ジャンル | リアルタイム・ドラマシミュレーション |
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対応機種 | PlayStation 2 |
開発元 |
プロキオン アルファ・システム |
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
人数 | 1人 |
メディア | DVD-ROM |
発売日 | 2005年7月7日 |
売上本数 | 約5万本 |
その他 |
メモリーカード要1636キロバイト。 CERO15 |
『絢爛舞踏祭』(けんらんぶとうさい)は、ソニー・コンピュータエンタテインメントから2005年7月7日に発売されたコンピュータゲームのタイトル。ジャンルは基本的にはシミュレーションに属し、企画アルファ・システム、開発プロキオン、ゲームデザインは芝村裕吏(開発開始時点ではアルファ・システム、完成時にはBEC所属)。
2004年にこのゲームの設定を原作としてTVアニメ『絢爛舞踏祭 ザ・マーズ・デイブレイク』が放送された。
アルファ・システムが企画、開発を担当した『高機動幻想ガンパレード・マーチ』(以下『GPM』)のシステム的続編と言える。また、アルファ・システムの「無名世界観」に基づいた設定を持つため、一部キャラクターが継続して登場している。
「今までにない、全く新しいゲーム」を触れ込みに宣伝活動が行われた。
本作における当面の最終目的は、「火星及び太陽系と周辺星域における今後100年間の平和」の可能性を揺るぎ無いものとすることである。期限はゲーム内の時間で3年間。現時点での可能性がどの程度であるかは「夜明けの船」のメインコンピュータに問い合わせることでいつでもシミュレートすることができ、これまでの戦闘結果や現在の社会情勢、乗員同士の友好度などから判定される。しかし、好きなときに好きなだけペナルティなく判定が行えることや、達成のための道程が漠然としすぎていることから、この目標のみを追い求めるのではなく、TVCMや雑誌広告で提示されていたように、また前作『GPM』がそうであったように、プレイヤーが自ら楽しみ方を探し出すことが、本来の設計思想により近い遊び方であるという見方が一般的である。 本作におけるプレイヤーは、ゲームに偽装したプログラム「OVERS-System」を介して間接的にゲーム内の世界に干渉しているという設定があり、統一世界観構想に基づく他のゲーム全般における設定である。
舞台は23世紀の火星。21世紀半ばに突如起こった気象異変により、この世界の火星は地表のほぼ全てが水で覆われた惑星となった。そして22世紀、人々は未だ不安定な大気中を避け、「都市船」と呼ばれる巨大な都市型潜水艦を海中へ多数投下することで火星への入植に成功。更に23世紀初頭、太陽系外縁にて異星人「ネーバルウィッチ」と太陽系総軍との戦争が勃発し、軍需物資(兵器の推進剤)としての水資源が豊富な火星には戦争特需がもたらされた。しかし23世紀半ばには休戦協定が結ばれ、特需の終焉と大量の復員(=失業者)によって火星経済は一転、未曾有の大不況を迎えることとなる。地球政府は戦争によらない経済の成立を目指し、異星人との融和政策を図る一方で反体制派を激しく弾圧するが、不景気と圧政との板挟みとなった火星では地球からの独立を求める機運が高まり、やがて革命派武装組織「火星独立軍」が発足。2252年現在、火星は「太陽系の火薬庫」と称されるほどの不安定な政治状態にあり、独立軍と治安維持部隊との内戦が続いている。
プレイヤーは潜水艦「夜明けの船」の中で自由に行動し、最大で36名に及ぶ他の乗員NPCとの交流を行ったり、訓練や仕事を行いながら、日々を過ごして行く。夜明けの船は常に火星の海を航行しているため、船外に出ることが出来るのは火星都市である都市船に入港した時以外ほとんどない。
また、潜水艦という環境上、物資は有限であり、定期的に都市船での補給を行わなければ、物資不足により艦内の環境は悪化していく。
都市船には産業や人口、政権への支持状態等様々なステータスが設定されており、情勢や夜明けの船の行動等によって常に状態を変化させて行く。場合によっては暴動やテロ、外部勢力の介入、不況等によって劇的に人口を減らしてしまうケースもある。
また、プレイヤーが一旦ゲームを中断した場合でも再開時には、不在であった現実の時間から計算された一定のゲーム内時間が経過してしまう。この際にも戦闘を含む各種のゲーム進行が起こっているため、不在中に乗員NPCらが死傷したり、船が窮地に陥っているケースもある。
戦闘が発生すると、戦闘部署についている者は戦闘に参加し、それ以外の非戦闘員は船内待機となる。戦闘結果によっては、船体が損傷したことにより火災が発生したり、隔壁が降りて閉じ込められたりするなどして、非戦闘員でも死亡してしまうこともある。また、戦闘員であっても戦闘参加のためには実際にハンガーで機体に搭乗したりといった手順を踏む必要があり、行動が遅れた(もしくはしなかった)場合でも戦闘はプレイヤー不在のままリアルタイムで進行していく。
戦闘は、トポロジーと呼ばれる独特の戦闘システムを取っており、自機と敵機の位置が三角形のグラフで表示される。三角形の形を合わせるように移動コマンドを入力していけば敵に近づき、攻撃を行うことが出来るようになる。RBであれ、夜明けの船であれ、近接攻撃が最も攻撃力が高いが、ある程度の射程を持つ魚雷や、敵の移動を阻害するように機雷を撒く、といった行動もできる。
また、艦長等一部の職についている場合は夜明けの船を操作して戦闘に参加することになるが、移動を担当する操舵手や攻撃担当の水雷手等役割が分かれている他、予め魚雷や機雷の装填が必要であるなど、自由に行動するにはチームワークが必要不可欠となっている。
敵は一定条件で降伏したり、近接攻撃を用いる事で撃破せず拿捕することも出来る。敵艦を拿捕した場合、臨検として戦闘後に物資を奪うことも可能である。捕虜にした敵兵は、都市船に入港した際に解放することが出来る。
物語の開始時点で、夜明けの船は反乱軍として地球軍から狙われており、地球軍との戦いがメインとなるが、情勢の変化によっては異星人勢力などが参戦してくる場合もある。また、自分たちから民間商船を襲撃して、海賊行為を働くことも出来る。
艦首に搭載した大型の絶対物理防壁発生装置によって水の抵抗を切り離し、ハイドロジェットによって超高速(最高速度700km/h以上)で航行することのできる潜水艦。この防壁はあらゆる攻撃を防ぐ盾であると共に、強力な近接攻撃の手段でもあるが、あらゆる物理的要素を完全に遮断するが故に、高速移動中はほぼ索敵ができない。また、防壁が前方に展開される関係上、その他の兵装は全て側面に装備されている。
円形の小型シールドを発生させる絶対物理防壁発生装置を両腕に搭載した人型兵器。名称はそこからとられている。高機動力を備えた小型のシールドシップというコンセプトの下、元来固定式だった絶対物理防壁を可動させ、抵抗率を可変とすることで方向転換を容易にし、またそれに伴う機体の露出を防ぐための可変機構が求められた結果、かつて宇宙戦争で使われた人型兵器が開発に流用されることとなった(その他省コスト等も大きな理由)。航空機・潜水艦・あらゆる陸上兵器を上回る機動性と戦闘力を誇る「天地と海で最強の機動兵器」だが、絶対物理防壁の展開には多大な電力を必要とするため、実用稼働時間は2時間と極端に短い。また、現行機の大半は無人機であり、旧式である有人機は数えるほどしか存在しない。夜明けの船に搭載されている4機のRBはすべて有人機。
芝村裕吏は公式ページ内のインタビューにて、SCEの永野という人物から「『GPM』は失敗だった[注釈 1]が、あのようなゲームに可能性を感じているので作ってほしい」という依頼が寄せられたのがきっかけであり、自分も同じ考えだったので引き受けたまでと語っている[1]。
ドラマCD
ゲーム専門ニュースサイト 「Game*Spark」副編集長のキーボード打海によると、発売当時のゲーマーコミュニティの間での評判は低く、『ガンパレード・マーチ』や『式神の城』といった「無名世界観」に依存しすぎていた点も問題視されていた[2]。このことから、打海はカルト作品にはなれたけど『ガンパレ』のような人気作にはなれなかったと述べている[2]。
「Game*Spark」のキーボード打海は、本作における人間関係システムを唯一無二だと評価し、SF設定もリアルながらハードすぎなくてよいと評価している[2]。 その一方で、打海は特定の条件下におけるAIの挙動の悪さを指摘したほか、プレイヤーの期待を裏切る「システムの欠如」や動線の不足はソフトウェアとして致命的だと指摘している[2]。