数学では、複素曲面の不正則数(irregularity)とは、ホッジ数 h0,1 = dim H1(OX) のことをいい、通常 q で表す(Wolf P. Barth, Klaus Hulek & Chris A.M. Peters et al. 2004)。代数曲面の不正則数は、このホッジ数として定義され、ピカール多様体の次元としても定義でき(Bombieri & Mumford 1977, p.26)、標数が 0 のときは同じ値をとるが、正の標数のときはより小さくなることがある。
「不正則数」という名称は、最初に詳細に研究された曲面である P3 に埋め込まれたなめらかな複素曲面に対して、不正則数がゼロになるという事実からくる。不正則数は、より複雑な曲面の幾何種数と算術種数の差 pg − pa を測る新しい「補正」項として現れる。曲面は不正則数がゼロであるか否かに従い、正則、不正則と呼ばれることがある。
一般次元の複素解析多様体 X に対し、ホッジ数 h0,1 = dim H1(OX) のことを、不正則数 q と言う。
Barth, Wolf P.; Hulek, Klaus; Peters, Chris A.M.; Van de Ven, Antonius (2004), Compact Complex Surfaces, Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete. 3. Folge., 4, Springer-Verlag, Berlin, ISBN978-3-540-00832-3, MR2030225
Bombieri, Enrico; Mumford, David (1977), “Enriques' classification of surfaces in char. p. II”, Complex analysis and algebraic geometry, Tokyo: Iwanami Shoten, pp. 23–42, MR0491719
Serre, Jean-Pierre (1958), “Sur la topologie des variétés algébriques en caractéristique p”, Symposium internacional de topología algebraica, Universidad Nacional Autónoma de México and UNESCO, Mexico City, pp. 24–53, MR0098097