数論において、ワグスタッフ素数(英: Wagstaff prime)は、
の形をした素数 p である。ただし q は別の素数である。ワグスタッフ素数は、数学者のサミュエル S. ワグスタッフ・ジュニアにあやかって名付けられた。Prime Pages では、フランソワ・モランが Eurocrypt の 1990年 の学会での講演において、この素数を名付けた事に言及している。ワグスタッフ素数は新メルセンヌ予想と関連しており、暗号理論への応用を持っている。
最初の3つのワグスタッフ素数は、3, 11, 43 である。なぜならば
最初のいくつかのワグスタッフ素数は以下のものである。
2013年10月の時点で、ワグスタッフ素数か確率的素数(PRP)になるとわかっている指数を、小さい順に並べると以下のようになる。
2010年2月に、Tony Reix が次のワグスタッフ確率的素数を発見した。
これは 1,213,572 桁の数であり、当時見つかっていた中で3番目に大きい確率的素数であった[1]。
2013年9月、Ryan Propper はさらに2つのワグスタッフ確率的素数の発見を知らせた[2]。
と
である。いずれも400万桁よりわずかに多い桁数をもった確率的素数である。4031399 と 13347311 の間にワグスタッフ確率的素数を生み出す指数があるのかどうか、今のところ知られていない。
これらの数は q の値が 83339 までのときは素数であることが証明されている。2020年12月[ref] q > 83339 のときは確率的素数である。 q = 42737 のときに素数であることの証明は François Morain によって、 Opteron processor上で 743 GHz-days 間ワークステーションのいくつかのネットワーク上で動作している分散された ECPP を実行することによって、2007 年になされた[3]。それはその発見から2009年3月まででは ECPP による素数の証明では3番目に大きい素数であった[4]。
現在今のところ知られているアルゴリズムで、ワグスタッフ数が素数であることを最も早く証明できるものは、ECPP である。
Jean Penné による LLR (Lucas-Lehmer-Riesel) ツールは、 Vrba-Reix test の手段でワグスタッフ確率的素数を見つけるために使われる。それはワグスタッフ数を法とした のもとでの digraph の周期性に基づいた PRP テストである
より一般的な次の形の数を考えることが自然である[5]
ただし底は である。 が奇数のときには
であるので、これらの一般化されたワグスタッフ数は、負の底 をもったレピュニット数のケースと考えられることがある[6]。
いくつかの特定の の値について、(非常に小さい に対して例外があるかもしれないがそれを除いて)すべての は、「代数的な」分解のために合成数である。具体的には、 が奇数の指数をもった完全冪の形(例えば 8, 27, 32, 64, 125, 128, 216, 243, etc. オンライン整数列大辞典の数列 A070265)であれば、 が奇数のとき が で割り切れるという事実によって、これらの特殊な場合には は で割り切れる。別のケースは k を正の整数として のときである(例えば 4, 64, 324, 1024, 2500, 5184, etc. オンライン整数列大辞典の数列 A141046)。このとき aurifeuillean factorization がある。
しかしながら、 が代数的な分解をもたないときは、 が素数になる が無数に存在するという予想を立てることができる。( ≤ 300 に対しては、素数や PRP が知られていない 9 つの底 97, 103, 113, 175, 186, 187, 188, 220, and 284 が存在し、PRP は知られているが素数であることが証明されていないような 7 つの底 53, 124, 150, 182, 205, 222, and 296 が存在する。リストを見よ。すべての n が奇素数であることに注意せよ。)
Base | +1 | +2 | +3 | +4 | +5 | +6 | +7 | +8 | +9 | +10 | +11 | +12 | +13 | +14 | +15 | +16 | +17 | +18 | +19 | +20 |
0+ | None | 3 | 3 | 3 | 5 | 3 | 3 | None | 3 | 5 | 5 | 5 | 3 | 7 | 3 | 3 | 7 | 3 | 17 | 5 |
20+ | 3 | 3 | 11 | 7 | 3 | 11 | None | 3 | 7 | 139 | 109 | None | 5 | 3 | 11 | 31 | 5 | 5 | 3 | 53 |
40+ | 17 | 3 | 5 | 7 | 103 | 7 | 5 | 5 | 7 | 1153 | 3 | 7 | 21943 | 7 | 3 | 37 | 53 | 3 | 17 | 3 |
60+ | 7 | 11 | 3 | None | 19 | 7 | 3 | 757 | 11 | 3 | 5 | 3 | 7 | 13 | 5 | 3 | 37 | 3 | 3 | 5 |
80+ | 3 | 293 | 19 | 7 | 167 | 7 | 7 | 709 | 13 | 3 | 3 | 37 | 89 | 71 | 43 | 37 | >10000 | 19 | 7 | 3 |
100+ | 7 | 3 | >10000 | 673 | 11 | 3 | 103 | 13 | 59 | 23 | 3 | 3 | >10000 | 7 | 7 | 113 | 271 | 3 | 29 | 3 |
120+ | 5 | 293 | 29 | 16427 | None | 5 | 317 | 7 | 17 | 467 | 5 | 3 | 5 | 13 | 5 | 5 | 101 | 103 | 3 | 59 |
140+ | 5 | 3 | 7 | 3 | 7 | 17 | 11 | 3 | 17 | 6883 | 3 | 13 | 13 | 3 | 5 | 3 | 5 | 5 | 283 | 11 |
160+ | 31 | 3 | 3 | 7 | 3 | 17 | 17 | 3 | 3 | 7 | 13 | 37 | 7 | 3 | >10000 | 5 | 3 | 61 | 827 | 5 |
180+ | 449 | 1487 | 11 | 19 | 11 | >10000 | >10000 | >10000 | 3 | 3 | 479 | 109 | 3 | 19 | 3 | 43 | 31 | 37 | 313 | 7 |
200+ | 43 | 229 | 5 | 3 | 5449 | 101 | 3 | 61 | 311 | 3 | 79 | 101 | 59 | 73 | 277 | 3 | 499 | 241 | 3 | >10000 |
220+ | 149 | 1657 | 5 | 7 | 383 | 7 | 89 | 7 | 11 | 13 | 7 | 3 | 11 | 7 | 223 | 11 | 3 | 23 | 59 | 7 |
240+ | 19 | 5 | None | 71 | 5 | 3 | 3 | 7 | 19 | 857 | 5 | 43 | 5 | 569 | 7 | 5 | 5 | 5 | 19 | 397 |
260+ | 109 | 7 | 13 | 19 | 5 | 31 | 3 | 5 | 11 | 17 | 401 | 103 | 3 | 61 | 7 | 5 | 59 | 167 | 3 | 3 |
280+ | 7 | 7 | 37 | >10000 | 29 | 5 | 137 | 3 | 3 | 5 | 3 | 19 | 47 | 3 | 29 | 1303 | 5 | 7 | 17 | 97 |
b = 53, 124, 150, 182, 205, 222, 296 に対しては確率的素数しか存在ない。
b = 97, 103, 113, 175, 186, 187, 188, 220, 284 に対しては素数も PRP も知られていない。
代数的な分解のために、b = 8, 27, 32, 64, 125, 243 に対しては素数が存在しない。(b = 1 の場合はすべて 1 だが 1 は素数でない)
すべての奇素数がリストにあることが期待される。
に対して、素数は次のように現れる。9091, 909091, 909090909090909091, 909090909090909090909090909091, … オンライン整数列大辞典の数列 A097209。また、これらの n は次のようになる。5, 7, 19, 31, 53, 67, 293, 641, 2137, 3011, 268207, ... オンライン整数列大辞典の数列 A001562。
が素数になるような最小の底 b は