『第66回NHK紅白歌合戦』(だいろくじゅうろっかいエヌエイチケイこうはくうたがっせん)は、2015年(平成27年)12月31日に放送された通算66回目のNHK紅白歌合戦である。
日付はいずれも2015年。この年は例年に比べ具体的な事項の公表が大幅に遅れる展開となり、司会者の発表が出演者と併せての形となった。
- 9月16日 - 放送総局長の板野裕爾が定例会見にて、放送時間を発表[1]。
- 11月18日 - 放送当日の「紅白ウラトークチャンネル」と本番までのPR番組「紅白宣伝部」の司会に2年連続でバナナマン(設楽統・日村勇紀)が就任することを発表[2]。
- 11月26日 - 司会者および出場歌手を発表、司会者と出場歌手が同時に発表されることは異例であった[3]。また、今回のテーマが「ザッツ、日本! ザッツ、紅白!」に決まり、田辺誠一のデザインしたテーマシンボルを発表。
- 12月17日 - スマートフォン向けの専用アプリケーションを今回対応のものに更新し公開。
- 12月18日 - 特別企画のひとつとして「アニメ紅白」を実施することが発表される[4]。
- 12月21日 - 曲目が発表された[5]。
- 12月24日 - 曲順が発表された。
- 12月25日 - ゲスト審査員が発表された。
- 12月27日 - この年下期の連続テレビ小説『あさが来た』の出演者による特別編を実施することが発表された[6]。
- 12月29日・30日 - リハーサルが行われた。
総得票数による審査の結果中間審査では179,230対168,179で白組が優勢だった[9]が、最終審査では356,832対346,929で紅組が逆転して第62回(2011年)以来4年ぶりに勝利し、30勝目を挙げ堺雅人から優勝旗が授与された。その際に堺は「紅白」と「大河」をうっかり言い間違えた[24]。
優勝旗を受け取った綾瀬は「すごーい。びっくり。白組が優勢だったんで難しいと思ったんだけど、ありがとうございます。紅組の皆さん」と感謝し涙を流した。一方の井ノ原は「中居君やマッチ(近藤真彦)さんから皆に責められるんですけど。俺のせいみたいになっちゃってる」と述べた[24]。直後、黒柳は「総合(司会)の立場ですけどやっぱり紅が勝って嬉しい」と語った[9]。
紅組、 白組、 特別企画、 初出場、 返り咲き。
歌唱曲・出場回数に関する備考
- 初出場は10組、返り咲きは6組。
- また、紅組の戦後70年特別企画としてMISIAが第63回(2012年)以来3年ぶりに出演することが決まった。故郷であり、原子爆弾投下で被災して70年経った長崎市から中継で出演した[36]。
- 前回の出場歌手の中より、不選出となったのは計16組(紅:11、白:5)[37]。
- 今回の最多出場は2年連続で森進一で、自身の持つ連続出場歌手自己記録を更新する48回連続出場となったが、歌手生活50周年という節目である事から今回を最後に紅白から勇退することを発表した[48]。これについてNHKは「ご決断を重く受け止め、森進一さんの紅白歌合戦・最後のステージを盛り上げていきたい」とコメントしている[49]。なお、森は前回の出場決定直後、「50回出場で勇退したい」と語っていた[注 5]。森の連続出場記録は第70回(2019年)で五木ひろしが更新した。
- 初出場以来4年連続出場の美輪明宏は自身の持つ最年長出場を更新すると同時に史上初の80代での出場となった。翌年美輪は落選し、これが最後の出場となっている。なお、当時80歳での美輪の出場は正規枠では最年長出場記録を保持しているものの、正規枠以外では第61回(2010年)で当時83歳で出演した熊倉一雄、第73回(2022年)で当時85歳で出演した加山雄三がいる。
- EXILEのメンバーのうち、当日深夜のテレビ出演でパフォーマーを引退した松本利夫・MAKIDAI・ÜSAの3人にとっては最後の紅白出場となった。
- 細川たかしは翌年の出場歌手発表前に自ら紅白卒業(勇退)の意思を明らかにした[50]ため、連続出場はストップ。その後、細川は第72回(2021年)で特別枠で復帰している。
- 翌年末を以って解散するSMAPも第67回の出場を辞退したため、今回が最後の出場となった。
紅組のトリおよび大トリに2年連続で松田聖子、白組のトリに近藤真彦となることが発表された[51] と共にこの年歌手デビュー35周年を迎えた歌手がトリに選出された。
柴崎チーフプロデューサーは聖子・近藤の両組トリ起用の理由について、共にデビュー35周年で、テレビや日本の歌謡界を引っ張ってきたと説明した[52]。
曲順正式発表の前に、両組トリに聖子・近藤の起用が内定したと各スポーツ紙が報じていた[53][54][55][56][57]が、大トリ担当者については日刊スポーツ・スポーツニッポンは聖子、サンケイスポーツ・東スポWebは近藤とそれぞれ異なったリークがされた。
当初、SMAPが白組トリおよび大トリを務める予定だったとする報道もされている[58]。
綾瀬は2年ぶり2回目、井ノ原は初、黒柳は32年ぶり6度目(総合司会は初)、有働は4年連続7度目(総合司会は4度目)の担当となった。起用理由として、綾瀬は「今年も多数の映画に主演するなど日本で最も注目を集める女優」、井ノ原は「日本の朝の顔であり、有働アナとの絶妙な掛け合いがおなじみ」、黒柳は「戦後70年、放送90年目にあたる節目の紅白で、今なお第一線を走り続けている」と、NHKはそれぞれ述べている[60]。
黒柳は第9回(1958年)で当時25歳の最年少で初紅組司会を務めてから第31回(1980年)で紅組司会に復帰するまでの司会返り咲きまでの22年という最長インターバル記録を持っていたが、これを自身が更新した。なお、当時82歳での司会担当は第35回(1984年)における自身と親交のあった森光子(当時64歳)の紅組司会を抜いて最年長記録となっているほか、70代以上の人物が司会を担当するのは史上初[61]。その他、NHKアナウンサー以外の女性が総合司会を務めるのは史上初であり、またNHKアナウンサー以外の女性が組司会と総合司会の双方を経験するのも初めて。通算6度の司会はNHKアナウンサー以外の女性の最多記録となっている。
総合司会が女性2人の体制となるのは史上初。
発表記者会見には綾瀬・井ノ原・有働が出席、黒柳はスケジュールの都合上VTR出演となり、VTR内で「ついさっき、このお役をうかがったんですが、何をするのかわかりませんが、楽しくしていきたい」と述べた。満82歳での司会は史上最年長[62]。柴崎チーフプロデューサーによると、黒柳へのオファーは11月に入ってから行ったという[63][64]。
綾瀬は第64回での紅組司会の際はミスを連発したが、今回はほぼ安定した仕切りをこなした[65]。また後日、「元日と2日続けて『次は、誰々です』という夢を見ました」と語っている[66]。
有働の連続司会は今回までとなったほか、綾瀬・井ノ原・黒柳も翌年司会担当を降りている[67](井ノ原・有働は当初翌年も続投案があったと報じられていた[68][69])。有働の通算7度の司会は女性の最多記録となっている。また、綾瀬は第70回(2019年)で紅組司会に復帰している。
「今回の司会人選を巡り井ノ原以外にSMAPもしくは木村拓哉を始めとするメンバーも白組司会(総合司会)の候補に挙がっており、最終的に井ノ原が選出されたことが『SMAP解散騒動』と関連がある」との報道もされたが、三溝敬志エンターテインメント番組部長は定例会見で自ら否定している[70]。その他、「当初両組司会を有働・井ノ原、総合司会をタモリ(前回のゲスト審査員)が務める方向で調整されていた[71]が、タモリがスケジュールの都合などを理由に辞退した」と報じられている[72]。
- ゲスト審査員(別記)
- 客席審査員(NHKホールの観客全員)
- デジタルTV審査員(総合テレビジョンの視聴者 定員なし)
- ワンセグ審査員(ワンセグ搭載型の携帯電話による審査 定員なし)
- アプリ審査員(スマートフォン・アプリによる審査 定員なし)
ゲスト審査員の発表前、『スポーツニッポン』(2015年9月14日付)が堺と又吉の起用をリークすると同時にレスリング選手の吉田沙保里、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐、東京ヤクルトスワローズの山田哲人の3人も候補に挙がっていると報じていた[73]。
内容は、まず事前に収録されたVTR「加野屋の大みそか」を放送。その中であさが「『あさイチ』(総合テレビの朝ドラ本放送の後座番組)の司会の井ノ原・有働アナにお礼を言いに行く」ことを匂わせるジェスチャーや台詞の後、出演者がNHKホールにやってくる体で生放送で登場、井ノ原・有働アナとクロストークを行った。なお、VTRの中や井ノ原・有働アナとのクロストークの中では、『あさが来た』を見た有働アナが『あさイチ』の冒頭で号泣し、つけまつ毛を落とした事をネタにしていた。その後、NMB48が歌唱した本作品主題歌の『365日の紙飛行機』では出演者がステージに上がってNMB48のメンバー56人全員と共演した。
今回は以下の箇所において、スーパーハイビジョンを用いたパブリックビューイングが開催された[81]。
ここ数年続けられているインターネットとの連携について、これまでのスマートフォン用公式アプリ、Twitter、LINEだけでなく、様々なネット媒体で繰り広げられた。
- YouTubeでは今回のテーマシンボルや「紅白」をテーマに68名のクリエイターが制作した動画が配信されたほか、12月25日放送の「ザッツ!紅白宣伝部」ではHIKAKIN、はじめしゃちょーなどの人気動画クリエイターが出演した[82]。
- ニコニコ生放送では放送当日に生実況を行う「紅白応援裏実況」が実施され、小林幸子出演時にはこの生放送に書き込まれたコメントがテレビでもそのまま表示された[83]。
- Twitterでは日本初の「Twitter emoji」を実施、公式ハッシュタグ「#NHK紅白」「#紅組応援」「#白組応援」を入力してツイートすることでオリジナルの絵文字が表示された[84]。
- 新たにInstagramの公式アカウントを開設し、制作風景からリハーサル、本番の舞台裏を写真で逐次公開した[85]。
- 副音声の「ウラトークチャンネル」は、テレビだけでなく公式アプリとパソコン向け公式サイトでも映像と合わせてストリーミング配信を実施した[86]。
平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)は前半(19:15 - 20:55)が34.8%、後半(21:00 - 23:45)が39.2%だった。後半は第55回(2004年)の39.3%を下回り、ワースト記録を更新した[87][88]。とはいえ、年間視聴率では1・2位に立つとともに唯一の30%台を記録した[89]。歌手別視聴率の1位はAKB48とEXILEの間の43.4%、瞬間最高視聴率は結果発表前のダイジェストの45.1%だった[90]。
ワースト記録を更新したことについて、NHKの籾井勝人会長は1月4日の局内向けの年頭挨拶で「もしかすると視聴率が間違ってるんじゃないか、と思うくらい良かったと思う」とコメントした[91]。
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- スマートフォン専用アプリケーション
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