/http://www.telegraph.co.uk/fashion/3364729/Immodesty-Blaize-Britains-burlesque-star.html 2009年4月17日閲覧. "Satan's Angel is over 60 and she's still taking her clothes off, so I don't see why I shouldn't carry on for a long while yet." 
  12. ^ Leith, Sam (2008年12月15日). “Why I fell in love with Miss Dirty Martini”. Daily Telegraph (London: Telegraph Media Group). https://www.telegraph.co.uk/comment/personal-view/3625327/Why-I-fell-in-love-with-Miss-Dirty-Martini.html 2009年4月17日閲覧. "Tempest Storm and Satan's Angel, who still perform to rapturous applause, are both old enough to be great-grandmothers. If ever there was a big, glorious two fingers to the body-fascist, no-fun hate brigade of the glossy fashion magazines, this is it." 
  13. ^ Roach, Catherine M. (2006). Stripping, sex, and popular culture. New York: Berg. ISBN 978-1-84520-129-6 
  14. ^ Fritscher, Jack (1972). Popular witchcraft, straight from the witch's mouth. Bowling Green, Ohio: Bowling Green University Popular Press. p. 86. ISBN 0-87972-027-1. "Dr. Arechega, who calls Ishtar the Original Stripper, might approve of Cece Ingram billed in contemporary burlesque as Satan's Angel. Others would call Cece's flaming tassels, spinning in opposite directions, a sacrilege. Anton LaVey would invite the burlesque artist to his altar." 
  15. ^ La Rouge, Rosey (2017-05-01). The pastie project. Brooklyn, NY: Blurb.com. p. 48. ISBN 978-1-366-00173-3. OCLC 1119976914. https://www.worldcat.org/oclc/1119976914 

外部リンク

[編集]